起業アイデア 第1回 学習テーマ 【起業意識の重要さ】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

独立するなら、同時に起業すること

 

解 説

【本人の気の短さがトラブルの原因】

上 司の暴言にキレて勤務先を退職し、勢いで独立した機木希林さん。元々は機械組み込み用パソコンの開発に携わっていたが、独立後は開発では食えないと考え、 パソコン出張サポートなどを行う「パソコン何でも屋」を開業。だが、 3ヵ月もすると、客先とのトラブルが頻発。うんざりする機木さん。なぜそうなるのか? どうすれば彼女は立ち直れるのか?

機木さんは多少 気が短い。いや、正確に言えば、対人関係において気が短い。勤務時代の上司の「お前はアホか?」というセリフはもちろんいただけないが、発言の撤回を求め ることもしないまま、いきなり退職を決めてしまうのは、やはり度が過ぎている。

そんなタイプの人が、素人相手のパソコン出張サポートという ような仕事が務まるだろうか。あちこちの客先でトラブルが起きているというのは、恐らく、「覚えの悪い」人たちに対し、彼女が強い態度を取ったことが原因 になっている可能性が高い。

【自慢の開発力こそを事業の柱に据えるべき】

で は、どうすればいいのか。もちろん独立した以上、他人と協調することや、顧客に失礼のない所作を身につけることは必要。だが、対人折衝能力そのものが武器 になるような仕事を機木さんがこなすのは、厳しい。結論。彼女は事業内容を変えるべきである。

勤務時代、産業機械に組み込むパソコンの開発 を手がけていた機木さん。今ではこうした製品の開発技術は広く用いられているが、何年か前であれば最先端分野に属するものだったはず。つまり彼女は相当の 力量を持ったエンジニアなのだ。彼女は退職によって、得意とする仕事を捨て、よりによって不得意とする仕事を始めてしまった。

機木さん自 身、開発をしたくないなどとは思っていない。ただ、それを避けたのは、売り上げの回収が読みにくいことを経験上知っていて、「食うに困る」と考えたため だ。

しかし彼女の判断は間違っていた。会社を辞めたことは仕方ない。問題は事業内容である。「独立後も開発で食う」。これが機木さんにとっ ての正しい選択だった。守秘義務によって前職で知り得た技術を使えないことはあるだろう。だが、「パソコン何でも屋」をやるよりは、たとえ異分野の開発で も、そっちのほうが彼女には適した仕事である。

【起業する意識があれば、展開は違っていた】

そ もそも食えないと言うが、受注案件があれば交渉で前金を受けることもできる。フリーエンジニアと企業との間に入ってくれるエージェンシーに支援を仰ぐこと もできる。また、開発に取り組みながらであれば、部分的に「何でも屋」で食いつなぐことにも我慢ができる。あるいは、開発を先行させるなら、事業プランを 提示して、支援者や支援機関に出資や融資を求めることもできるのだ。

なぜ、機木さんはそんな簡単な判断がつかなかったのか。「もう上司は結 構。自分の好きにやりたい」という気持ちだけが先走ってしまったせいだ。「自分は独立する」という決意に加え、「自分は起業する」という意志があれば、彼 女の選択は違っていたはず。

なぜなら起業は、社会に自分の力を問う行為であり、自分の得意なことをしようと意識が働くからだ。機木さんの得 意技が「パソコンを教える」ことではなく、「パソコンを開発する」ことなのは自明である。

【独 立の武器には「コト」と「モノ」とがある】

機木さんが冒したミスは、実は多くの人が冒しがちなミスで ある。独立を目指す人の中には、前職でかかわった「モノ」が武器だと思い込む人がいるが、これは危険である。独立の武器になるのは、実は、「モノ」の場合 と「コト」の場合の 2とおりがあるのだ。

機木さんは「開発する」という「コト」が好きであり、得意である。本人は「パソコンというモノが好 きだ」と思っているかもしれないが、それは身近な素材だからだ。極論すれば、対象がパソコンでなくても、何か新しいモノを開発できれば彼女は満足できる し、決して、「独立はしたが仕事がイヤで……」などという事態に陥ることはなかっただろう。

反対に、例えば人形が大好きで、それを「つく る」ことも、つくり方を人に「教える」ことも、つくったものを「売る」こともOKだという人がいる。この人の場合は「コト」ではなく、人形という「モノ」 が独立の武器になる。

「コト」か「モノ」か。このどちらが、自分にとってのより強力な武器なのか、その見極めは本当に大事だ。そしてその見 極めは、前述したように、「起業する」という意識を持った時に、より正確に行えるのである。

今 週のキーワード<セット>

「独立する」という意識だけでは、「食えないと困る」という思いが先に立ち、
ついつい不得意な武器を手にしてしまう危険がある。
「独立するなら、起業する」。このセットが強い事業を生み出す前提である。

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