世界中で大注目「フェムテック」とは?商品・企業事例と、今後の市場動向

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 阿部 エリナ

女性特有の健康問題をテクノロジーで解決する「フェムテック」。

今、国内・世界の起業家やVCに注目されている領域で、昨年からは、女性生活者の間でも知られるようになり一大ブームとなっています。

女性ヘルスケア領域に特化した情報サービス業を行う会社(ウーマンズ:東京・お台場)を運営する筆者より、フェムテックの現状と今後の動向について解説します。

フェムテックとは

フェムテック(Femtech)とは、「Female(女性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、テクノロジーの活用により性や健康に関する女性特有の問題の解決を目指す分野を指しています。具体的には以下に記載している通り、月経、不妊、妊娠出産といった女性ホルモン周りのテーマのフェムテックが登場しています。

  • 生理用品
  • 月経周期の予測
  • 家庭用排卵日検査器
  • 不妊対策
  • 妊産婦のサポートケア(例:妊娠合併症の危険度の診断サービスや先端技術を利用したスマート搾乳機など)
  • セクシャルヘルス(例:性交痛をやわらげる潤滑オイルや女性用セックストイなど)
  • 骨盤ヘルスケア(例:骨盤のトレーニングを行うアプリや尿漏れ解消をサポートするウェアラブルデバイス付きのショーツなど)
  • 総合的な女性の臨床ヘルスケア(例:オンデマンドの遠隔治療サービス)

引用:ウーマンズラボ「フェムテックの市場規模・企業商品事例・動向

フェムテックが注目される理由

女性特有の健康問題は骨粗鬆症(男女比=1:3)、甲状腺疾患(女性に多い)など、本来は多岐にわたりますが、日本のフェムテック市場は現状、生理、妊娠出産、不妊といった女性ホルモン周りが代表的な存在となっています。なかでも、生理に対する社会的注目度は急速に高まっています。

2021年3月に入り、行政による「生理の貧困」対策が急速に進み、政府は3月23日、新型コロナの影響で困窮状態にある女性を支援するため交付金の拡充を決定し、使途に生理用品の無料配布も加えました。また、複数の自治体が生理用品の無料配布を開始しています。

  • 東京・豊島区:防災備蓄用のナプキンを無償配布(〜3/19日)
  • 東京・多摩市:公立の全小中学校26校で生理用品を希望する女児・生徒に、市の防災備蓄用を無償配布
  • 東京・足立区:ナプキンの無償配布(3/22〜26)
  • 東京・北区:防災備蓄用の生理用品を無償配布(3/25〜4/9)
  • 東京・荒川区:防災備蓄用の生理用品を無償配布(3/26〜在庫が無くなるまで)

引用:ウーマンズラボ「進む”生理の貧困”対策、政府が無料配布を決定

ではなぜ今、急速にフェムテックが注目されるようになったのか?それには以下の理由が考えられます。

  • テクノロジーの急速な進化と、xテックの世界的ブーム
  • 先進国を中心に性差医療・性差ヘルスケアが急速に発展し(国内では2000年以降)、女性の健康問題を性差による体の違いから捉える動きが活発化している
  • 女性の社会進出、SNSの浸透、ジェンダー平等意識の世界的高まりなどにより、それまで抑圧されてきた女性たちの声(性差による問題・不満・悩み・ニーズなど)が表面化され、それがビジネスの商機へつながっている
  • 女性起業家が増え、女性視点による女性のための画期的な商品・サービスが数多く登場するようになった
  • 一方で投資機関や投資家の間ではベンチャー支援の機運が高まっており、技術力や成長性あるスタートアップへの積極的な投資が行なわれている
  • 月経について女性たちがオープンに語るようになった

