正式リリースから3カ月で先月比売り上げ400%増! “物流のクラウド化”で小規模EC事業者を支援する「オープンロジ」

クラウド

執筆者: ドリームゲート事務局

見積りなし、会員登録後に即利用できる物流アウトソーシング。小規模EC事業者の悩みを解決する新サービス 展開している事業内容・特徴

20150317-1経済産業省が2014年8月に発表した『電子商取引に関する市場調査』によると、2013年の日本のEC市場(B2C)が、前年比17.4%増の11兆1660億円に拡大している。しかし、全商取引に占めるEC化率は3.67%と、まだまだ成長余地は大きい。

楽天、Yahooショッピングなどの大手はもちろん、無料でECサイトが開設できるBASEやStores.jpなどのベンチャーが成長しているほか、テーマ特化したキュレーション型のECサービスの新規参入も続いており、競争は苛烈だ。

また、EC周辺領域にも斬新なベンチャーは多い。例えば、手数料0%の決済サービスとして業界内外に衝撃を与えたメタップス社の「SPIKE」、以前、スマビ総研でも取り上げた数行のコードを入れるだけで使える決済APIサービス「WebPay」、あるいはECサイトでのリアルタイムな接客サービスを実現する「KARTE」など、ECサイトの運営はどんどん効率的でスマートになっている。

本日紹介するサービス「オープンロジ」も、EC事業者にとっては心強い味方になるサービスだ。オープンロジは一言でいえば、EC事業者を対象にした物流アウトソーシングである。

ユニークなのは、Webサイト上で利用手続きが完了し、すぐ使い始められるというスピードと手軽さ。通常、こうしたサービスを利用するには事前の見積りが必要で、利用開始まで1カ月ほどかかることが普通だったが、オープンロジなら、最短で2分で利用開始ができるという。また、価格体系も不透明なことが多かったが、保管料は1日1個単位で計算され、配送料は全ての作業や梱包資材費などが含まれて沖縄離島を除き全国一律料金になっていて料金体系をわかりやすくした。

利用にあたってはWebサイトから会員登録し、扱う商品を登録し入庫依頼し、実際に倉庫に商品を入庫するだけ。その後、オープンロジ側で入庫処理が行われメールにて通知される。WEB上から在庫確認ができ、出庫依頼、出庫の履歴等も確認できる。返品の受付も可能だ。つまりオープンロジに商品を送れば、梱包から顧客への発送まですべてやってくれるという仕組み。EC事業者は自前で倉庫を持たずに、物流機能を持てるというわけだ。

利用料金はクレジットカード決済が可能で、法人の場合は請求書後払い(銀行振込)にも対応している。

2015年3月4日に6000万円をインフィニティ・ベンチャーズ、コロプラ千葉功太郎氏から出資。さらにスター・マイカ創業者の水永氏が経営顧問に 事業の狙い・最近の動き

20150317-2「オープンロジ」の開発・運営元である株式会社オープンロジ 代表を務める伊藤秀嗣氏によれば、「国内のEC事業者数は数十万社になるが、その大半が年商規模1000万~3000万円程度の小規模事業者で、個人もしくは家族単位で運営しているケースが多い」という。そうした小規模EC事業者が、独自で効率的な物流システムを構築するのは難しく、そもそも面倒な業務でもある。小規模EC事業者が待ち望んでいたフィルフルメント・サービスといえるだろう。

会員数や売り上げは非公開とのことだが、2014年12月の正式なサービスリリース後は、おおよそ事業計画どおりに成長しているとのこと。取材をした2015年3月時点で、売り上げは先月比400%増。2015年内には、月間取扱点数を数十万件までもっていく計画だ。

