withコロナ時代 女性の心を掴むマーケティング戦略とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 阿部 エリナ

筆者が経営する会社で、20~70代女性を対象に「コロナ禍における購買行動や家ナカ行動」に関する調査を実施したところ、女性たちの価値観・購買行動・ニーズが大きく変化していることが明らかになりました。

当記事を執筆している5月4日現在、緊急事態宣言の延長が正式決定し、記者会見で安倍首相は「『コロナの時代の新たな日常』を一日も早く作り上げなければならない」と述べました。私たち事業者にはもはや「コロナ終息を辛抱して待つ」姿勢ではなく、「コロナ時代の新たなマーケティング(withコロナ)を早急に構築する」ことが求められています。

では具体的には、コロナ時代のマーケティング戦略とは何でしょうか?

女性マーケティングを主軸としたリサーチ&コンサルティング事業で、女性をターゲットにしているさまざまな企業様を支援している筆者より、当社が実施した調査結果をもとに分析・考察した「withコロナ時代で、女性の心を掴むマーケティング戦略」をお伝えします。わずかながらでも皆さまの事業ヒントにしていただけますと幸いです。

女性の購買行動・価値観は大きく変化した

筆者が経営する女性マーケティング会社のウーマンズ(東京・お台場)では、「女性消費者の需要喚起策・離脱防止策につながるマーケティングヒントを得る」ことを目的に、20~70代女性を対象に以下の調査を実施しました。

調査では、マスメディアやウェブメディアでは報じられていない、コロナ禍における女性たちの新たなニーズ・変化した価値観・変化した購買行動などが見えてきました。

例えば、以下サービスが急速に需要を伸ばしていることは、すでに多くのメディアが報じているので皆さんも既にご存知かと思います。

  • フィットネス動画やアプリ(例:リーンボディ等)
  • 食のデリバリーサービス(例:ウーバーイーツ等)
  • 各種通販(例:アマゾン等)
  • オンライン会議ツール(例:zoom等)
  • アクアリウム
  • 家庭菜園
  • インテリア雑貨
  • オンライン診療アプリ   など

しかし実際は、これらだけではありません。女性たちの家ナカの生活をつぶさに観察すると、これ以外にも多くのニーズが生まれていることが分かりました。これまでメディアが報じてきた内容を見聞きして、「自分の会社に商機はない…打てる策は何もない…」と不安を感じた方こそぜひ、女性たちの家ナカ行動を観察してみてください。少しの工夫をすることで、新たに生まれた女性ニーズをキャッチするこができます。

女性が新たに始めたこと

前述の2つの調査では女性の購買行動の変化が明らかになり、女性マーケティングを専門としている筆者もこの結果から学ばされる点がありました。

新たに生まれた需要

以下は「新型コロナ 女性たちの消えた需要 ・生まれた需要」の調査であがった声の一例です。

<例1>宗教に目覚めた(50代女性)
ある50代女性は、墓参りもめったにいかず、無宗教。しかし、コロナにより仕事が減少したことで本を読む時間ができた彼女は「月刊なぜ生きる」という雑誌の定期購読を注文。「信徒になるつもりはないが、死を考えるようになり、仏教を勉強したくなった」という

 

<例2>活動記録アプリを“ついに”使い始めた(60代女性)
これまで活動記録アプリを全く使ってこなかった60代女性。外出自粛要請をきっかけに、活動記録アプリをついに使い始めるようになる。今や、計測するのが楽しみになっているとのこと

行動変容が“あっという間”に起きている

他にもさまざまな「新たに生まれた需要(※)」があったのですが、共通していたことは「女性たちの間で、たちまち行動変容が起きていた」ということ。一般的に人間は生活行動も購買行動も習慣化されているため、その行動を変えさせる、つまり例えば「ブランドスイッチを起こさせる」「自社商品に興味を持ってもらい新たに使い始めてもらう」ことは容易ではありません。(※)当社実施調査「新型コロナ 女性たちの消えた需要 ・生まれた需要」より

「容易ではない」とは具体的にはどういったことか。

例えば、上記の<例2>の女性の事例で解説します。平成30年版高齢社会白書(内閣府)によると、50代後半以上で歩数や血圧、体重など自分の健康情報を管理・測定している割合は男女ともに約60%ほどですが、スマートフォンやパソコンやタブレットを使って測定・管理しているのは男女ともに4%以下。一方で、歩数計や脈拍計などの記録装置つき測定器を利用している人は男女ともに31%。仕組みが複雑ではなく誰もがシンプルに使える測定器の方が圧倒的に支持されていることが分かります。

