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事例一覧 > NTTコムウェア株式会社 x 株式会社セキュア x 株式会社Mealthy

提携事例

新たなAIビジネスの創出に向け、共同でサービス検証を実施

NTTコムウェア株式会社は、2017年3月1日に画像認識AIソリューション「Deeptector®(旧名称: Deep Learning画像認識プラットフォーム)」を販売。この事業展開において、株式会社セキュア、株式会社Mealthyほか2社のベンチャーとビジネス検証を行い、新たなAIビジネスの創出および迅速なサービス提供を目指す。

NTTコムウェアの背景と狙い

NTTコムウェアは、Monitoring(監視・検閲)、Maintenance(保全・点検)、Manufacturing(製品検査)の3M領域を主なターゲットとして画像認識AIソリューション「Deeptector®」を展開してきた。一方、画像認識AIは、新しい技術として、さまざまな領域の社会課題やニーズの解決となり得る。そこで、想定の事業領域だけでなく、多様なパートナー企業との提携・協創活動から、新たなAIビジネスの創出を行うべく、オープンイノベーションの取り組みを強化した。

NTTコムウェアがベンチャーと提携するにあたり重視したのは「教師データ」だった。AIビジネスの創出には、プラットフォームと同様にAIが学習するための「データ」が欠かせない。NTTコムウェアにとって新しい領域でAIビジネスに取り組んでいくために、「データ」を適切に集められるベンチャーとの提携を求めていた。

セキュアの背景と狙い

株式会社セキュアは、2002年に設立したセキュリティベンチャーで、B2Bの監視カメラシステムや入退室管理システムの開発・販売を事業にしている。セキュリティ製品導入前の要件定義から、導入後の運用サポートまでのワンストップ提供を強みに、顧客担当者が安心できるセキュリティサービスを提供している。また同時に、セキュアは先端テクノロジーを駆使した製品の提供に率先して取り組んできたことでも知られる。2010年より、フィジカル・セキュリティ事業を強化させ、画像解析技術や顔認証技術を用いた製品の開発・販売に注力してきた。NTTコムウェアとの提携を求めた背景は、2016年5月販売のサービス『SECURE VSaaS』にある。スマートカメラの映像をクラウド上で常時録画するものだが、提供後「SECURE VSaaS上で画像解析を行いたい」といった顧客ニーズが集まりはじめる。しかし、自社にはそれを開発するためのリソースが十分でなく今後の課題となった。そして、そのソリューションを担うのが「Deeptector®」だった。

Mealthyの背景と狙い

株式会社Mealthyは、2014年設立のITヘルスケアベンチャーで、生活習慣病予防のための食習慣改善アプリ「Mealthy」を事業としている。Mealthyは、コンビニ食や外食メニューから自分に適したものが簡単にわかるアプリ。スマートフォンで撮影したメニュー画像でMealthyが提携する栄養士に相談でき、相談ユーザーの約9割がダイエットに成功した実績を持つ。当初B2Cとして提供されたMealthyだが、近年からB2B2Cに注力。健康経営の推進や保健指導のほかにヘルスケア事業を模索する法人を裏側から支えるITサービスとして、Mealthyとの協業提案を行なっている。NTTコムウェアとの提携を求めた背景には、2017年からテスト的に取り組んできた画像解析技術を活用した機能開発にある。社内開発のため、「解析精度」と「適正な開発コスト」の判断が課題となっていたからだ。また、提携の狙いはふたつの「付加価値の向上」にもある。ひとつは、メニュー画像の自動判別や食育の自動アドバイスといった「新しいユーザー体験の提供」。もうひとつは、オペレーションコストの最適化による「成果に対する費用対効果の高さ」で、中長期の事業課題として想定される提携栄養士の不足にも備えることだった。

提携内容

NTTコムウェア、セキュア、Mealthyが新たなAIビジネスの創出に向け、Deeptector®を活用したサービス検証を共同で開始したのは2018年1月のこと。そこから半年が経つが、今まさにビジネス創出に入るフェーズだという。NTTコムウェアはパートナー企業とより連携を密にし、ともにどのような市場をめざしていくかを練り上げていくとしている。

