広告収益が6倍に!大手メディアも多数採用する検索サービス「popIn(ポップイン)」

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執筆者: 篠田 法正

情報過多のネットを再整理。メディアサイトの収益を6倍にした検索サービス!
展開している事業内容・特徴

popin1世の中には膨大な量の情報が存在している。今、情報過多の時代といわれているにもかかわらず、自分が求めている的確な情報になかなか辿り着けない経験をしたことがある人も多いだろう。

筆者である私自身、検索エンジンを使っても本当に欲しい情報を見つけるまでに一苦労と感じるこの頃だが、そんな悩みを解決してくれるサービスが誕生した。「popIn」というサービスがそれだ。

「popIn」のキャッチフレーズは、『メディアサイトをインテリジェントにするサービス』。一般ユーザーが使うサービスというよりも、多くのユーザーがよく見に行く巨大サイトの裏方として動いているものと考えてほしい。もっと簡単にいうと、膨大な数のニュースなどがあるサイトで、読者が見たい情報をより効率よく提供してくれるシステムだ。

例えば、もっとも基本的なサイト内検索では、記事を新着順に表示できる機能、カテゴリ別に絞り込み表示する機能がある。さらに、ある記事が表示されるとそれに関連する記事をユーザーにプッシュすることのできる機能も。この機能は、記事中の重要キーワードを自動的に識別してハイライトさせ、関連記事へのリンクを張ってくれるという優れものだ。

単に検索キーワードにヒットした結果を表示するのでなく、自然言語処理技術によって、ユーザーの閲覧意欲を誘うようなリンクを付けることで、ユーザーを次々といろいろな記事へ誘導することが可能なのだ。多くのサイトは、そのようにしてユーザーの関心を持続させ、サイト内の回遊率を上げている。

「popIn」の導入時に、どういった表示方法にするか、どんなデザインを採用するかは、メディアサイトのニーズに合わせてカスタムできるようになっている。また、ABスプリットテストなどのマーケティング調査を行って、ユーザーの反応を参考にしながら決めることもできる。さらに、メディアサイトのPCサイトをスマホで見やすいように自動的に最適化変換して表示する、スマートフォン向けサイト表示のサービスも提供している。

「popIn」を導入したある大手メディアサイトの事例では、従来のサイト内検索の検索連動型広告が、導入前に比べ6倍の収益にアップしたケースもあるそうだ。

これだけの高機能ながらも、利用料金は驚くほど安い。月間で1000万ページビューまでのメディアサイトでは、月額5万円(初期費用は0円)! また、月間で数億PVを超える巨大メディアサイトでの導入実績もある。

「popIn」を導入しているサイトの割合は、新聞社系のサイトが8割、ネットニュース系のサイトが2割だ。すでに50社以上が同サービスを導入しており、有名どころでいえば、YomiuriOnline(読売新聞のニュースサイト)、マイナビニュース、日刊スポーツ、ロイターなどの大手も採用している。

学生時代に開発したシステムがヒント。チャンスを逃さず起業して成功!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

popin2「popIn」を創業した程涛氏は、東京大学大学院(修士課程)で、スマホやiPad向けに、テキストのキーワードを選択すると、wikipedia等の解説サイトや検索サイトにつながる吹き出しが表示される(pop inする)システムを研究・開発していた。

「このシステムは売れる!」とひらめいた程氏は、ベンチャーキャピタルへのプレゼンによって出資を受け、大学発ベンチャーとして2008年7月にスタート。最初はとにかく認知度を高めることを狙って、個人向けに無料でシステムを配布したので、1年半ほどは収益がない状態が続いたという。

当時、在籍していた研究室が自然言語処理の研究をしていたこともあり、大手メディアから「サイト内検索のシステムをつくれないか」という相談を受けた。この依頼を受けた程氏は、なんと2カ月ほどでサイト内検索システムつくりあげる。このシステムのできは素晴らしく、発注元にも非常に満足してもらったそうだ。

