開始半年で数十社が導入。量産品だけで格安IoT(M2M)システムの構築を可能にしたベンチャー「コムツァイト」

IoT

執筆者: ドリームゲート事務局

リアルタイムIoT(M2M)システムを量産品だけで構築し、低価格化を実現した鹿児島発のベンチャー 展開している事業内容・特徴

20150327-1IoT、M2Mなどのキーワードを最近よく聞くようになった。IoTはInternet of Things、M2MはMachine to Machineの略語だが、要はパソコン以外のモノ、自動車や家電、センサー類などのマシンを、すべてインターネットでつなげてネットワーク化しようという動きだ。

これが実現すると、例えば社員の入退出管理をリアルタイムで把握できたり、室温・湿度・電気消費量などをリアルタイムで計測して、消し忘れがあれば遠隔操作でオフにするといったことも可能になる。すでにパナソニックがスマートフォンからエアコンの電源をオフにできる製品を発売している。

こうしたIoTやM2Mの仕組みを導入するためには相当なコストが必要だと思われてきた。しかし、今回紹介するベンチャー、株式会社コムツァイトが、リアルタイムIoT(M2M)システムを量産品センサーやゲートウェイ、3G回線、無線LAN技術、クラウドサーバ技術などを活用して、低価格で提供する統合技術「コムツァイト・IoT Management Technology」の開発に成功した。

25.EMS(にーごーいーえむえす)という名称で、2014年8月から本格的に販売開始した同システム(現在は、「コムツァイト・IoT Management Technology」に改称)は、初期費用が40万円~、年間運用費15万円(3G回線やサーバ代等の費用が全て込)というリーズナブルな価格になっている。

食品工場の温度・湿度・入退室管理などを監視するシステムを構築する場合、従来であれば数千万円~億円単位の投資が必要だったが、同等の機能が数百万円で構築可能になった。2015年3月時点で、電力会社やゼネコン、植物工場や介護施設など数十社が導入しており、なかには3000個のセンサーが稼働している大規模事例もある。

同社のシステムがリーズナブルな理由は、「量産品」を組み合わせて使っていること。例えば、温度や湿度を計測するセンサーは秋葉原などで手に入る部品でできている。通信回線もセンサーとゲートウェイ間は無線通信で、ゲートウェイとサーバ間は携帯電話で使われている3G回線を利用。また、センサー自体が太陽光発電による自己発電で動作するため、電源も不要。壁やドア、天井に張り付けるだけで導入できてしまう。

センサーが集めてきたデータは、クラウドサーバに蓄積され、Webブラウザでリアルタイムに把握できる。実際にオフィスのドアに、開閉センサーを設置したとしよう。そのドアを開けると、ブラウザ上に3D表示されたオフィスのドアが開く。「今このドアを誰かが空けました」という情報を、リアルタイムで知ることができるわけだ。もちろんログは残っているので、24時間の入退室管理も可能となる。

ほかにも、映像、消費電力、温度・湿度、照度、人感、CO2濃度、あるいは特定機器のボタンに設置してオン・オフを計測する機能、血圧や脈拍、心拍などのバイタルセンサーにも対応できる。こうした様々なセンサーを組み合わせて、ニーズに応じた多様なシステムが構築できるのだ。

鹿児島の小さなシステム会社からスタート。ベース技術は焼酎メーカー向けシステムの構築だった ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150327-2株式会社コムツァイトは2002年3月に、岩倉路和氏が創業したシステム開発会社。主には、九州エリアの企業に対してシステム開発を行っていた。

同社取締役で、M2M・IoT事業でメイン開発者かつ事業責任者でもある天辰健一氏によれば、転機となったのは2011年10月に同社が東京オフィスを構えたこと。受託システム開発だけでなく、世の中の役に立つ自社サービスに挑戦しようと、東大のグリーンICTプロジェクトに参加した。

同社のセンサー制御・通信技術は、九州の焼酎メーカー向けに開発・運営している焼酎麹の温度管理システムでのノウハウがベースとなっている。汎用的な量産品のセンサーでも十分に機能するシステムが構築可能なことを実証していたことに加えて、HTML5やWebGLなどの最先端Web技術も応用し、リアルタイムで計測結果を「見える化」できたら面白いと研究・開発を進めていた。