セキュアは、多様化する顧客ニーズ−−、カメラ画像から人数を把握したいのか、性別を把握したいのかなど、Deeptector®を用い一社一社のニーズにきめ細かく対応できるセキュリティシステムのインフラ構築をめざす。また、経営企画室室長・谷口才成氏は、社会課題へのソリューションとして無人店舗運営を支援する製品提供や、監視カメラのプライバシー問題に考慮したサービス開発などにも注力していくと話す。

Mealthyは、Deeptector®の顧客に合わせたカスタマイズとチューニングのしやすさを武器に、たとえば糖尿病に特化した食事判定など、ユースケースごとに精度の高いメニュー画像解析サービスを提供していく。また、代表取締役・鈴木勝之氏によれば、「以前、Deeptector®のようなAPIで国内・海外の画像解析技術を検討したが精度がよいものがなかった」という。そこで、将来的にはグローバル展開も視野に入れていく構えだ。

ベンダーとユーザー企業の提携から生まれる数々のソリューションと新たなビジネスの胎動。まさにオープンイノベーションならではのプロジェクトが今、本格始動しようとしている。

NTTコムウェアの提携ストーリー

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

21

商談数※2

23

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

2

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。ILSでは参加ベンチャー企業を様々な検索軸で検索し、リクエストを行う事が出来ます。また、ベンチャー企業からもリクエストがあります。この仕組みにより、事前に精度の高いマッチングが可能となります。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
NTTコムウェア株式会社 営業企画部 戦略推進部門 部門長 高畑 成基 氏

ILSでは23社のベンチャーと商談を行いました。ビジネス検討に至ったのはセキュア、Mealthy含む4社です。それぞれビジネス領域が異なりますが、選定ポイントは一様で、データを適切に集められることに加え、「ビジネスイメージを具体的に描けている企業」であること。「Deeptector®を活用し、何をしたいのか」というゴールが明確で、かつマイルストーンにも具体性があるベンチャーをパートナーとさせていただきました。

一方、我々がビジネスマッチングに参加するのは今回のILSが初であり、手探り感もありました。それゆえ、ILS後の打ち合わせでは、お互いがめざすゴールのすり合わせはもちろん、スピード感においてもできる限りミスマッチがないようにするなど、よい協業環境を築けるよう努めてきました。

株式会社セキュア 商品戦略部 部長 黒岩 正和 氏

ILSは2016年から参加しており今回が3回目です。15分という短い商談時間で的確に協業メリットを伝えられるかを念頭に置き、NTTコムウェアさんとの商談に臨みました。前々回での反省を生かした対策でしたが、商談2日後にNTTコムウェアさんからご連絡をいただき、翌週にはアポイントが取れ、当社のエンジニアとともに訪問させていただきました。これまでのマッチングはどちらかというと販路拡大の商談が多かったのもありますが、意思決定に時間がかかることが常だったので、そのスピード感に驚きました。

株式会社Mealthy 代表取締役 鈴木 勝之 氏

ヘルスケア領域はビジネス化の難しさが課題としてあり、食に関わるソリューションを提供したい企業や食品メーカーなど、近しい事業領域の会社との協業機会を得られる場として、ILSに参加してきました。一方、ITベンチャーならでは、よい技術があれば内製にこだわることなく積極的に取り入れていきたいという考えも常に持っていて、今回のILSでNTTコムウェアさんとの商談にリクエストさせていただきました。画像解析技術は当社のビジネスで重要なテクノロジーなので、提携に至ったのはとてもうれしく思います。あと、印象的だったのが打ち合わせの内容ですね。ビジネスマッチングというと、商談後の打ち合わせでは、改めて当社が事業内容を説明しご検討いただく、という流れが多い。しかし、NTTコムウェアさんの場合、初の打ち合わせから、サービス化に向けての具体的な話題でお話を進めることができました。