女性マーケティング基本の3ヶ条 ~女ゴコロをつかめば商品は売れる!~

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 阿部 エリナ

こんにちは。女性ヘルスケア市場を専門に「リサーチ&コンサルティング」と「法人用ニュースサイト運営」を行う、女性マーケティングの会社ウーマンズ(東京・お台場)を運営する阿部エリナです。

売上が未達だったり、イベントや宣伝を行ったが期待通りの効果がでなかった―。そんな時、多くの企業は「商品にニーズがなかったのかな」「販売戦略に問題があったのかも」「起用したインフルエンサーがターゲット女性とマッチしなかったのか…」「価格が高かったのかも」「販促費が不十分だった」といった部分にフォーカスしてPDCAするかと思います。

一方で「女性マーケティングの視点」からPDCAを行う企業はとても少ないように感じます。「性差の違いによる購買行動」に着目するとこれまでに見えてこなかった課題を見つけ出し、発想もしなかったような新たな戦略設計で成果につなげることができますので、「女性をターゲットにした商品・サービス販売」では、ぜひ女性マーケティングに優先的に取り組むことをおすすめします。

女性消費者へのリーチ率を向上させたり、購買行動を促すために、具体的に何に取り組めば良いのか。当稿では女性マーケティングの中でも基本となる3箇条について解説します。

女性マーケティングとは何か?

まずは、「女性マーケティング」とは何なのか?定義は以下の通りです。

女性マーケティングとは、女性視点でマーケティング戦略を考えていくことです。女性視点で考えるというのは「女性特有の生き方の多様化、価値観の変化(ライフコース)を理解し、その都度どのようなニーズや不満、悩みが生まれるか?変化するのか?を考慮して戦略設計を行うこと」を指します。

女性視点でマーケティング戦略を設計する、というのは「今現在、そして直近の未来で、ターゲット女性の人生に何が起きているか?(=ライフコース)」という点を最も重視する考え方と言い換えることもでき、これは女性マーケティング戦略の基本になります。引用:ウーマンズラボ「女性マーケティングで「女性客を増やす」 戦略設計の基本

上記の通り、女性マーケティングは、女性ならではのライフコースに基づく価値観変化や購買変化を反映させる手法です。女性をターゲットにした商品・サービス提供を行っている企業であれば、「女性マーケティング」の手法を使った戦略設計は必須です。

「消費の8割は女性 企業の意思決定を行うのは男性が9割」というミスマッチ

女性マーケティング基本の3箇条をお伝えする前に、まずは日本社会・企業の“不思議な男女の構図”について触れたいと思います。

全体消費のうち、消費行動の意思決定の8割に女性が関与していると一般的に言われています。それを象徴するように、多くの家庭では女性が財布を握っています。一方で企業の場合はどうでしょうか。さまざまな企業活動の意思決定を行う立場にある日本の女性の管理職比率はたったの12.9%です(2018データブック国際労働比較データ)。


資料出所:「2018データブック国際労働比較」より、筆者運営の会社(ウーマンズ)にて作成

この数字からはつまり「消費の8割に女性が関与しているのに、そんな女性たちに商品・サービスを提供する企業の意思決定者は約9割の男性たち」という不思議な構図ができあがっていることを指摘できます。

さらに不思議なのは、プライベートの場で多くの男性は頻繁に「女ってよく分からない(※)」と嘆くにも関わらず、ビジネスの場では途端に“女性客の完璧な理解者”に姿を変え、「この商品はこの戦略で売りましょう」「こんなプロモーションは響きますよ」と意思決定をします。(※)事例「なんで女って買い物の時間が長いの?」「なんで女って連れ立ってトイレに行くの?」「なんで女って落ちのない話を永遠とするの?」「なんで女って恋愛の話や夫の話ばかりするの?」「なんで女って、男の嘘をすぐに見破れるの?」「なんで女って、料理しながら子供の面倒見ながら、電話ができちゃうの?」など

女性と男性の間には、性差がある

ビジネスの場では「女性客の理解者」に変貌する男性も、実はプライベートの場では「女性はよく分からない」と発言。その言葉こそが男性の本心だと思うのですが、ではなぜ男性は女性を正しく理解できないのか。それは“性差”が関係しています。そもそも男女はカラダのつくりが違いますし、後天的に身についていく性別役割分業により「男ならではの言動、女ならではの言動」が自然と形成されていきます。男女の間には「脳差もある」とも言われているので、お互いにお互いを理解することはさらに困難です。脳科学者の茂木健一郎氏は著書「男脳と女脳」の中で次のように述べています。

