だれもがメーカーになれる!モノづくりのクラウドファンディング「zenmono(ゼンモノ)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

資金だけでなく、サポーターも集められるモノづくりのクラウドファンディング
展開している事業内容・特徴

zenmono1おもしろいプロダクト(製品)のアイデアを思いついたとき、どのようにすれば製品化できるだろうか。商品開発の経験・資金があるメーカーであれば、企画しだいで製品化することができるだろう。一方、自社製品開発の経験・資金がない町工場や個人の場合、せっかくいいアイデアが浮かんだとしても、製品化の方法が分からないので、お蔵入りになってしまうかもしれない。

最近はクラウドファンディングの登場により、資金面の問題は解決できるようになってきたが、開発経験のない企業や個人がアイデアを製品化するためには協力者の存在も必要だ。

そこで今回は、製品開発の経験がなくても、製品化のチャンスを得ることができるサービス「zenmono(ゼンモノ)」をご紹介する。「人のご縁でモノづくりをする」という社名の由来を持つ株式会社enmonoが、2013年5月にスタートした“モノづくり”に特化したクラウドファンディングサービスだ。 

「zenmono(ゼンモノ)」の特徴は、モノづくりの資金集めだけでなく、販路や販売方法を考えるマーケッター、製品のデザインをするデザイナー、経営アドバイスやコンサルをお願いできるメンターなどとのネットワークもつくることができることだ。

利用方法は、まず会員登録をして、自分が企画したプロジェクトを申請する。提出されたプロジェクトは審査を経て、「zenmono(ゼンモノ)」サイト内に掲載される。その後、zenmonoスタッフと協力しながら、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアを活用しながら情報を広げていき、資金や支援者を集めていく。

また、試作品を製作すると、サポーターからのフィードバックを得ながら商品を改良していくことができる。製品を生み出す段階で、協力者でありファンでもある人たちと繋がることができるところも「zenmono(ゼンモノ)」の大きな強みだろう。募集期間内に目標金額に到達すれば、製品化が決まる。

仮に、期間内に目標金額が集まらなかったプロジェクトでも、継続してサイト内に掲載することができる。「モノづくりは一回で成功するとは限らない、何度も試作を繰り返していくうちに、より質の高いプロダクトができていく」という考えからだ。

支援金を出してくれたパトロンの人たちには、支援額に応じて開発者がプレゼントを送る“ありがとう(対価)”という制度がある。このようなWIN-WINの関係も、「zenmono(ゼンモノ)」成功の秘訣といえるだろう。

有限会社光精工の秋山大輔氏が開発した筋肉育成グッズ「くるくるパンプアップ」は、「zenmono(ゼンモノ)」が送り出した製品の第一号。新聞各紙でも紹介されている。「くるくるパンプアップ」は、現役プロキックボクサーでもある秋山氏が個人的に製作し、利用していた筋肉育成グッズ。enmonoスタッフと協力して、子供や女性、お年寄りでも使いやすい重さに改良し、デザインも可愛らしくした試作品を「zenmono(ゼンモノ)」に投稿。投稿から数週間で人気に火が点き、目標金額を越えて製品化に成功。製品も売れ続けている。

町工場の人とワクワクするモノづくりをして、メイドインジャパンの価値を取り戻したい
ビジネスアイデア発想のきっかけ

zenmono2高度成長期以降、日本では大量生産・大量消費の経済的成長が前提とされ、分かりやすいニーズに対して、効率的に生産することが求められてきた。そのため、アップルやグーグルのように、新しい市場をつくるようなアイデアや起業家が生まれにくい国になってしまっていた。

株式会社enmonoの代表を務める三木康司氏は、富士通出身。日本を代表する大企業で働く中、「社員が何万人もいる大きい組織では、個人の意見や企画はとおりにくく、自分が本当にやりたいモノをつくるのは難しい」と、日本のモノづくり市場の行き詰まりを実感していた。。