出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」

シニア女性にとってアプリを使った計測は、苦手意識も先行して億劫なものです。「便利だからアプリで歩数を計測してみましょう」と企業が提案したところで、なかなか行動変容は起きません。しかし有事となった今、上記の60代女性は自らアプリによる計測を“あっという間に”開始したわけです。

筆者の会社ウーマンズでは、これまでにさまざまな大手企業の女性マーケティング戦略のお手伝いをしてきていますが、潤沢な資金を武器にテレビCM、ラジオCM、動画広告などを大量に流している大手企業であっても、女性生活者の行動変容・購買行動(つまり“習慣”)を変えて自社商品・サービスに関心を向けさせることは容易ではありません。人間に定着してしまった習慣を変えることはとても難しいことです。

にも関わらずコロナ禍では、短期間であっという間に女性たちの価値観や行動を変えてしまいました。筆者も、この女性たちの急転ぶりに驚きを感じています。

withコロナ時代で、女性の心を掴むマーケティング戦略とは

このように女性の購買行動や生活行動、価値観は短期間のうちに激変したわけですが、ではこの状況下で、企業はどのようなマーケティング戦略を設計・実行すれば良いのでしょうか?
ウーマンズでも日々分析中ではありますが、ひとつの解として以下をご参考ください。

新型コロナの情報があふれ、外出や人とのコミュニケーションが思うようにできなくなっている今、女性たちの間で、コロナ疲れやコロナに伴うメンタルヘルスの悪化などがいよいよ顕在化し始めています。鬱患者は女性にもともと多い(※)ことを考えると、この状況によるメンタルへのダメージは男性よりも女性の方が深刻化している可能性があります。(※)男性のうつ病患者数は49.5万人、女性は78.1万人(厚生労働省の患者調査 平成29年より)

新型コロナの情報に囲まれすぎたことで心身に悪影響が出始めたある女性は、情報との向き合い方を見直したいと考え、「拾う情報を整理した方が良さそうです」とTwitterでつぶやいています。

気持ちがネガティブに傾く人が多い今、マスメディアと同程度に社会への影響力が大きい企業までもが新型コロナ一辺倒では、精神的にさらに追い詰めてしまう可能性もあります。かといって企業が、新型コロナのトピックに一切触れずに通常通りのマーケティングを展開するのも、「空気を読んでいない」「消費者への思いやりに欠ける」といったマイナスの印象を与えかねません。

どのレベルにまで新型コロナのトピックをマーケティングに入れ込むのか、その“塩梅”が難しいところではありますが、ちょうど良いのは「コロナ疲れにさせない程度に、さりげなく触れる」マーケティングかもしれません。例えば以下企業のマーケティングは参考になります。

【事例1】ユニクロ「#おうち服なに着てる」

ユニクロは4月4日に「在宅の休日、#おうち服なに着てる?」のTwitterを投稿。

特に新型コロナに触れていませんが、誰もが当投稿を見れば「新型コロナになって家で過ごす時間が増えた今、自宅でなにを着てるのか?」という意味合いであることは理解できます。

そして多くの人にとって、「これまでにないほど自宅で過ごす時間が増えて在宅ワークをする人も増えたけど、みんな何を着てるの?」「誰にも見られてないし、やっぱりだらしなくなるの?」「普段おしゃれな人は、やっぱり家にこもっていてもおしゃれしてるの?」は、確かにちょっと気になるところです。

新型コロナについてダイレクトには触れていないものの、「自粛生活を軸にした自宅内ファッション」に焦点をあてている塩梅は参考になります。この呼びかけには「おふざけ回答」「まっとうな回答」「参考になる回答」など多様な回答が寄せられました。

【事例2】VOGUE「おうち時間」

世界の洗練されたファッション、ライフスタイル、ビューティを提案する女性誌VOGUE。同誌の美しい世界観を反映したページに癒される女性は多いものです。そんな同誌は、いつも通りの癒しをこんな表現で提供しています。それは「おうち時間」。

以前から使われているありきたりの言葉ですが、自宅にいることを「外出自粛」という強制感ある言葉で表現されることが多い中、この“女子的用語”にふと癒された女性は多いはず。

というのも、「おうち時間」とはそもそも、仕事・家事・育児と時間に追われる忙しい女性たちにとって「自宅でゆったり過ごすスペシャルな時間」「自宅でのんびり美容ケアを楽しむ時間」というポジティブな意味合いで使われてきました。「自宅にこもっている今の時間をネガティブに捉えるのではなく、楽しむ時間と捉えなおして、おうち時間を楽しもうよ!」というメッセージセンスは、女性誌ならではです。

