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大挑戦者祭2007 レポート

開催日:2007年3月11日  会場:東京・赤坂プリンスホテル

「旅行」 - 旅行業界の新しい価値を生み出す

ひとことで旅行業界とは言うものの、サプライヤー、メディア、バックヤードのシステム提供者……と、バラエティに富んだ立場の異なる起業家たちが一同に介した今回のトーク・セッション。それぞれの視点から旅行業界を斬ることとなった。

現在の旅行業界に求められているものとは


稲垣:旅行業界というのは旧態依然とした業界で、今時ものを買う前にお金を払う商品は世の中にそんなにはないと思うんですね。さらに、行ったときた またま天気がよかったとか悪かったとか、そういったことで商品自体のパフォーマンスも安定しないという、消費者にとって難しい商品です。こうした理由か ら、これまではどちらかというと旅行業界主導で消費者を旅行に導いていたというのが実状ですが、ITが非常に進化してきて、消費者側からのアクションで旅 行業界が変わっていくような動きが出てきています。

津田:最初にお断りしておかなきゃならないんですけど、私はどちらかというとインターネット業界の人間で、あまり旅行業界に詳しくないので、そのへ んは割引いて聞いていただければと思います。で、インターネットの分野でこれからどういうサービスが出てくるべきなのかというと、一つ目は当社がやってい るようなメディアです。ここには、チャンスがあると思いますが、自分がいるのであまり参入してきてほしくないですね(笑)。二つ目は、旅ウェブさんがやっ ている旅のバスケットですとか、ダイナミックパッケージ的な部分、24時間予約応対、こういう部分はもっとITが活用できるのではないかなと。三つ目に、 コミュニケーション能力の高い、専門に特化した旅行会社にすごく可能性があるんじゃないかなと思っています。HPに現地の情報が詳しく載っていたりとか、 常にホテルの部屋に連絡をくれたり、戻ってきたらまたメールでフォローがくる。最近はどうしても大量販売の時代でこういうことがおろそかになっている。 「日常→予約→準備→旅行中→旅行後→日常」というような消費チェーンをITを上手く使いながらフォローし、しかも専門に特化した知識がある旅行社が出て くるのではと思いますし、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています。

稲垣:旅行業界では、今年ダイナミックパッケージという言葉が非常に大きく取り上げられてますが、先駆者としてやってこられた肥後さん、いかがですか?

肥後:ダイナミックパッケージという名前ですが、個人で自由に旅行したいという人に向けて出てきたサービスだと思います。確かに個人で旅行する方が 大変増えてきている。ただ現状のダイナミックパッケージのサービスは、正直言いましてビジネスとしてはまだまだ成功していないと思います。なぜかという と、日本の特有の状況があるのではないでしょうか。たとえば日本には格安航空券という機構がありまして、これを本当に安く買ってくるにはかなり航空券のプ ロフェッショナルでないと難しい。ホテルひとつとっても奥が深い。日本的な感性とか言葉の問題等々を解決していくところに、ビジネスののりしろといいます かチャンスはあるんじゃないかなと思います。いずれにしても個人で海外旅行をしたいというニーズは増えていくと思います。

ラワ:私はBABY BOOMER、団塊の世代に生まれました。親の遺産も手に入り、一番お金を持っていて、ユニークな体験を求めている世代です。それはたとえばエベレストに 登頂するとか、南極に行くとか、スカイダイビングをするといったことです。私の場合はそれが宇宙でした。

アメリカでも日本と同様、団塊の世代が大きなマーケットとなっていることは間違いないようだ。「業界大手も中小企業も携帯電話というツールから見る とフェアな競争」と携帯電話の普及によって、人々がパソコンの前から解放されたことに新しいビジネスチャンスのヒントあるのではないかと言う綿引氏。団塊 の世代と携帯電話、一見年代的に乖離があるビジネスのように感じるが、会社でパソコンに慣れ親しんでいる団塊世代にとっては敷居の高いものではなくなりつ つあるようだ。

