ビジネスを左右する大事な「名前」を 12カ国語で診断するサービス「Nameans(ネミンズ)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

外国だと変な意味にならないか不安…。そんな悩みを解決するサービスが登場
展開している事業内容・特徴

nameans1ビジネスであれば、会社設立の際、社名やサービス名を決める。プライベートであれば、大切な我が子誕生で名前をつける。“命名”は、会社の売り上げや、我が子の将来を左右する、とても重要な作業である。こだわる人であれば、画数などを占ってもらい、それを参考に考えることもあるだろう。

グローバル化が進んだ昨今、商品名や人名は外国の人々の目に触れることが多くなってきた。このような時代、あなたが命名した名前が外国の言葉でどんな意味になるのか? 誤

今回紹介するのは、命名した言葉が海外でどんな意味になるのか調べることのできるサービス「ネミンズ」。

例えば、「福屋(ふくや)」という店名は、英語で「Fuck you yeah」という発音にとられてしまう可能性がある。また、「近畿(きんき)」は英語で「Kinky(変態)」という意味になってしまう。「まゆみ」という名前はタガログ語で「上品な、優しい、美しい」という意味になり、「なおみ」はヘブライ語で「楽しい、心地いい」という意味。このようなことは各言語にそれなりにくわしくないと知ることができない。それを簡単にしらべてくれるのが、「ネミンズ」のポイントだ。

現在、対応している言語は英語、ドイツ語、ロシア語、中国語など12言語。無料で一言語だけ翻訳するというサービスもあるが、この言語は期間ごとに変わっていく。有料のプランは、名前一つにつき、12言語の中から6言語を選択するプランで1回1980円、12言語なら1回3800円といたってリーズナブル。20言語以上で翻訳できる機能も企画中だという。

以前から大手の翻訳会社などが大手企業向けに、スラングチェック、ネガティブチェックとして同様のサービスを行っているが、費用が数十万もかかり、個人や中小企業が頼めるようなものではなかったという。

そこに目をつけたのが「ネミンズ」なのだが、なぜこのような低価格を実現できたのか? そこには、実務を担当する翻訳者に秘密が隠されている。

実は「ネミンズ」の翻訳者はプロの翻訳者ではなく、「ある言語のネイティブの一般人」を活用している。一般人といっても中には大手企業を相手にするプロの翻訳者から 学校の先生、あるいは保険会社の社員など多士済々。あくまで違和感のある名前をチェックするだけなので、こうした人材でも質を担保できる。

そして、作業を担当する側にとっては、「ネミンズ」からの仕事はちょっとしたサイドビジネス、もしくはお小遣い稼ぎ感覚。そういうカジュアルな関係を構築したことが、低価格で運用できている秘密なのだ。

現在は、広告・PRなどは一切行っていないが、それでも月に数件のオーダーが自然とくるという。サービスとしては「ベータ版」的な位置づけなのだとか。今は反応を見ているタイミングで、様子を見ながらサービスを本格的に展開させていく計画だ。

自分の子どもへの命名がきっかけ。子どもだけでなく、商品・サービスの命名にもニーズがあると思った
ビジネスアイデア発想のきっかけ

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「ネミンズ」を開発・運営するネミンズドットコム代表の小林雅弘氏に開発を始めた理由を聞いたところ、子どもが生まれて名前を考えている時に「漢字などの画数判断などはあるが、海外の言語で変な意味にならないか調べるサービスもあればいいのに」と思ったのがきっかけだそうだ。

「グローバル化が進む現在、命名した名前が外国の言葉で変な意味にならない名前をつけたいと考える親も増えているのではないか……ここにビジネスチャンスがあるのでは?」と思いついたという。

しかも、これは子どもの名前に限ったことではない。今、商品やサービスを海外展開するのは大企業に限ったことではなくなっている。インターネットの発展はもちろん、LCC(格安航空会社)の登場により、これからより多くの人が国内外を行き来することが予測される。そうして人も情報もどんどん国境を越え、動いていくなかで、輸出をしていない商品なども海外からの旅行者の目に付く機会が増えている。

