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参加者の7割が女性 開始1年半で1000人が参加した自然体験
展開している事業内容・特徴
毎日忙しく働いて疲れ果てているあなたへ――。自然体験を通じて心身ともに元気になってもらいたい――。ほっとできるもう一つの我が家の存在でありたい――。そんなコンセプトで独自のサービスを展開しているのが、株式会社僕らの家だ。「僕らの家」は、Webサイトのみの集客にもかかわらず、スタートしてからわずか1年半で、1000人が参加した人気のサービスだ。
「僕らの家」の事業内容は、大きく分けて2種類。キャンプ、トレッキングなどの個人向け自然体験事業と、企業研修事業だ。個人向けの自然体験事業は、宿泊キャンプ、日帰りBBQ、古民家での自給自足体験や農業体験などがサービスのコンテンツだ。各種イベントはいつも満員なのだが、参加者の7割が女性。それも、初回から1人で参加するケースが多いという。
イベントの集客はWebサイトからのみだが、定期的に開催している無料説明会にも申し込みができる。この説明会がポイントで、ただ事業内容の説明をするだけではなく、アイスブレイクと呼ばれる『緊張をほぐし、仲を深める遊び』を取り入れている。これを取り入れることにより、スタッフと参加者、参加者同士の絆を深めているという。説明会では過去にイベントに参加したリピーターが顔を出してくれることも多く、初回ユーザーのイベント申し込みの後押しとなっている。また、イベントに参加したユーザーにはFacebookページでタグづけして写真を公開するサービスも。Facebookページを活用を始めてから、友人の紹介というかたちでの参加も増えたという。こうした仕掛けで、高率の良い集客を実現している。
企業研修事業は、キャンプ体験がメインとなっている。1人ではできないゲームをチームで体を使って体験することで、組織内の絆を深め、パフォーマンスを上げることが最大の目的だ。このプログラムが非常に好評で、年間契約を申し込む企業が着実に増加している。
「僕らの家」には、参加者全員が必ず守らなければならないグランドルールが存在している。それは、「ニックネームで呼び合う」「敬語は使わない」「受け入れる」「とにかく楽しむ」の4つだ。こうした、初対面でも一気に距離が近づくコミュニケーション手法の徹底も、「僕らの家」の人気を支えている理由の一つ。
またもう一つ、こだわりっているルールがある。宿泊イベントはアルコールいっさいNGという点だ。アルコール無しでも本音で語り合える仲間づくりを目的としており、夜通し語り合う参加者も多いという。これらはすべて、ユーザー間の深い信頼関係の構築を狙っているもの。コンセプトとルールの相乗効果がユーザーに受け入れられた結果、同サービスのリピート率は実に6割を超えている。
疲れた大人にこそ、癒しが必要だと確信
ビジネスアイデア発想のきっかけ
「僕らの家」代表の中島昭聡氏は、ザリガニ釣りと森の中で秘密基地をつくるのが好きな少年時代を過ごし、大学に進学してからはアニマルセラピーを専攻。そして、その傍らで、キャンプサークルに所属し、NPO法人で青少年を対象にした自然体験のインストラクターに従事していた。青少年に自然の素晴らしさや人と人との絆を知ってもらう活動を続けた中島氏は、たくさんの笑顔を生み出す自然体験事業を将来の仕事にしたいと考えるようになる。
大学卒業後は、将来自然体験事業で起業することを目的として、勉強のために起業支援事業を展開する某企業に入社する。しかし、激務の社会人生活が待っていた。そして、朝から夜遅くまで働く忙しさと、人間関係のストレスから身体を壊してしまう。
そんな折、自然と触れ合うことによって、心と体が癒されることを再認識。「大人にこそ自然体験が必要なのでは」と強く感じるようになったという。しかし、起業のリサーチを進めていくなかで、自然体験業界は非常に厳しく、一握りの人だけしか生計を立てることができないという現状を目の当たりにした中島氏。それでも、あきらめるのではなく、自分が業界のマーケットを広げていこうと決心。そして、2011年2月、26歳で、株式会社僕らの家を設立した。
自然体験を通じて心身ともに元気になってもらいたい、ほっとできるもう一つの我が家の存在でありたいといったコンセプトは、まさに中島氏の実体験から生まれたものなのだ。
そして、中島氏は、「実際に、もう一つの我が家をつくりたい」と、2011年秋、千葉県勝浦市にある古民家と4000坪の山と畑を借りた。参加者が納屋の掃除、床の張替え、山の木々の間伐、ドラム缶炭窯といった古民家の改装を手伝い、みんなでつくった「僕らの家」が2012年春に完成。今後は古民家での自給自足体験により力を入れていくという。
都内にもほっとできる場所を そして地域活性化も目指す
将来への展望
中島氏の将来の構想は大きく分けて2つ。ひとつは都内でのカフェ出店だ。都心で毎日を忙しくすごす人がリラックスできるような空間にしたいという。勝浦市で自給自足を実現し、採れたての新鮮野菜を提供することも検討している。
そして、もうひとつは、「僕らの家」がある千葉県勝浦市の活性化だ。古民家の改装作業を通じて、人の優しさや温かさを思い出させてくれた勝浦市。今後は古民家を拠点に、地域の方々と連携した、畑づくり体験、林業・漁業体験、郷土料理づくりなどのスローライフ体験のサービス提供を計画している。さらには、仕事や将来のことを考えるワークショップスペースを併設したい、とも。
「起業して、人のありがたみが、よりわかるようになった。たくさんの人たちの支えがあったからこそ、こうして仕事ができている。これからも、この事業に関わってくれる方々を大切に、幸せにできるような企業に育てていきたい」。インタビューの終わりに中島氏は、そう語ってくれた。自然にも人にも優しい「僕らの家」。これからの展開に注目だ。
株式会社僕らの家 | |
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代表者:中島 昭聡 | 社員:4名(アルバイト含む) |
設立:2011年2月1日 | URL:http://www.bokuranoie.com/ |
事業内容:自然体験事業、古民家自給自足・農体験事業、人材育成事業、カフェ事業 |
当記事の内容は 2012/6/7 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。