綿引:旅行業界は「あの添乗員さんともう一回旅行に行きたい」といったホスピタリティで支えられているんですね。例えば、生まれ育った仙台を愛している、仙台の ことなら自分が一番詳しい、そういう人たちのコミュニティができたとします。彼らは一人ひとり携帯電話を持っています。Aという旅行会社に申し込んでも、 Bという旅行会社に申し込んでも、誰が何時の新幹線でつくという情報を携帯から見ることができたら、この人たちはコンシェルジュになれますよね。私は旅行 業界を経験した人はみんな故郷に帰って携帯電話で旅のコンシェルジュみたいなことをやってほしい。SNSなんか見ると私はこういう人です、というのをみん な書いていますから、事前にあの人はこんなのが好きだなってお迎えする側がわかるんですよ。これって10年前には実現できなかったこと、まさにITです。

消費者の視点に立ったサービスの可能性

IT化をはじめとする情報過多の時代ゆえに情報整理が必要になってくる。そこにはまた新たなビジネスチャンスが隠れているのかもしれない。

肥後:昔は情報が少なかったのでイマジネーションが広がって、一回どこそこに行ってみたいというのが強かったんですが、最近はそのへんが薄れてきて るんじゃないかなというのを感じます。そういう中で団塊の世代をどうやって旅行に誘うかということです。この世代はちょい悪オヤジなんて言われていて、団 体旅行をしたくないという層でもありますし、上質なものを提供していく必要があるのではないでしょうか。最終的には現地情報がキーになってきて、それを正 しく提供できれば大きく旅行の需要をのばしていけるのではないかと思います。

津田:インターネットの普及によって、周囲がどんな旅行をしているかわかるようになり、世界中の情報を旅行会社経由じゃなくても自分で取得できるっ てことが革命的なのだろうと思いますね。そうすると消費者視点のビジネスじゃないと立ち行かなくなりますので、必要なフェイズで必要なデバイスで必要な情 報提供・入手する。これを僕たちはメディアという形で提供してますが、リテールという立場で提供するのもありなんじゃないかなと思っています。しかし逆に 消費チェーン全部をサポートするサービスをつくったとしても、能動的なアクションを起せる人じゃないと使えないと思うんですよね。だからこれからは旅行者 にコンサルテーションしてくれるようなサービスも出てくるんじゃないかと。たとえばウェディング業界では、式場と新郎新婦の間に挟まるコンサルティング サービスって結構あるんですよね。旅行業界でも間に入って複数の旅行会社に個別に交渉してくれたり、ときには直接ホテルに予約取ったほうが安いというアド バイスがあったり、受動的な人向けにはこういうところに伸びる余地があるんじゃないかなと思います。

稲垣:北海道の倶知安は人口1万数千人の町ですが、去年は7700人のオーストラリア人が来て、今年はさらに増えています。これはあるサイトで、倶 知安の素晴らしさが伝えられたからです。もうひとつ、「Japan-guide.com」という群馬に住むスイス人の方が運営されているサイトがありまし て、こちらは月間100万PV以上、日本のガイドとして海外の方に一番見られているであろうといわれているサイトです。カスタマー発信というのはあなどれ ない世界だというのがわかると思います。

5年後の旅行サービスはどうなっているか?

稲垣:では5年後くらいに、あったらいいなというビジネス、あるいはこうなっているだろうというのを今日のまとめとしてお聞きしたいと思います。

ラワ:私にとって5年は短い。宇宙ホテルの建造が始まり、5年以内に宇宙結婚式があります。そして10~15年で宇宙旅行の価格破壊が起こり、20年以内にルナクルーズが可能になるでしょう。

津田:「パリに行きたい」という旅行から、パリに行って「何をやるか」という目的指向の旅行になっていくのでしょうね。ハネムーンを宇宙で、っていうのも顕著な例だと思うんですが、旅行業界がどういう付加価値を提供できるのかということが重要になってくるんだと思います。

肥後:やはり求められるのは現地へ行ったらどんなことが体験できるのかということです。そのためにも世界中に存在するランドオペレータ、現地手配業 者をITを駆使してネットワーク化してつなげていくこと。それが旅ウェブの最終目標でもありますし、現地のコンテンツを揃えていくという形で頑張っていき たいと思います。

稲垣:ITは現在、予約方法としての見方をされがちですが、敢えていうなら消費者はどっちでもいいわけで、現地で何ができるかっていうのをITを使って実現していくことには非常に可能性を感じますね。

