開催日:2007年3月11日 会場:東京・赤坂プリンスホテル
最もベンチャーに近いところに位置するIT業界。
そのトップを走るパネラーたちの言葉は、ITで起業を目指す者のみならず、全ての明日の起業家にヒントを与えてくれるはずだ。
WEB2.0の示す方向とその可能性とは?現在のIT業界を語る上で最も強力なキーワードであるWEB2.0。しかしWEB2.0というのは統合概念であり、100人いれば100通りのWEB2.0が存在する。
内藤:当初のコンテンツやサービスというのは、インターネット以外のところでも可能だったものを、インターネットでもできるようにしたというもの だったと思うんですよ。でも、ここ最近のサービスの特徴はインターネットだからこそ、というのが多くなってまして、WEB2.0がどうのというよりも、 やっとインターネットの可能性を使ったサービスが生まれてきたという状況なのではないかと思いますね。 吉松:WEB2.0が出てくる前と出てきた後で何が変わったかというと実は何も変わってないんですね。僕の中では、本質的にインターネットで目指し てることというのは10年前と変わってないですね。ただインターネットサービスを立ち上げるコストは劇的に安くなって、参加者が増えた、それは大きな現象 のひとつじゃないかなと思っています。 井芹:@コスメは、WEB2.0っていうキーワードが生まれる前からやっていたんですよね。最初から双方向のコミュニケーションみたいなものを作るんだということで考えられてたんですか? 吉松:ユーザーの声をいかに価値化していくかということなので、99年に始めたときからRDBをぶらさげたサービスだったんです。商品のレビューをするためのマスターデータベースをユーザーがつくるというのも当初からやっています。
井芹:WEB2.0の技術の中には、データベースを参加したユーザーが入力してメンテナンスしていくっていう概念がありますよね。 吉松:コミュニケーションというのもありますが、いかに集合知化していくかとかが本質的な価値かなと。 杉本:最初にインターネットをつくった人は天才的な人だと思うんですけど、ネットワークを使って将来誰もがネットワークに参加して、自分を発信し始 めるというのをある程度予感して、それに対するヒントを当初からおいていたと思うんですよね。掲示板とか、有象無象のカオティックなモラルが欠落したみた いなカルチャーが出現して、それに対してSNSとかそれを制御できるようなものが生まれたりとか。安心してネットワークに参加するとか、安心して物を買え るとか、「安心」をひとつのキーワードにして、全員が簡便に参加できるようなパッケージング技術みたいなものが、生まれてくるんじゃないかなと。そういう 全員参加のフェイズっていうのがWEB2.0ってことなのかなと思います。 井芹:ティム・オライリーさんが、WEB2.0とは「参加のアーキテクチャーをつくることである」とおっしゃったんですね。杉本さんのところのサービスって、まさしくその参加のアーキテクチャーをつくられたので成功したんじゃないかなと思うんですが。 杉本:そうですね。ビジネスにおいて、わかりやすさっていうのは大切で、たとえば音楽をダウンロードするというアーキテクチャー自体はもともとイン ターネットにあったんですね。ただそれを携帯電話でダウンロードできるとか、あるいはSuicaにお金をダウンロードするとか、ダイレクトに便利さがわか る、そういうことがポピュラーになるきっかけだと思います。
Keyvan:インターネットは10年前、大学の関係者だけが利用するものでした。それが今は生活の中で、エンターテインメントの中で使う、これは 大きな変化です。WEB2.0ではロングテールということが言われていますが、ネットには限界がないというのがリアルな世界との大きな違いです。たとえば 最大のミュージックショップでも取り扱っている楽曲は2万5000曲程度です。しかしオンラインによる音楽ダウンロードなら200万曲を提供できます。 インターネットの歴史の中で初めてクローズドのモデルとなったSNS国内最大の会員数を誇るmixiをはじめとして、一大ムーブメントとなりつつあるSNS。 内藤:SNSは基本シェアリングサービスだと思っていまして、たとえば僕と吉松さんが繋がってもそこで何を共有するかということが大切だと思うんですね。
SNSって線路の上で通っていきやすいものは、大きく分けるとエンターテインメント系か便利系かで、エンターテインメント系でいうと音楽とか動画とかゲー
ムとか、こういったコンテンツがシェアされていくことが増えていくだろうなと思います。 杉本:もともと日記っていうのは大事にしまっておくものだったと思うんですよね。それがSNSによって、人に向けて書く日記にキャラクターを変えて いった。他人の目を意識して書いているので、本当に内省的な心の声がそこに記されているのかどうかっていうのはマーケティング上、非常に大事になってきま すね。要はそれに対する目利きっていうんですかね、そこに意図したものはないかとか、あざとい狙いはないか、とかいったことをどれだけ排除できるかってい うのが、マーケッターの立場からは非常に大事で、誰かが保証するっていうのが今後、クチコミに求められていく重要さだと思うんですね。
