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提携事例

Wafer Integration株式会社(以下、WI社)と株式会社ヨコオは2015年7月13日に業務提携を発表。ダイサイズ半導体電気特性評価装置「 DdProber(仮称-商標登録出願中)」を9月より販売開始した。同装置は「次世代型半導体電気特性評価システム」事業の最初の製品として、WI社が開発と生産、販売とサポートを株式会社ヨコオが担当している。

ヨコオの背景と狙い

株式会社ヨコオは1922年創業で、アンテナなどの車載通信機器分野から、無線通信機器、医療機器、半導体デバイス、電気検査用治具などを製造・販売している。なかでも、半導体検査市場向けの検査治具では世界トップクラスのシェアを誇る。

半導体検査装置市場は製造装置等も含めると数千億円の規模がある。特に半導体検査装置は半導体製造全体の歩留り改善に大きく寄与するため重要な領域だ。検査装置は前工程と後工程にわかれ、同社の得意領域は後工程の分野であったが、前工程への進出も5年前から進めるとともに半導体開発段階での検査・評価装置と治具の研究も進めていた。半導体開発段階での高性能な検査装置の製品化は大きなビジネスチャンスであった。

WIの背景と狙い

WI社はつくば市に拠点を持ち、産業技術総合研究所の基本特許「自己検知型AFM技術」をベースにした「次世代型半導体電気特性評価システム」の開発を行っているベンチャー企業だ。AFMとは Atomic Force Microscope(原子間力顕微鏡)の略で、同社ではナノメートル単位の「針先」と「位置制御」でトランジスタをダイレクトに測定できる技術を持つ。

従来型のSEMと呼ばれる電子線方式の装置ではどうしても巨大になり、高いコストがかかる。しかし、同社のAFM方式であればデスクトップサイズにまで小型化されており、コストも少なく済む。今まで、需要はあるものの、使い勝手の悪さから広く普及するまでに至っていないという課題があった。。

提携内容

株式会社ヨコオとWI社がはじめて商談をもったのは、2014年9月の第2回ILSでの場。5年前から研究を続けていたヨコオ社だが、このまま自前で研究開発を続けて製品化するまでには、まだ10年はかかる見込みだった。WI社の持っていた技術は、まさにヨコオ社が求めていた技術だったため、商談をリクエストした。一方のWI社も技術はあるものの、製品化・事業化の目途をつけられないでいたが、半導体検査治具で世界的シェアを持ち、既に世界中の半導体メーカーに繋がりを持つヨコオ社との提携は願ってもない話だった。そうして「相思相愛」の形で商談は進んだ。

ILSが終了した翌月には、ヨコオ社の担当者がつくば市にあるWI社を訪問。実際にWI社の持つ技術を視察した。11月には基本的に合意し、具体化に向けた作業が始まった。ヨコオ社としては今回の取り組みは「新規事業」になるため、まずは専門の人材から採用する必要があったが、良い人材の採用は提携条件の1つでもあったため、人材採用からWI社は関わった。新製品の企画・構想についてはヨコオ社から事前に様々な半導体メーカーに提案を行い感触をはかっていたが、その反応も良かったため、2015年4月には契約を締結して、正式な事業としてスタート。2015年7月には事業提携の発表と製品販売が開始された。

ヨコオの提携ストーリー

商談リクエスト数※1

32

商談数※2

18

後日フォローアップ

3

提携合意数

1

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。ILSでは参加ベンチャー企業を様々な検索軸で検索し、リクエストを行う事が出来ます。また、ベンチャー企業からもリクエストがあります。この仕組みにより、事前に精度の高いマッチングが可能となります。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
株式会社ヨコオ 取締役 執行役員常務 経営企画本部長 ISMS担当 深川 浩一氏

WI社とは第2回ILSで商談しました。私どもが検討していた半導体検査装置・治具の分野でいえば、WI社の技術はピッタリでした。また、WI社からも当社との商談を希望されていたようで、まさに相思相愛でした。こうしたケースはILS全体でもかなり珍しいという事でした。

今回のプロジェクトについて、ヨコオ社が独自で開発していては、あと10年はかかるだろうと考えていたのですが、10年はかかる研究期間が一気に短縮されて、結果的に1年とかからずに製品化までたどり着けました。今回の事業提携は本当に良い出会いだったと思います。

また、今回のケースは、当社にとっては新規事業を立ち上げたようなものでして、この分野に強い人材から探してこなければいけませんでしたが、人材採用についてもWI社の天野社長に面接してもらうなど、全面的に協力してもらい助かりました。

Wafer Integration株式会社 代表取締役 天野 佳之氏

我々の持つAFMの技術、自己検知型の検査装置は、従来の電子線方式のSEM型とは補完関係にあります。それぞれ得意とする領域が違うためです。簡単に申しますと、SEM型は広い領域で配線回路を検査する用途に強く、AFM型はトランジスタ自体を検査するので狭くピンポイントでの用途に強い。

半導体の世界はプレイヤーが限られています。特に最終製品となると、インテルや東芝など、非常に限定されます。実は我々単独でも半導体メーカーに声をかけていますが、まだ実販に結びついていません。特に海外となると手が出ない状況です。しかし、ヨコオ社は世界のほとんどの大手半導体メーカーと取引実績・口座をひらいているという事で、そのチャネルは我々にとっては願ってもない事でした。

今は販売面での提携ですが、今後は共同開発などにも広げていきたいですね。