綿引:全体の26兆円の観光マーケットに対して、去年の統計だと大体1割、2.5兆円くらいがネットで消費されています。逆に言うと旅行会社に行ってクーポンも らって旅行している人が9割なんです。その事実の上にたって、5年後どうなるかというと、パソコンに慣れ親しんだ団塊の世代の情報は、Yahoo!や Googleのデータベースサーバの中に蓄積され、欲しい商品は探さなくても向こうから来るようになります。
そうなってくると旅行業界にはホスピタリティが残っていく。コンシェルジュが当たりますよと言ったのは、欧米では、お金持ちはホームドクターを持ち、セク レタリーを雇います。要するにパッケージツアーじゃない。好みは伝えるから探してくれという職業が成り立っている。ITは使い方次第で最後のホスピタリ ティになりますから。

稲垣:時間がきてしまいましたが、宇宙旅行への参加はどうすればいいんですかという質問が非常に多く来ていましたので、チャールズさん、最後にこれだけ簡潔に教えていただけますか?

ラワ:Very easy! www.rocketplane.com(笑)。


プロフィール

ロケットプレーン・キスラー社
創設者・事業開発副社長 チャールズ・ラワ氏

ミシガン州立大学建築・都市計画学部を卒業。ロケットプレーン・キスラー社創設者・事業開発副社長。宇宙ビジネスにおける第一人者。商業宇宙開発に関して の著作や技術論文も多く、ボーイング社やNASAなどと実施した商業宇宙開発プロジェクトにもコンサルタントとして参画。スペースフロンティアファンデー ションの理事・代表支持者。

旅ウェブ株式会社
代表取締役社長 肥後愛樹氏

インターネット専業の海外旅行会社。サイト「旅ウェブ」にて消費者が自由に海外をプランニングできる「旅のバスケット」をはじめとするさまざまな新しいサービスを提供。ITとDBを駆使して現地と消費者の架け橋となっている。

株式会社ビィー・フリーソフト
代表取締役 綿引隆一氏

会計事務所勤務を経て、1995年にビィー・フリーソフトを設立。旅行業の基幹システム初のパソコン用パッケージソフトウェア「Travel WINS」開発・販売。2000年には旅行業の共通プラットフォーム「Travel ANSWER」、06年には「Travel ANSWER SNS」を開始。旅行ビジネスのシステムコスト削減と業態刷新に積極的に取り組む。

フォートラベル株式会社
代表取締役会長兼CCO 津田全泰氏

慶應義塾大学 総合政策学部在学中の1998年、楽天株式会社入社。楽天トラベル事業の立ち上げに参画する。2003年フォートラベル設立。「旅行のクチコミサイト フォートラベル」は、1年半で月間利用者200万人の旅行メディアに成長。

コーディネーター
株式会社リクルート
エイビーロード・リサーチ・センター所長
稲垣昌宏氏

上智大学経済学部卒業。リクルート入社後B-ing、GAT'N、AB-ROAD大阪・名古屋発、AB-ROAD自由旅行などの創刊業務を担当。2003 年AB-ROAD.net編集長就任、2005年より情報誌AB-ROADの編集長となり同誌の休刊を経て、2006年エイビーロード・リサーチ・セン ターを立ち上げる。

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ビジネスプランコンテスト DREAM GATE GRAND PRIX ファイナル

ゲスト審査員
Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
グローバル カタリスト パートナーズ工学博士
マネージング・プリンシパル 兼 共同創設者 大澤弘治氏
(株)サキコーポレーション 代表取締役社長 秋山咲恵氏
(株)サンブリッジ 代表取締役会長兼 グループCEO アレン マイナー氏
GMOインターネット(株) 代表取締役会長兼社長 熊谷正寿氏
タリーズコーヒージャパン(株) 代表取締役社長兼 チーフバリスタ 松田公太氏
(株)ホリプロ 代表取締役副会長 堀 一貴氏

DREAM GATE GRAND PRIX 2007 全国9エリア代表者決定戦
北海道エリア 東北エリア 関東エリア 中部エリア 近畿エリア 中国エリア 四国エリア 九州エリア 沖縄エリア

メインステージ

オープニングサプライズ Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
「基調講演」志あるところに成功あり~世界標準へのあくなき挑戦~ (株)エイチ・アイ・エス 取締役会長 澤田 秀雄氏
海外起業家講演 百度 Chief Executive Officer Chairman Robin Li氏
「スペシャルステージ」 - 夢持ち続け日々精進 (株)ジャパネットたかた 代表取締役 高田 明氏