吉松:@cosmeはコミュニティサイトですけどコミュニケーションサイトじゃないんですね。コミュニケーションは徹底的に排除してるんです。コ ミュニケーションが発生すると、one to oneの誰かに対しての発言になるので、To allでシェアできるナレッジにならないっていうのが僕の持論なんで。杉本さん、内藤さんの話とかをうかがって僕が思ったのは、実はインターネットって ずっとオープン、シェアできたんですけど、SNSで初めてクローズドになってきたんですよね。インターネットの歴史の中で初めて「クローズド」っていう キーワードでビジネスがでてきたなと。そうすると今後のひとつの可能性としては家族とか同窓会とかというクローズドのコミュニティビジネスが出てくるかも しれないし、いろんな単位っていう範囲で考えると一気にビジネスの考えるフレームが変わったなっていうのが僕の考えるSNSの可能性ですね。 WEB2.0時代のビジネスモデルとマーケティングWEB2.0を語る上でCGM(Consumer Generated Media)は外せない。ビジネスのマーケティングとしても注目されているCGMについて、賛否をきいた。 吉松:結論としていうと成功しているところってまだどこもないのかなと思いますね。
杉本:私はSNSはどっかで自己矛盾を抱えるんじゃないかなと予感しているんですね。 検索型広告配信システムというのは非常に強力なソリューションであり、極端な話、これが1コあればいいじゃないかという人もいる。しかしケイヴァン
氏がやっているようなマルチメディア検索においては全然新しいソリューションがあるのか? あるいは、ネットリサーチという全く新しい価値を作り出して、
収益を上げられている杉本氏のように、広告以外のビジネスというものが考えられるのか? 内藤:テレビにCMがあるように、メディアに適した広告っていうのは絶対必要で、CGMって中でいうとまだそういう発明が出てきてないのかなと。一 方でアメリカですと、広告のマーケットプレイスみたいなもの、広告のスペースを売りに出してそこを買う人がいると。そういった形がこれから増えていくので はないかなと思います。 杉本:もしネットで新しい広告のビジネスを創造できるんだとしたら2つのポイントがあると思っていて、ひとつは広告の効果、出稿した企業に対して提 供できるっていうこれはあの、ホントにタブーな部分なんですけど、それがひとつ。もうひとつはワンストップ。ネットであれば、そこでぱぱっとクレジット カード入れて、もう購入手続きまでワンストップできるわけです。 「今日のディスカッションの結論を出すつもりはない」と最後に井芹氏は言った。しかしWEB2.0という新しいステージへと上ったばかりのIT業界にはまだまだビジネスチャンスへののりしろがある。さまざまなキーワードから何か見えてくるものがあるはずだ。 |
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株式会社アイスタイル 1999年、国内最大の化粧品クチコミサイト「@cosme」開設、株式会社アイスタイル代表取締役就任。 |
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株式会社ドリコム |
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株式会社マクロミル 2004年1月、東証マザーズ、翌2005年4月に東証一部上場。2005年9月、代表取締役会長CEOに就任。2006年9月、取締役ファウンダー就任。 |
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Melodis Corporation Melodis設立以前は、アメリカとカナダで20以上のテクノロジー会社の設立に参加。スタンフォード大学で電子工学のマスター・博士号を取得。 トロント大学で電子工学の理学士取得。 |
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コーディネーター |
ゲスト審査員
Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
グローバル カタリスト パートナーズ工学博士
マネージング・プリンシパル 兼 共同創設者 大澤弘治氏
(株)サキコーポレーション 代表取締役社長 秋山咲恵氏
(株)サンブリッジ 代表取締役会長兼 グループCEO アレン マイナー氏
GMOインターネット(株) 代表取締役会長兼社長 熊谷正寿氏
タリーズコーヒージャパン(株) 代表取締役社長兼 チーフバリスタ 松田公太氏
(株)ホリプロ 代表取締役副会長 堀 一貴氏
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