この経験から、程氏は、サイト内検索システムを企業向けに提供するというB2Bビジネスへの転換を決意。それから事業は一気に拡大した。それまでの1年半で蓄積した「pop in」技術の積み重ねもあり、B2Bでの展開はスムーズに進んだ。2010年にスタートしたB2B向けの展開は開始から順調に契約数を伸ばし、2012年4月現在では、大手メディアサイトを含む50社と契約を結んでいる。

大学発ベンチャーは、どうしても技術や製品ありきになってしまい、なかなか収益化できないことも多い。「popIn」も初めは個人向けという間違ったマーケットに向けて発信していたため上手くいかなかったが、それを企業向けのマーケットにしたところ、見事に収益化し事業として成功するようになった。同じ技術を提供するにしても、マーケットの選定一つで事業の成否が決まってしまうのだ。「popIn」は、大学発ベンチャーの貴重な成功事例の一つといえるだろう。

IT業界に精通したスペシャリストを口説いて役員に迎える

程氏に苦労した点を聞いたところ、「学生時代に起業したため、人材獲得やインフラの整備、ビジネスモデル、クライアントの獲得など、すべてを手探りで進めていかなければならなかった。とにかく苦労の連続だった」という。

そんな苦労続きの起業時を支えたのは、程氏にとってのアイドル「スティーブ・ジョブズ」だ。ジョブズのようになりたいと、強力なセルフイメージを持ったことが苦労を乗り越えて成功に辿り着いた秘訣らしい。

さらに、成功要因を挙げるとすれば、チャンスに対して集中できたこと。「popIn」の基本的な仕組み(関連記事の自動抽出)にしても、たまたま話していたときに見つけたアイデアだったが、程氏は、すぐに「やってみよう」と行動に移した。また、研究室経由で来た仕事の依頼に全力で取り組み、成果を出した。そうしたチャンスを逃さずに、すぐに行動し続けたことが奏功したと程氏は語る。

もう一つ重要な要因としては、人との出会いだ。ビジネスで成功している人、ビジネスセンスのある人と組んでいくことは、経営を成功させるためには非常に重要なファクターである。

程氏は、学生の時にアルバイトで働いていた会社の社長だった先輩起業家を口説き落として、自社の取締役になってもらった。その人物はヤフー株式会社で開発部長も務め、自らも起業し、企業経営の経験もある本田 謙という人物だ。

日本はアメリカに比べて、ビジネスで成功した人物が、後に続く若い起業家を指導したり、後輩に教えていくという文化が育っていないといわれている。確かに、実践的なビジネスセンスを学校では学ぶことができない。学生起業家だった程氏と本田氏のような出会いは、とても幸運なケースといえる。

ニュース閲覧者と新聞社がwin-winの関係になれるサービス
将来への展望

今後は、人々のニーズや関心に合わせて、必要なニュースをタイムリーに届けるような「リコメンド」システムをつくっていきたいという程氏。

最近の調査によれば、ニュースを読む理由の第1位は「暇つぶし」だそうだ。社会人にとって、必要なニュースを的確にとらえて行動することが重要なのに、現在はあまりにも情報があふれすぎていることで、自分の興味関心があるものがどこにあるかわからず、どのニュースを選んでいいかわからない。それでは時間も労力ももったいない。

また、紙ベースの新聞の購読者の減少、インターネットニュースの無料化により、新聞社自体のビジネスモデルも行き詰りつつある。そんな中、パーソナライズしたニュースのリコメンド技術によって、「ニュースfor you」というようなサービスが実現できるようになれば、新たなビジネスモデルも描けるだろう。

取材の最後に、「ハードルは高いかもしれないが、ニュース閲覧者と新聞社がwin-winの関係になるような仕組みを必ず実現したい」と程氏は語ってくれた。 

popIn株式会社 (英語表記 popIn Inc.)
代表者:程 涛氏(東京大学大学院情報理工学系研究科) 社員:4名
設立:2008年7月 URL:http://www.popin.cc/ja/index.html
事業内容:
メディアサイトをインテリジェントにするサービスの開発・提供

当記事の内容は 2012/5/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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