【事例3】LUSH「おこもり美容」

ハンドメイド化粧品のLUSHは、おうち時間に「おこもり美容」を提案。webサイト上で「おうち時間でゆっくり自分ケア おこもり美容におすすめアイテム」を公開。「ストレスを減らして免疫アップ! 健康な毎日を過ごすためのステップ 」「専門医が教える 入浴が心身にもたらす効果・メリット」などの情報とともに、商品紹介を行いました。

同社のインスタグラムアカウントでも「#おこもり美容」を癒し画像とともに提案しています。

【事例4】Fresh「ビンゴでつながろう」

口コミで日本国内での人気が高い、LVMH傘下のコスメブランド「Fresh」は、インスタグラムで「Saturday=game night!」と呼びかけ、ビンゴを開催。ビンゴカードの内容のうち、「自分が(美容に関して)行ったことを消し、その結果を投稿して友達と共有しよう」というもので、皆がインスタグラム上でつながり、自宅での美容行動を楽しめるコンテンツを提供しています。

コロナ疲れにさせない程度に、さりげなく。その塩梅に注意

他にも、女性向け商品・サービスを提供する企業が「(女性が好みやすい)かわいらしさ・楽しさ」を損なわない程度に、新型コロナの状況を踏まえた上での新マーケティングを始めています。ポイントはあくまで「新型コロナで沈んでいる女性たちの気持ちを、さらに重くしない」こと。そして「新型コロナの状況を踏まえた上で、いつも通りの企業キャラクターで“心の癒し”を提供する」こと。

確かに個人需要は落ちていますが、前述の「新たに生まれた需要」でご紹介した通り、今だからこそ「新たな見込み客の獲得」ができるのも事実。

ウーマンズが実施した調査「新型コロナが女性にもたらした “消えた需要” と “生まれた需要”」では、「これまで興味がなかったが、この状況になって〇〇を購入・利用するようになった」という声がたくさんありました。

自社の長年のリピート客に向け日頃の感謝の意を込めるという起点で、「癒し」や「(有事の時の)暮らしの楽しみ方」を提供するタイミングとするのも良いかもしれません。さらにファンになり、自粛モードが解除された時にまた真っ先に戻ってきてくれるはずです。前述の「新型コロナが女性にもたらした “消えた需要” と “生まれた需要”」では、「新型コロナになったから今は買い控えているが(または利用しなくなったが)、終わったらまた買いたい(または利用したい)」といった声もとても多かったからです。

ただ、気を付けたいのは塩梅。一歩間違えると「新型コロナに乗じてる!」と批判を受けかねません。例えば前述のユニクロの「#おうち服なに着てる」では、一部から「そんな投稿する暇があればマスクをつくれ」「社会の混乱にうまく乗っかったキャンペーン。気分が悪い」といった批判もあがっていました。

全ての女性に好かれるのは不可能ですが、本稿で紹介した各企業の取り組みは女性たちに好意的に受け取られていますので、この状況でどんなマーケティングを展開していけば良いのか悩んでいる企業は、塩梅に注意しつつ参考にしていただければと思います。

最後に:コロナ禍における女性の購買行動調査と分析結果

ウーマンズでは「コロナ禍における女性の購買行動調査」を継続して行っており、その分析結果は随時ウェビナーや、レポートといった形式で、広く企業の皆さんにご提供させて頂いています。現在は「調査3」を進めており、5月中にリリースの予定です。

最新の女性の購買行動調査データと当社ウーマンズの分析結果をぜひ皆さんのビジネスの現場に活かしていただければ幸いです。

<現在提供中のレポート>

<オンラインセミナー>
“始まる消費のニューノーマル withコロナ時代の女性マーケティング
のオンラインセミナー(録画型)を5月28日にリリースしました。全面解除にはなっても、引き続き自主的な自粛生活を送るとする生活者も一定数いる中、コロナショックによる個人需要の冷え込みは当面続くと考えられます。
「女性たちの消費のニューノーマル」をいち早くキャッチし、「withコロナ時代の女性マーケティング戦略」に切り替えたいとお考えの方はぜひオンラインセミナーにご参加ください。

当コラムではお伝えしきれなかった内容をより深堀してお届けしています。
まだまだ大変な状況が続きますが、一緒に頑張って乗り越えていきましょう!

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執筆者プロフィール:

ドリームゲートアドバイザー 阿部 エリナ【女性マーケティング支援のウーマンズ】女性ヘルスケア市場を専門に「リサーチ&コンサルティング事業」と「法人用ニュースサイト運営」を行う会社を経営。大手企業を中心に支援実績多数。女性マーケティング戦略を強化したい方におすすめ。
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ドリームゲートアドバイザー 阿部 エリナ

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