「メイドインジャパンの価値を取り戻したい!」「小さな組織の人たちと、ワクワクするモノづくりのプラットホームを創りたい!」そういった想いが高まり、中小企業を支援する企業に転職。IT担当役員などを務めた。そこでスズキ出身の宇都宮茂氏と出会い、二人は意気投合。2009年11月11日、三木氏と宇都宮氏は2人で株式会社enmonoを設立。誰もがメーカーになれる「マイクロモノづくり」の概念を広げることを目標とした。

 enmonoは創業時より、自社製品の開発を目指す製造業の経営者、MAKERSとしてモノづくりをビジネスにしていきたいという人たちに向けて「マイクロモノづくり経営革新講座」の開催にも力を入れている。

参加者の「できること」と「好きなこと、ワクワクすること」を徹底的に分析することで、オリジナル製品の企画につなげるという“ワクワク・トレジャーハンティングチャート”をベースに、新製品の開発をめざす実践的な講座だ。

受講生は一期につき10名を上限としている。これは、例えば吉本興業のように、講座を通して講師と卒業生のネットワークを大切にしながら、おもしろいモノを世の中に送り出していきたいという想いからだ。

「くるくるパンプアップ」を企画・開発した秋山氏もマイクロモノづくり経営革新講座の卒業生。秋山氏は初め、オリジナルの折りたたみ自転車を作りたいと言っていたが、この講座を受ける中で、自分の方向を見つめなおした。現役プロキックボクサーであることを生かし、筋肉育成グッズの開発に方向転換し、成功した。

「マイクロモノづくり経営革新講座」で、どのような事業をしていくか、ベースを確立し、その上で、よりモノづくりをオープン化するステップとして「zenmono(ゼンモノ)」がある。この2つのサービスを上手く連携させていることが、プロジェクト成功のポイントだろう。

世の中をアッ!と言わせる事業で、日本の製造業を復活させていきたい
将来への展望

「マイクロモノづくり経営革新講座」と「zenmono(ゼンモノ)」により、製品を企画し、試作品を創り、評価を受けながら、世の中に出すというモノづくりの流れは完成しつつあるように思える。これからどのように事業を展開させていくのか、創業者のお二人に将来への展望をお聞きした。

三木氏は、「会社が4年目で、“zenmono(ゼンモノ)”もできたばかりなので、まだこれからだと思っている。“くるくるパンプアップ”は製品化され、皆さんに知られるようになってきたが、これからもモノづくりのノウハウを生かしながら、世の中をワクワクさせ、自分たちもワクワクできる製品を生み出していきたい。3年後には、世の中をアッ!と言わせる事業になっているのが目標」と語る。

宇都宮氏は、「新たなアイデアや革新的な製品というのは、データやマーケティングからは出てこないもの。不確定な未来と自分のワクワクを信じることで、全く新しい発想が生まれてくる。そういう意味では、新製品のアイデアを考えることは発明家やアーティストの活動に近いものかもしれない。どこの国でも作れるものではなく、日本人の自分たちだからこそできるモノづくりがある。そんなモノづくりで、日本の製造業を復活させていきたい」と語ってくれた。

考えてみれば、どんな大企業・どんな世界的なサービスでも、はじまりは一部のワクワクからスタートしたもの。一部のワクワクが、世の中全体をワクワクさせていったのだ。「zenmono(ゼンモノ)」発のワクワクも、いつか世界へと羽ばたいてほしい。

株式会社enmono(エンモノ)
代表者:三木 康司 スタッフ数:2名
設立:2009年11月11日 URL:https://zenmono.jp/
事業内容:
・自社製品開発支援(マイクロモノづくり支援)
・マイクロモノづくり研修サービスの提供
・工業製品の設計・開発・製造・販売業務
・経営コンサルティング業務
・インターネットを活用した情報の提供および企画・運営・販売業務
・コンピュータ・システム開発並びに運用請負
・これらに付帯する一切の事業

当記事の内容は 2013/7/18 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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