「男女で脳はどう違うのか」という質問に答えるのは、難しい点があります。というのも、男女に脳差がある、と言い切ってしまうと、個人差を無視することになり、かといって男女の脳差はない、といえば、ウソになってしまうからです。しかし実際に、近年の脳科学研究で、脳には男性と女性で使い方にそれぞれ特徴があるということがわかってきました。(中略)

男性は、どちらかといえば左脳優位だといわれています。(中略)

一方で、女性はどちらかといえば右脳優位だといわれています。
(引用:茂木健一郎「男脳と女脳」)

 マーケティングの場に性差を持ち出すことに価値を見出さない、あるいは軽視する企業がありますが、脳の使い方に性差が見られるのであればやはり、その意味は大きいと言えます。「性差医療」と同様に「性差マーケティング」という考え方を取り入れることは、十分なメリットをもたらしてくれます。

女性の消費力は、年々高まっている

女性を対象にした事業は、数少ない成長市場として注目を集めています。コンサルティングファームのボストンコンサルティングは、女性市場について書籍「ウーマンエコノミー 世界の消費は女性が支配する」で次のように言及しています。

今後の成長を秘めた数少ないポケットとして新興国に注目する人も多いが、BRICs諸国の市場を足し合わせても、女性市場のビジネスチャンスには遠く及ばない。

日本が今日、低い経済成長性に苦しみ、市場の成熟、出生率の低さ、低迷する国内経済などの問題に頭を悩ませているのは確かだが、イノベーションと女性消費者への深い理解と情熱をもってすれば、世界で一番難しい消費者マーケットといわれる日本はチャンスを世界中に広げることができる。
(引用:ウーマンエコノミー 世界の消費は女性が支配する)

近年、日本では働く女性が増加。2019年の総務省発表の労働力調査によると、働く女性は3000万人を初めて突破しました。女性の消費パワーは今後さらに高まっていくと言えます。


出典:総務省「労働力調査」

女性マーケティングで女性の心を掴む、基本の3箇条

ここからは、筆者が多くのクライアント企業の現場で感じてきた「女性マーケティングあるあるNG例」を3つご紹介します。複雑な女性マーケティング戦略を設計する前に、まずはこの「あるあるNG」を払拭するだけでも、企業内・部署内の女性マーケティング思考は高まるはずです。

なお、理論に基づいた考え方で戦略設計を行う女性マーケティングの方法に関しては筆者の会社が運営するニュースサイト「女性マーケティングで、女性客を増やす、戦略設計の基本」に詳細を記載しておりますので、「ロジックに基づいた女性マーケティングの設計方法を知りたい」という方は、別途そちらをご参考にしていただければと思います。

戦略設計がステレオタイプになっていないか?

ステレオタイプな戦略が女性客を遠ざける例は、意外にも多いものです(そういった現場を数多く見てきました)。例えばダイエットや美容のこと。「多くの女性はモデルのようにほっそりした体型になりたいと思っている」「多くの女性はいつまでも若々しくいたいと考えているからエイジングケアの商品・サービスには飛びつくだろう」と勝手に決めつけていませんか?

今は「プラスサイズモデル」のようなぽっちゃり体型をかわいいと感じる女性もいますし、加齢に抗うことをやめエイジングケアをあえて手放す女性も増えています。

最も分かりやすい例は、米国の歌手リアーナさんが立ち上げた下着ブランド「Savage X Fenty」でしょう。同ブランドは、容姿端麗なモデルではなく、人種も体型も顔も髪型も多様な女性たちをモデルに起用しています(以下インスタグラム)。多くの女性にとって親近感がわくものです。ダイバーシティが世界的に広まる中、同ブランドの「多様な女性をモデルに起用する」という姿勢は多くの女性の心をがっつり掴み、人気を集めています。

 

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There’s no such thing as quiet on set when our girl @margieplus is in the building ♥️ #TisTheSavage

SAVAGE X FENTY BY RIHANNA(@savagexfenty)がシェアした投稿 –

 

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That face you make when you realize summer is cancelled but you still slay 💖 #SavageXSummer

SAVAGE X FENTY BY RIHANNA(@savagexfenty)がシェアした投稿 –

一方で、「多くの女性は容姿端麗、完璧な美貌を持つ女性モデルに憧れる」というステレオタイプに基づき、白人中心・容姿端麗な女性だけを起用し続けた米国の下着ブランド「ヴィクトリアシークレット」。同社は日本含め世界で一世を風靡したものの、近年はそういった姿勢が度々炎上を招くなどして、急速に女性客が離れていきました。ついには業績悪化を理由に、2019年末の同社毎年恒例の大規模なショーは、初めて中止となりました。(最近になってようやく、多様性を意識したモデルの起用を始めていますが、時すでに遅し…。多くの女性たちはリアーナ―のブランドや他ブランドに移行してしまいました)

「女性はこうだ」という決めつけのもと、戦略を設計していないか。今一度確認してみましょう。

女性視点を手放していないか?

