文字を使わない変わり種SNS、健康管理もできる!「おはようパンダ」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 谷垣 俊介

キャラクター同士が、あなたの代わりに、ごあいさつ。文字を使わないお手軽SNS
展開している事業内容・特徴

pandacall「スマビ総研」ではこれまでさまざまなSNSを紹介してきたが、まだまだいろいろなSNSサービスが生まれてきている。今やSNSは一人が一つではなく、目的に応じて複数のサービスを使い分ける時代になっているようだ。

そんななか、今回はちょっと変わり種のSNSを紹介したい。もちろん、これから大きく成長することが期待されるユニークサービスだ。その名は「おはようパンダ」。かわいい動物のキャラクターがユーザーになり代わって、その近況などを友人に知らせてくれる。

「おはようパンダ?…」。一瞬、どんなサービスなのか見当もつかない、不思議なネーミングであるが、れっきとしたSNSである。このSNS、もともとは「睡眠管理アプリ」としてサービスとして、2012年4月にスタートしている。

起床・就寝時刻を設定、記録し、睡眠時間を管理することができるというもので、過去の睡眠時間をグラフ表示することも可能。自分の睡眠状況を即座に確認することができるわけだ。基本操作はとても簡単。「起きる」ボタン、または「寝る」ボタンを押すのみ。iPhoneとAndoroidでリリースされており、もちろん無料で使える。

Facebookと連携しているため、既存の「友達」のなかから「おはようパンダ」を利用しているユーザーを探すことができる。そこからつながった人たち同士が、朝起きた時に「おはよう」、夜寝る時に「おやすみ」などとあいさつをかわし、コミュニケーションをとることができる。

特徴的なのは、「さわやかに目覚めた」「布団から出られなかった」など、その日はどのような状態で起きたかを表す数種類のスタンプがあり、そのスタンプを利用するだけで会話が可能なこと。スタンプはパンダ、ラクダ、クマ、アルパカなど全8種類。アプリをダウンロード後、好きなキャラクターを選ぶ。かわいいイラストなので、楽しんで使うことができる。

つまり、起床や睡眠のタイミングで、その日の気分や感情を友人と共有するのが、「おはようパンダ」というSNSのポイントだ。

「おはよう」「おやすみ」以外にも、「テレビを見ている」「仕事をしている」などといった、日常に即した会話も交わすことができる。レスポンスは「おつかれ」ボタンで簡単に返すことができる。簡単に操作できることから、コアユーザーの中にはすべての日常行動を記録する人もいる。

それらの特徴から、女性ユーザーが多いように思うが、実際には男性ユーザーの方が多い。主な年齢層は20代~30代後半。リアルの友人とアプリ内での友人の割合は半々くらいだそうだ。

さらにこのアプリ、実用的な利用もできる。例えば、体調不良を起こし病院に行った際に、日々の睡眠時間をグラフで医者に見せる。自分の睡眠情報を管理しているので、そこから派生して健康管理のサービスへの発展も狙っているというわけだ。

2012年4月のリリース後、7月現在で約3万3000ダウンロード。ほとんどが国内ユーザーだが、最近ではなぜかタイでダウンロード数が伸びている。詳しい理由はわからないそうだが、日本の「かわいい文化」が浸透していること、パンダというキャラクターがタイの人々の嗜好とマッチしているのかもしれない。

収益モデルについてはまだ手探りといったところだが、将来的には個々のユーザーに合った広告出稿やアバター関連アイテムなどでの課金も計画している。

LINEを参考に、とにかくかわいいスタンプにこだわった
ビジネスアイデア発想のきっかけ

「おはようパンダ」を開発したのは、株式会社スポソン代表の鈴木真一郎氏。最初は個人で開発し、簡易版を2009年にリリースしている。当時はiPhoneアプリを使っている人も、開発する人もまだまだ少なかったため、その開発は試行錯誤の繰り返しだったようだ。

2009年当時、iPhoneアプリとしてアラーム関連のアプリはあったが、「起きる」「寝る」というような行動をキーに友人とつながるようなSNSはまだ存在していなかった。そこで鈴木氏は、「ただのSNSでなく、睡眠の記録・管理ができ、かつソーシャル機能のあるアプリがあれば面白いのではないか」と考えたのだ。

生活習慣が乱れがちな現代。自分の友人に対して「起きる」「寝る」という行動を共有すると、自然と変な時間に起きたり寝たりすることが減って、生活習慣が改善されるのではないかという狙いもあった。また、日常使いするアプリなら「かわいい」ほうがより楽しく使ってもらえるだろう。そして計画を煮詰めていった結果、生活の記録・ログを取れる、「かわいい」アプリ、「おはようパンダ」の開発に至ったというわけだ。

鈴木氏の狙いは的中。「おはようパンダ」はオープン直後から、鈴木氏の期待どおりの反響があり、コアなユーザーがツイッターやフェイスブックで自然に宣伝してくれた。

ユーザーからの好感触を得た鈴木氏は、開発をさらに進めていく。ユーザーが面倒な手間なく簡単にあいさつできるように、スタンプの種類を豊富にした。開発自体も、オープンソース・クラウド環境を利用して、低コスト・短期間での開発・改修を実践。

そして、2012年4月に大幅リニューアル。初期バージョンからあった、就寝時間・起床時間を記録し、ツイッターに投稿できるという基本機能は変わらず、新バージョンではキャラクターがさらに豊富になり、友達リクエストも可能な、本格的なSNSサービスとして生まれ変わったのだ。

10代から高齢者まで、すべての人が使いやすいアプリへの進化は続く
将来への展望

鈴木氏に今後の展望を聞いたところ、持ち歩いてどこでも使えるというスマートフォンの特性を生かして、今後は「今何をしているか」という自分の状態・近況をより簡単に、より速くシェアできる方向に開発を進めていきたいそうだ。

ターゲットユーザー層も、さらに広げていく計画だ。例えば、今の10代は言葉を交わさずに携帯などで「会話」することが普通になっている。そうした10代向けには、ワンタップで意思が伝わり、簡単に自己表現ができるサービスは、ますます受け入れられるだろう。

さらに、高齢者のスマートフォンユーザーも増えているが、50代以上のユーザーにアプリを使ってもらうためには、別の工夫が必要。高齢者ユーザー向けには、とにかく簡単に設計されたアプリを、限定的に使ってもらうようにしないと受け入れてもらえないと鈴木氏は見ている。

「機能性の充実だけでは高齢者には受け入れられない。彼らの子や孫も使用していて、互いに会話するためにアプリを使うなどの動機づけが必要」だと語る鈴木氏。例えば、家族で楽しめるコンテンツや、招待しやすい仕組みを取り入れるなどの工夫も考えているそうだ。

2012年9月中旬には、さらなる新バージョンへのアップデートを予定している。そのアップデートでは、見知らぬ人と簡単にワンタップで会話することができる機能や、自分の趣味・趣向で人と出会えるようになる機能が追加されるということだ。

最後に、当面の見込みを聞いたところ、「リニューアル以来、1カ月に1万ダウンロードのペースで増加しているので、年内の10万ダウンロードを目標としている」とのこと。かわいい新コミュニケーション・アプリ、「おはようパンダ」の快進撃に期待したい。

株式会社スポソン
代表者:鈴木 真一郎 スタッフ数:3名
設立:2011年8月 URL:http://pandacall.com/
事業内容:
スマートフォン等次世代端末・モバイル・インターネットを利用した各種情報提供サービスの企画、制作および運営

当記事の内容は 2012/8/14 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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