つまり、日本国内で売るにしても外国の目線を意識した商品・サービスづくりの必要性・意識は高まっているはずだと小林氏は考えた。そして、ネーミング調査サービスを、安く簡単に利用したいというユーザーは潜在的に多数いるだろうと考えた。

そうして事業プランを考え始めた当初、翻訳データなどをシステム化する運用方法を考えていたが、機械翻訳だけだとスペルが微妙に違ってしまったり、似たような発音などを拾ってくれないということに気づいた。

それに、新しい言葉やスラング、不評な有名人の名前までカバーするにはデータだけでは不十分。結局、「その国の言語のネイティブに聞くのが一番よい」という結論に至った。

12カ国の翻訳者の採用は、Facebookや、知人が運営する外国人登録が多いSNSなどに小額で広告を出し、応募者に対し、自社で用意した問題や質問を出して、それをクリアした人だけを採用。しかし、国によってはSNSが使えないところや、翻訳者との決済で使用しているPaypal(ペイパル)が利用できない国もあるので、そうした国々では条件をクリアした翻訳者を探すのに苦労したという。

しかし、そんな苦労を続けた甲斐あって、さまざまな言語圏の優秀な人物を獲得することができたと小林氏は自負している。

起業当時、小林氏は実家で働いていた。このアイデアに手ごたえを感じはじめて、週末や少ない空き時間を使いながらWebサイトの開発と翻訳者採用を同時に進め、約6カ月の開発・準備期間をかけた後にサービスを開始した。

これまでにないサービスのため、サービスリリース後はたくさんの人が興味を示してくれたが、実際にオーダーまではなかなかつながらなかった。そもそもマーケットがないなかでのスタートなので、小林氏自身も最初からそれほど売り上げが挙がるという期待はしていなかったという。

しかし、徐々にオーダーをしてくれる利用者がポツポツと現れ始めた。少ないながらも、このサービスを利用したい人がいるのは確か。そうした実感を得た今、このサービスはまだまださまざまな可能性を秘めていると感じているという。

実はサービス自体の開発にかかったイニシャルコストは15万円ほどで、それはこれまでの売り上げですでに回収済みだそうだ。15万円の内訳を聞いてみた。Webサイトの制作費は知人のフリーデザイナーに頼んで割引価格の10万円(日本語、英語ページ含む)。SNSで翻訳者を採用するのに使った広告費が2万円。サーバーやドメイン費用で5000円。それ以外の諸費用で2万5000円。リーンスタートアップという言葉が最近注目されているが、わずかこのくらいのコストで新しい事業が立ち上がったというのは驚きだ。

田舎でもサービス展開はできる!都会から田舎への人口大移動を促進するきっかけの一つになりたい
将来への展望

nameans3 ネミンズドットコムの拠点は、実は滋賀県にある。現在はインターネットがあればどこでもビジネスができる。田舎からでもグローバルなサービス展開が可能という証左だろう。

田舎でも十分にビジネスができるという事例が増えれば、都市から田舎への人口大移動が起こるかもしれない。そもそも現在は、何もかも大都市圏に集中しており、「その限界がきているのではないか」と小林氏は考えている。

今、地方経済が、若くて優秀な人材を求めている。多くの自治体で農産品や特産品を全国にアピールし、自分たちの街を活性化させようとする活動は目立つが、このような「町おこし」だけでは若い人が地方に移動するほどの説得力にはならない。これからの地方ビジネスは、農産品・特産品発掘を超えた、もっと広い分野のビジネスが必要なのだ。インタビューの最後に小林氏は、「地方発、世界ビジネスの成功事例の1つに、ネミンズを育てたい」と語ってくれた。

ネミンズドットコム
代表者:小林 雅弘 スタッフ数:2名
設立:2011年3月 URL:http://www.nameans.com/
事業内容:
ネーミング調査サービス

当記事の内容は 2012/9/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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