引用:ウーマンズラボ「フェムテックの市場規模・企業商品事例・動向

特にフェムテック市場の盛り上がりの背景には、世界各国での「女性のエンパワーメント」が大きく影響しているように感じています。

アフリカや中東、アジアなどの地域では「女性器切除(FGM)」の伝統文化が根強く残っていましたが、2020年にスーダンでようやく禁止に。サウジアラビアでは、2018年に女性の自動車運転が解禁。命を落としかねないほどの男尊女卑が根強いパキスタンでは2018年に全国初となる女性による権利平等を求めるデモ行進が行われ、2019年には全国各都市にまでデモが広がりました。女性の権利が著しく軽視されているパキスタンでのこの出来事はとても画期的でした。

発展途上国に限らず、先進国においても女性たちが#MeToo運動を起こしていますし、ポーランドでは2021年1月に、人工中絶が禁止されたことで大規模な抗議デモが起きています。

女性のエンパワーメントが世界全体で広がっていることは、フェムテック市場成長に大きな影響を与えていると思います。

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フェムテックの商品・企業事例

では実際には、フェムテック商品・企業はどのようなものがあるのか?いくつかご紹介します。

1.月経管理アプリ:ルナルナ

フェムテックという言葉が突如ここ最近から脚光を浴びたこともあり、新しい領域の登場のように見えますが、実はフェムテック企業はすでに女性ヘルスケア市場では存在しています。それは、多くの女性がすでに昔から知っている月経管理アプリのルナルナ。フェムテックの老舗であり先駆者でもあります。

2.オンライン診療でピルが届く:スマルナ

フェムテックの新規プレイヤーとして注目されているのは婦人科特化型オンライン診察プラットフォームの「スマルナ」。同社は2016年創業、現時点で累計20億の資金調達を完了。アプリのダウンロード数は累43万件となっています(2021年1月時点)。

3.卵巣年齢検査キット:エフチェック

卵巣年齢を自宅で測定できる日本初の卵巣年齢チェックキットF check(エフチェック)。卵巣年齢の計測は医療機関で行うのが一般的で、血液検査でわかるのですが、エフチェックはこの検査を自宅でできるキット。指先から採血して検査センターに郵送するだけ。結果は後日、スマホから確認できます。

出典:F Treatment

4.痛みのない乳房用画像診断装置:Lily MedTech

株式会社Lily MedTechは、乳がん検診率の向上と早期発見を目指し、痛みのない乳房用画像診断装置を開発。乳がんは全がんの中で最も罹患率が高いものの、日本の検診受診率は世界的に見て低くなっています。

出典:厚生労働省「がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン」

検診を受けない女性たちの理由の一つが、「痛そうだから」「恥ずかしいから」。この課題への解決が期待されているのが同装置です。以下は、JVA2020 で中小企業庁長官賞を受賞した株式会社Lily MedTechの 東志保さんのインタビュー動画です。

 

5.大手企業各社

生理一大ブームを商機と捉え、”生理”に関する取組みに積極的になる企業が今増えています。大手各社の最新事例は以下(各社取り組みの詳細は「空前の生理ブーム到来、大手各社の取組み事例5選」に掲載)。

  • <GU>生理吸収ショーツ発売
  • <ファミリーマート>生理用品を全品割引
  • <ららぽーと>生理用品、無料提供
  • <大王製紙>“生理の貧困”国のSRHR向上を支援

まとめ

当稿ではフェムテック市場の概要を見てきましたが、企業サイドとして気になるのは「女性生活者たちはフェムテックって知ってるの?使ってるの?」「フェムテックブームをどう見てるの?」といった実際のところ。そして今後のフェムテック市場がどうなっていくのか?といった点だと思います。

次回のコラムでは、フェムテックに対する女性たちの意識や本音を紐解いていきます。

筆者が運営する会社、ウーマンズでは、フェムテック/女性ヘルスケアのマーケット情報をメルマガで配信していますので、女性ヘルスケア市場についてもっと学びたい!と言う方はぜひご登録いただければと思います。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 阿部 エリナ【女性マーケティング支援のウーマンズ】
女性ヘルスケア市場を専門に「リサーチ&コンサルティング事業」と「法人用ニュースサイト運営」を行う会社を経営。大手企業を中心に支援実績多数。女性マーケティング戦略を強化したい方におすすめ。
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ドリームゲートアドバイザー 阿部 エリナ

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