たまに企業の中にいらっしゃるのが「男性化した女性」。男性の管理職比率が9割の日本社会では、残念なことに男性主体でものごとが決まっていきます。そんな“男社会”で生き残っていくには、男性と同じ言語で会話をする。つまり“男性軸”で考え、話し、決定を下していく必要があります。すると、やがてどんなことが起きてくるのか―。一部の女性たちは思考が「男性化」していくのです。

女性ワーカーは企業人であると同時に、1人の女性消費者でもあります。一女性消費者としての意見や考え方は、仕事の現場でも役立つことはたくさんあるにも関わらず、「男性化した女性」は女性消費者視点を消し去り仕事の現場に立ってしまいます。

女性ワーカーの発言する声全てそのままを「女性マーケティング」と受け入れることが正解ではありませんが、やはり女性ならではの思考、価値観はビジネスの現場でも多いに役立つものです。

女性の皆さんは、男性化して男社会で闘うのではなく、「男性には絶対に持つことができない女性視点」を最大限に活かしてぜひ男社会で闘ってください。女性視点、捨ててしまってはとてももったいないですよ!

※男性陣がよく嫌う女性特有の言動の例として「結論になかなかたどり着かない報連相」「感情で意思決定を下す」といったことがありますが、これらは女性視点ではなく、ビジネス視点として当然、改善すべきことなので、そういった部分に関しては「ビジネスマナー」として身に着けていく必要があることを追記しておきます。

流行りのクラスターをターゲットに策定していないか?

多くの企業の現場で議題にあがる一つが「ターゲット女性」について。これまで相当数の企業の会議に出席してきましたが、およそ7割の企業は以下のタイプの女性を、必ずと言っていい程、ターゲットとしてあげます。さらに面白いことに、策定しているターゲット女性の特徴についても、いずれの企業もほぼ同一です。

【ターゲット】20代~30代の独身女性

【特徴】美意識も恋愛意識も高く、そして仕事のモチベーションも高い。都内にある企業で営業補佐として勤務。仕事帰りは趣味の教室に通ったり、彼とのデート、友達との女子会で毎日充実。インスタグラムで画像を投稿したり、好きなインスタアカウントを日々チェックして情報収集。そろそろ結婚や出産について考え始めている。

【ターゲット】30代~40代前半の働くママ

【特徴】仕事と家事育児の両立で毎日が多忙。自分の時間を持てないことに不満を抱えながらもなんとか、両立ができるように日々の生活をPDCA。家事育児に協力的な夫を持っていて幸せだなと感じつつも、やっぱり家事育児は自分が担うことが多い現状にちょっぴり不満。ママ友ネットワークも大事なコミュニケーションの場だけど、職場でのキャリアアップも望んでいる。

 【ターゲット】60代シニア女性

【特徴】夫も定年退職し、時間にゆとりがある。趣味は夫婦での旅行、あるいは女友だちとの旅行やパン作りの教室。たまに子どもが連れてくる孫の相手をしたり、孫が喜ぶおもちゃを買ってあげることが楽しみ。毎年の一大イベントは、クルーズ船での海外旅行。好きな雑誌はハルメク。気持ちも体もまだまだ若い!と自負している。

まさに“教科書通り”のキレイなターゲット像です。上記クラスターの女性をターゲットに策定することが悪い・間違っている、ということでは決してないのですが、あまりにも多くの企業が上記クラスター女性を策定することに、筆者は疑問を感じます。

筆者が運営する会社の分析では20~70代女性は20クラスターに分類されます。にも関わらず、多くの企業はなぜ上記3クラスターの女性をターゲットに策定しまうのでしょうか。理由は上記の3クラスターはニュースや、女性誌、マーケティング会社運営のオウンドメディア、ビジネス誌などが頻繁に取り上げるクラスターだからです。つまり「トレンドのクラスター」ということです。

【女性のクラスター詳細】20~70代の中間層女性・富裕層女性のクラスター

あまりにもマスメディアや企業運営のメディアがトレンドクラスターのことばかりを伝えてしまうからか、多くの企業のマーケターにとっては、上記が“理想のターゲット女性像”として刷り込まれてしまっているのかもしれません。でも現実は違います。

