ビジネスモデルを転換し、第二のスタートで急成長。1万2000人が参加! アーティストにもっと脚光を!「getstage(ゲットステージ)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

最初のモデルは泣かず飛ばず…
しかし、ビジネスモデルを転換してから急成長したアーティストのためのオンラインマッチングサービス
展開している事業内容・特徴

getstage1音楽関連業界は長い苦境に陥っているが、新たな取り組みで業界を盛り上げようとする面白いベンチャーが数多く登場している。今回紹介するのは、ミュージシャンやダンサー、デザイナー、フォトグラファーなどのアーティストを支援するオンラインマッチングサービス「getstage(ゲットステージ)」だ。

2011年6月にサービス開始してから、現在までに1万2000人ものアーティストが登録している。登録したアーティストたちに提供する主なサービス内容は、仕事マッチングはもちろん、コンテストやさまざまなアーティストとのコラボ企画、イベント情報なども掲載されている。

「getstage」を運営しているのは、株式会社g&h(ジーアンドエイチ)。創業者の松山仁氏によれば、これまでの音楽関連業界は俗人的で、著名になる前のアーティストなどの情報やブッキングなども人づてがほとんどだったそう。そんなアナログで外から見えづらい仕組みをインターネットを使って可視化すれば、「ヤバイ」アーティストをネットで見つけられるようになる……「そんな世界になれば面白い」という思いで事業を進めているとのこと。

「getstageは、とにかくアーティストが自己表現できる場=ステージの発掘に特化する。そこに出たアーティストがたくさん集まってくる。すると、今度は集まってきたアーティストやユーザーに対して宣伝やイベントを仕かけたい企業が注目し始める。そこに同社のビジネストチャンスが生まれるというわけだ。

「getstage」の主な収益モデルは、ステージやイベントを主催する企業からの広告収益だ。広告といってもバナーや宣伝ページの掲載だけではない。同社のサービスを通じて、アーティストたちを巻き込みながら、大きなムーブメントを起こすというのがポイントだ。

たとえば、有名なロックバンドである「RIZE」のボーカル兼ギタリストのJESSEとコラボレーションしたいアーティストを募集していたり、リクルート社が運営しているイベント集客サイト「ATEND」と「ホットペッパー」の共同プロモーションも展開している。

さまざまなメディアを組み合わせた大規模な広告キャンペーンでは大手代理店に勝てないが、ユーザー参加型の企画・イベントなど、ピンポイントの企画では圧倒的な強さを見せている。「getstage」ユーザーの口コミ力と、ソーシャルネットワークなどを活用した広告効果は非常に強力で、一般的なプロモーションと比べてもその費用対効果は圧倒的に高い。ニッチだが強力なメディアだからこそ、特定層へのピンポイントの広告・宣伝効果が期待できるというわけだ。

また、企業から費用をかけた大型キャンペーンを依頼されると、結果的に「getstage」の認知度がアップし、さらにユーザーを増やすことになる好循環。 こうして、1万2000人ものアーティストが参加するサービスに成長した「getstage」。利用者から費用を取らず、別の収益源を確保した、フリーミアムモデルの成功見本例といえよう。

創業者は営業マンから独立したDJ。途中、ビジネスモデルを180度転換
ビジネスアイデア発想のきっかけ

getstage2「getstage」を運営する松山氏は、DJをやっていたことがきっかけで、このサービスの立ち上げることになった。松山氏は高校時代からDJとして活動していたが、音楽で食べていくのは大変だと感じていた。そこで大学卒業後、大手総合人材サービスのインテリジェンスに入社。求人広告の営業やイベント運営などの業務を担当していたが、自分で何かやりたいという思いがつのり、入社3年後に退職。2009年6月に、仲間と創業した。

最初に手がけたのはイベントの企画事業で、スポーツ関連の興業や結婚式、パーティーなど。しかし、これが本当にやりたかった事なのか……という自問を繰り返し、儲かってはいたがイベント企画事業からは撤退。当時の創業メンバーとは意見が食い違い離散してしまった。たった一人での再スタートとなった。自分のやりたいことを実現したい。そうしてたどり着いたのが「音楽」と「ダンス」。エンターテイメント業界をなんとかしたいと考えた結果、「getstage」のビジネスモデルが生まれたのだ。

新らたな事業計画をつくり上げたのち、人件費、開発費を調達するため、ネットエイジとpaperboyの家入一真氏などから出資を受けた。そして、第二のスタート。創業メンバーは、高校時代の友人やダンス仲間、前職のインテリジェンスの同僚や、元バンドマンのエンジニアを口説いて参加してもらうなどして、チームアップしていった。

日本国内に「getstage」の競合となるサービスはなく、海外でも「Sonicbids」というベンチャーが同様のモデルを展開しているのみ。実は、2011年6月にローンチした最初のバージョンでは、登録アーティストから毎月525円の利用料を得て、ステージやイベントなど発表の場を斡旋するというものだった。

しかし、これがまったくうまくいかなかった。松山氏によれば、うまく行かなかった理由は二つ。一つは、多くのアーティストはお金を持っていないということ。メジャーで売れるまでは、バイトをかけ持ちするなど、アーティスト活動だけで食っていくのは難しい。そんなアーティストから数百円とはいえ、課金モデルはそもそも無理だった。

二つ目の理由は、営業マンとしての力には自信があったが、当時のビジネスモデルでは営業力を生かすことができなかったこと。

そこで、2012年1月、ビジネスモデルを大転換。アーティストは無料で利用できるようにし、ステージやイベントの主催者、プロモーションなどを仕かけたい企業側から広告料を得るビジネスモデルへ。松山氏にとって、法人営業は得意とするところ。ステージやイベントが集まれば、そこに出たいアーティストがどんどん参加してくる。さらにアーティストが集まれば、たとえば音響機器などのプロ向けの商品を売りたい企業からの広告出稿希望も増える。歯車がかみ合っただけでなく、まさに、高速回転。この転換が功を奏して、すぐに事業が成長し始めた。

アーティスト活動だけでも十分食える世界をつくりたい
将来への展望

松山氏に今後の展望を伺ったところ、「アーティストの活躍の場と出口を増やすのが使命。そうしたインフラをつくるのが当社の目標である」と語ってくれた。松山氏は、音楽関連産業、ひいてはエイターテインメント業界全体の再生を目指しているのだ。

短期的な目標は、2013年中に登録アーティスト数を5万人にすること。そして、とにかく今は売り上げを上げながら、業界全体を盛り上げることに集中したいという。

余談だが、同社のオフィスは、「ほりえもん」がまだ無名だった頃、ライブドアの前進であるオン・ザ・エッヂ社が入居していた六本木の柳ビルにある。ここには、ほかにもいくつかのベンチャーが共同でオフィスを構えているそうだが、このビルから再び、新たな伝説をつくる面白いベンチャーが生まれることを期待したい。

株式会社g&h(ジーアンドエイチ)
代表者:松山 仁 スタッフ数:8名
設立:2009年6月 URL:http://www.getstage.com/

当記事の内容は 2013/3/7 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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