製品が完成したのは2014年の夏頃。そこから本格的に販売を開始したところ、大手企業からの問い合わせも多く、事業は順調な滑り出しを見せた。

同社のリアルタイムIoT(M2M)システムがターゲットとする市場は、設備管理業界。製造・生産設備、工場などの管理システムを「コムツァイト・IoT Management Technology」を活用することにより、従来と比べてはるかに安いコストで構築できることを強みに事業拡大を狙っている。事例として、2014年7月に竣工した省エネルギーマンション(北海道札幌市)に導入された次世代型MEMS(マンションエネルギー管理システム)では、当初有線式のセンサシステムを検討していたが、コンクリート壁内の配管配線だけで200万円を超える施工費がネックだった。これを株式会社コムツァイトでは、施工費用の約1/3でIoTセンサ等のH/Wとクラウドシステムまでの全てを賄い、僅か2週間という短納期で実現させた。

BIM/CIMといった建設現場情報管理システムも有望な市場の一つ。BIMはビルディング・インフォメーション・モデリングの略で、ビルなどの建築分野、CIMはコンストラクション・インフォメーション・モデリングの略で、土木分野で使われる略語だが、どちらも設計から施工・維持・メンテまで全てデータ化して管理しようという取り組みだ。例えば、建築資材のなかにセンサーを埋め込んでおけば、生産から運搬、施工、そして管理まですべてデータとして管理できる。後は各資材業者などが自発的に交換やメンテなどを行う。建築会社ともそうした情報を共有しておくことで、維持管理を効率化・高度化できるというわけだ。

また、コムツァイト社では介護福祉施設向けのサービスにも力を入れている。ビズロボジャパン株式会社というロボットベンチャーと共同で、24時間365日、リアルタイムに高齢者の安否・健康を確認することができる「見守りクラウドロボ」というサービスを発表した。介護業界などは慢性的な人手不足で、十分な介護サービスができず、また介護報酬の財政的な負担も年々重くなっている。「コムツァイト・IoT Management Technology」は、様々なフィールドの効率化やコスト削減に貢献できるシステムと技術なのだ。

IoT・M2M事業を成長させることが、新たな市場そのものをつくり出すことにつながる 将来への展望

同社のもう一つの強みは、センサーから送られてくる大量の時系列データを、リアルタイムで最適に処理できること。これは一朝一夕にはつくれない。ノウハウのかたまりとのことで、実際に大手SIerの方に説明しても、その中身を理解することすら難しいというレベルだという。こうしたシステム自体を手がける企業、ベンチャーもまだ数えるほどしかなく、同社はその中でも最先端を走っている企業であることは間違いないだろう。

しかし、IoT ・M2Mというキーワードだけが先行している感もあり、まだまだ普及段階ではなく、市場自体も未成熟なのが現状だ。そうした状況のなか、同社は、IoT ・M2Mの市場そのものを創造していくことが先決だと考えている。

同社の今後の展望について、事業責任者である天辰氏のコメントを紹介したい。

「IoT ・M2Mといった分野は、まだ市場そのものが出来上がっていない。まずは事うちの業成長そのものが目的といった段階です。当社の売り上げも現時点ではシステム開発受託によるものが大きく、IoT ・M2M事業はその稼ぎを使わせてもらっているところ。IoT・ M2M事業からの収益だけで食べていけるようになるのが、会社としては当面の目標です。事業規模としては年商10億円くらいになると、今いる20名のスタッフ全員を養えるくらいになりますね。いずれはIoTといえばコムツァイトと呼ばれる存在になりたいです」

株式会社コムツァイト
代表者:岩倉 路和氏 設立:2002年3月(IoT、M2M事業に本格進出したのは2011年10月)
URL:
http://www.comzeit.co.jp/
スタッフ数:20名
事業内容:
リアルタイムM2Mシステムの開発・販売、システム開発受託

当記事の内容は 2015/3/31時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。