<20~30代の独身女性層の実際>

20~30代の独身女性でInstagramやTwitterなどを一切利用しない女性はいます。また、多くの企業は20~30代女性を「都心のキレイなオフィスビルでパソコンを使った業務をしている女性」と勝手にイメージしていますが、実際はそれはごく一部で、例えばオフィスビル以外で働く女性はたくさんいます。スーパーのレジ打ちなど販売員さん、物流倉庫で働く派遣さん、看護師さん、保育士さんなどです(以下図参照)。

出典:総務省統計局 労働力調査

<30~40代前半女性層の実際>

30~40代女性をターゲットにする企業は、「働くママ」を策定することが圧倒的に多いのですが、30~40代女性は専業主婦の女性だっていますし、DINKs、未婚のシングル女性だっています。以下図は生涯未婚率の推移です。生涯未婚率とは50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合のことをさしているので、30~40代時点で一度も結婚したことのない人の割合はもっと高くなると推測できます。いずれにせよ、男女ともに未婚率は上昇傾向にあるにも関わらず、未婚のシングル女性は企業のターゲットから外されることが多い印象があります。

出典:厚生労働省 平成27年版厚生労働白書

<60代シニア女性層の実際>

60代シニア女性も、多くの企業は、国内旅行やクルージングを楽しめる、時間とお金に余裕のあるクラスターをターゲットに策定しますが、実際は60代でパートに出て収入を得てなんとか家計を支えようとする女性もいますし、高齢の親(または義理親)の介護で毎日大忙しの女性だっています。あるいは夫とすでに死別していて、1人で細々と暮らす女性もいます。シニア女性程、若年層と比較して多様性がありますので、ターゲットを「60代シニア女性」とする場合は、本来であれば多様な60代シニア女性が存在することを考慮すべきです。

上記3つのトレンドクラスターはそれぞれ「消費意欲が活発」「人口ボリューム層」といったメリットは確かにあるものの、多くの企業が上記をターゲットに策定しているためレッドオーシャンです。大手企業ほど上記3クラスターを狙う傾向にあることを考慮しますと、中小は大手との闘いを避け、大手が狙わないクラスターをターゲットに策定するのも一つの勝ち筋です。

女ゴコロを掴めれば、商品は売れる!

これまでに、多くの企業の現場で女性マーケティング戦略の立案やアドバイザリーを行わせて頂いており、おそらく女性マーケティングの分野では、筆者が運営する会社は国内でトップ3に入る場数を踏んでいると思ってます。

多くの現場を見てきた中で、上記でお伝えした「女性マーケティング、基本の3箇条」はごく一部に過ぎません。教科書的な女性マーケティングのロジックだけではなく、場数を踏んできたからこそ知っている「女性マーケティングのあるある失敗例」「女性マーケティングのコツ」は他にもたくさんあります。

当コラムでは少しの事例しかお伝えできませんでしたが、何か一つでも、事業戦略を見直すきっかけにして頂けますと、筆者もこの上なく嬉しく思います。

各企業の課題は異なれど、共通していることは「女性と男性の間にある性差に着目した上で、女性の消費行動や女性特有の価値観、ライフステージやライフコースで異なる女性の生活行動」などを、事業戦略に反映すれば、必ずポジティブな成果が表れる、ということです。これは多くの企業を支援させて頂いていて、その結果も見届けている筆者だからこそ断言できることかなぁと思います(手前味噌ではありますが―)。

女性の心理や購買行動の特徴を理解する事の重要性を知り、それを社内で共有・反映していくための準備を整える事からぜひ始めてみてください (今現在は「コロナとの共存時代」という有事ですので、有事における女性マーケティングの考え方については「withコロナ時代 女性の心を掴むマーケティング戦略とは」でご紹介しています)。

女性マーケティングの視点で、事業戦略を見直し、女性客獲得を向上させたいと課題をお持ちの起業家の方、企業の方はぜひお気軽にこちらからご相談いただければと思います。

 

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執筆者プロフィール:

ドリームゲートアドバイザー 阿部 エリナ【女性マーケティング支援のウーマンズ】女性ヘルスケア市場を専門に「リサーチ&コンサルティング事業」と「法人用ニュースサイト運営」を行う会社を経営。大手企業を中心に支援実績多数。女性マーケティング戦略を強化したい方におすすめ。
プロフィール | 無料オンライン相談受付中

ドリームゲートアドバイザー 阿部 エリナ

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