2017年10月23~25日虎ノ門ヒルズで行われた第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2017)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

LINEとも協働したAI活用の業務効率化システムで、
「最適なカスタマーサポート」を実現する!

企業紹介

執筆者: 東 雄介 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

AIでコールセンター業務を自動化する
「AI Chat Supporter」が大人気

事業や製品・サービスの紹介

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株式会社サイシードの事業の柱は大きく2つある。1つは、旧帝大などの優秀な理系学生をターゲットにした採用支援事業だ。例えば、大学生協と培ってきたコネクションを生かし、学内の学食など大手求人媒体が参入していないニッチな領域に採用広告を掲出する。

2016年5月からは、チャットによる就活相談サービス「就活Myコンシェル」の提供を開始した。これは、学生たちが就活のプロを自認する「コンシェル」から、LINEを通じていつでも手軽にアドバイスを受けられるというもの。コンシェルが相談に乗りながら学生に最適な企業を紹介し、同社は企業から紹介料を得る。もちろん学生は無料で利用可能だ。

就活支援事業に加えて、成長著しいのがAI事業である。同社が展開する「AI Chat Supporter」は、AIによってコールセンターなどカスタマーサポート事業のサービスを効率化するもの。これまで、多くの人材紹介会社やタクシー会社などに導入が進んでいる。

そこから派生した「AI FAQ Supporter」は、例えばコールセンター内のマニュアル検索を高速化・高精度化。いまだ膨大な紙のマニュアルを参照しているコールセンターが実は多く、オペレーターたちは「どの資料に何が書かれているかわからない」という悩みを抱えている。これではせっかくのナレッジも宝の持ち腐れ。同サービスを活用すれば、Google検索並のスピードで該当する適切な回答を見つけ出せる。

そして「AI Decision Supporter」は、属人的な経験に基づいて行われていたマッチング系のビジネスをAIで支援するサービス。こちらもすでに結婚相談所やECサイトの在庫管理などの業務に導入されている。採用支援事業会社から始まった同社は、最先端のAIソリューションカンパニーへと立ち位置を変えつつあるのだ。

システムの完全自社開発が強み。
AI市場のオーダーにいち早く応える

対象市場と優位性

同社の最大の強みは、先端技術開発を柔軟な体制で行える開発体制を持つこと。そのため、成長著しいAI市場においても、求められる商品を安価かつ機動的にキャッチアップし、世に送り出すことができるのだ。

先述した「AI Chat Supporter」も、既存自社事業の業務を改善するプロセスとして生まれた。「就活Myコンシェル」のユーザーが増えるとともに、人的な相談業務が煩雑化し、返信業務の効率化が必要となった。そこで社内向けにチャット効率化ツールを開発、運用していたところ、社外から引き合いがあり、自社の仕組みの外販を始めたという経緯だ。

もちろん、技術力のみを武器にしているわけではない。「AIの強みは人間が引き出してこそ」。そんな考えのもと、専門のコンサルタントが導入支援から、全体のオペレーションフローの見直しまで、クライアントが求めるニーズに最適なソリューションの提供を大切にしている。

同社代表の中村陽二氏の言葉を借りるなら、「AIの限界をよく理解している」のだ。実際に、中村氏自身が営業現場に出向いて顧客が抱える細かなニーズを掘り起こし、すぐさまサービス立ち上げに結びつけることもしばしば。

課題が特定クライアントの枠を超えて、他社にも潜んでいるとみれば、そのサービスをできるだけ早くパッケージ化してリリース。ニーズ発見からサービス立ち上げまでのスピード感も、同社の強みであり、持ち味だといえるだろう。

「顧客接点」のサービスを深掘りしつつ
技術で横展開、さらなる成長目指す!

事業にかける思い

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中村氏は、東京大学在学中から複数の起業を経験している。そして大学院修了後は、マッキンゼーに就職。サイシードは、事業承継型のM&Aによって創業した。現在は、株式を全研本社(教育文化事業の企業・ITコンサルティングの企業)に売却しており、中村氏は全研本社の取締役も兼任している。

サイシードの社長就任時、中村代表は28歳だった。その若さで71歳の社長が経営していた事業を承継し、経営するのは楽ではなかったはずだ。その問題は「“事業の成長”が解決してくれた」と中村氏は言う。

コールセンター効率化という突破口を見つけるまでは苦労しましたね。ただ突破口を見つけて優位な立場を確立市場の成長が著しいため、自然な流れに乗り成長はしやすい。チームに成長事業を自分が担っているという実感がある限り、組織はまとまります。その意味で、成熟した事業だらけの企業に比べると急成長事業を抱えるベンチャーのマネジメントのほうがやりやすいと思っています」

「知名度では負けても、商材の力ではオラクルやIBMと競っても負けない」と中村氏は胸を張る。今後も引き続きコンタクトセンター、サポートセンターといった顧客接点におけるサービスを掘り下げつつ、技術面ではAI×自然言語処理など横展開を進めていく計画だ。「2018年には、コンタクトセンター周辺でサービスを提供する複数企業と組んで『理想のカスタマーサポート』を打ち出す予定。今はその実現が、私にとっての一番大きなモチベーションです」。

株式会社サイシード
代表者:中村 陽二 氏 設立:2015年4月
URL:http://www.sciseed.jp/ スタッフ数:40名
事業内容:
採用支援サービス、各種AIソリューション事業など
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
親会社(全研本社)の100%出資
ILS2017 大手企業との商談数:
7社

当記事の内容は 2018/3/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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