カンファレンスステージ

「食品」 - 食品自給率40%!日本の食の未来を守る
オイシックス株式会社 高島宏平氏
株式会社食文化 荻原章史氏
株式会社ひびき 日疋好春氏
株式会社リバネス 丸幸弘氏
コーディネーター:株式会社ユーグレナ 出雲充氏
「ファッション」 - 多様化する未来のファッションを創る  株式会社アパレルウェブ 千金楽健司氏
株式会社カフェグローブ・ドットコム 矢野貴久子氏
Codio Inc. 丁基子氏
株式会社ヘルメット 植松晃士氏
コーディネーター:株式会社ニューゲージ 如月音流氏
「広告」 -次世代広告に見る新しいコミュニケーション方法とは  株式会社RSS広告社 田中弦氏
サーチテリア株式会社 中橋義博氏
株式会社NIKKO 加藤順彦氏
バリューコマース株式会社 ティム・ウィリアムズ氏
コーディネーター:シーネットネットワークスジャパン株式会社 西田隆一氏
「金融」 - 金融大競争時代の金融イノベーションとは  グローバル カタリスト パートナーズ/工学博士 大澤弘治氏
ネットマイル株式会社 水野千秋氏
リスクモンスター株式会社 菅野健一氏
マネックス証券株式会社 松本 大氏
コーディネーター:株式会社フィナンシャル 木村 剛氏
「不動産」 - アントレプレナーが未来都市を創る
株式会社エスグラントコーポレーション 杉本宏之氏
株式会社企画ビルディング 宮本正好氏
株式会社リーテック 平松克敏氏
株式会社パシフィカ・モールズ セス・サルキン氏
コーディネーター:アールプロジェクト株式会社 永井好明氏
「エンターテイメント」 -多様化するエンターテイメントビジネスの可能性
株式会社インディソフトウェア 野津幸治氏
株式会社エンタク 左舘経明氏
株式会社GDH 石川真一郎氏
株式会社トルネード・フィルム 叶井俊太郎氏
コーディネーター:株式会社カフェグルーヴ 浜田寿人氏
「IT」 -業界先駆者が考える、5年後のネットコンテンツの在り方とは
株式会社アイスタイル 吉松徹郎氏
株式会社ドリコム 内藤裕紀氏
株式会社マクロミル 杉本哲哉氏
Melodis Corporation Keyvan Mohajer氏
コーディネーター:株式会社インプレスR&D 井芹昌信氏
「旅行」 - 旅行業界の新しい価値を生み出す
ロケットプレーン・キスラー社 チャールズ・ラワ氏
旅ウェブ株式会社 肥後愛樹氏
株式会社ビィー・フリーソフト 綿引隆一氏
フォートラベル株式会社 津田全泰氏
コーディネーター:株式会社リクルート エイビーロード・リサーチ・センター 稲垣昌宏氏
「教育」 - 起業家が子供を変えて、世界を変える。アントレプレナー流子供教育・労働教育
株式会社キッズシティージャパン 住谷栄之資
デジタルハリウッド株式会社 藤本真佐氏
デジット株式会社 舩川治郎氏
株式会社ネクシィーズ 近藤太香巳氏
コーディネーター:慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリー 牧 兼充氏
「環境」 - 環境をビジネスにした新たな価値
株式会社イースクエア ピーターD.ピーダーセン氏
株式会社サティスファクトリーインターナショナル 小松武司氏
株式会社省電舎 中村健治氏
NPO法人北海道グリーンファンド 鈴木享氏
コーディネーター:株式会社リサイクルワン 木南陽介氏
「サービス」 - サービス精神が世界の人々を豊かにする
株式会社バルニバービ 佐藤裕久氏
株式会社Huge 新川義弘氏
株式会社ワンダーテーブル 林祥隆氏
株式会社SEED-TANK 古里太志氏
コーディネーター:株式会社セレブレイン 高城幸司氏
「モバイル」 - 未来のモバイルビジネスによって、人類のコミュニケーション方法を変えていく
KLab株式会社 真田哲弥氏
株式会社ドワンゴ 川上量生氏
株式会社NAVIBLOG マンダリ・カレシー氏
コーディネーター:モバイル・コンテンツ・フォーラム 岸原孝昌氏