また、2015年3月4日には、インフィニティ・ベンチャーズLLPおよびコロプラ取締役副社長で個人投資家でも知られる千葉功太郎氏を引受先とする総額6000万円の第三者割当増資を実施。資金調達の目的は、プロダクトの磨き込み、積極的な開発投資のための原資という事で、特にITエンジニアの積極採用をしていく予定。現状4名の本部スタッフを2015年内には10数人程度(エンジニア比率は5~6割ほど)まで拡大する計画だ。特に物流倉庫を使いたいユーザーと物流倉庫のマッチングを行うため中間ソフトウェアを作る開発を重点的に進めるという。

同日にインフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナーの小林雅氏を社外取締役に、ソフトバンクグループでYahoo! BB 事業立上げから数多くのベンチャーの役員を勤める須田仁之氏を監査役に迎えた。

増資までの経緯だが、インフィニティ・ベンチャーズについては2015年1月にスタートアップの登竜門と呼ばれるIVS Launch Padに登壇したことがきっかけ。その時のLaunchPadの審査員だった千葉氏とIVS終了後に話をする時間があり、それがきっかけで出資を受けることになったそうだ。

さらに、同社の経営顧問となったスター・マイカ創業者の水永政志氏にも注目したい。伊藤氏は水永氏と知人の紹介で知り合い、オープンロジのビジネスモデルをプレゼン。水永氏は、伊藤氏の構想を聞き、同社のビジネスモデルに共感し、経営顧問を引き受けたそうだ。

また、すでに次の資金調達も視野に入れているそうだが、まずは「Problem/Solution Fit」、つまりターゲット顧客の「課題」と「適切なソリューション」が一致している状態にし、顧客満足度を上げることが先決。それがクリアされた後、大規模な資金調達を行ってさらなる人員の増強や事業提携、積極的なPRをする計画だ。

ネットエイジで「富士山マガジンサービス」の立ち上げから運営を11年間担当。雑誌の入出庫業務の構築からオープンロジのヒントを得た ビジネスアイデア発想のきっかけ

オープンロジを起業した伊藤氏は、1978年生まれの現在37才。インターネットが本格的に普及し、ITベンチャー経営者が次々と生まれ始めた頃に社会に出た76世代にあたる。伊藤氏は起業前、「ビットバレー」という言葉をつくり、ベンチャーブームを牽引した事でも知られる西川潔氏が率いる、ネットエイジに在籍していた。

伊藤氏は、ネットエイジ社で、株式会社富士山マガジンサービスの立ち上げから携わり11年間同社の成長に貢献した。「富士山マガジンサービス」とは、日本初の雑誌・定期購読専門サイトとして、約1万誌の定期購読を取り扱い、100万人の会員を持つサービスだ。そこで大量の雑誌を管理する業務を行っていたが、1000社以上の中小出版社がメイン顧客ということもあり、物流に関する様々な課題に対応していた。

小さな出版社では、社員が記者・編集業務と並行して、発送業務などを担当していることも多く、発送漏れや在庫不備などのトラブルが多かったそうだ。そこで伊藤氏は、富士山マガジンサービス社で、中小出版社に代わって物流業務を引き受ける仕組みをつくり上げた。

いずれは自ら起業にチャレンジしてみたかったという伊藤氏は、2013年6月に富士山マガジンサービスを退職し起業準備に入る。そして、オープンロジのビジネスアイデアを思いついた。

創業メンバーは、物流のプロ、富士山マガジンサービスの時の同僚など4名。半年ほどの準備期間を経て、2013年12月に会社を設立。2014年6月にベータ版をローンチし、正式版を同年10月にリリースした。

最も苦労したことを伺ったところ、複雑な物流のオペレーションと現場対応とシステム標準化、お客様の利用ニーズとの調整が難しいという。現在もお客様からのフィードバックを元に日々オペレーションやシステムの改善を行っている。

余談だが、伊藤氏は起業前に「The Startup Next Program」にも参加している。このブログラムはGoogleやStartup Weekendがサポートするリーンスタートアップのプロジェクトで、世界28都市で開催され、280チームが参加。その最終選考16チームに残り、GoogleのNYオフィスでピッチできたことが大きな刺激になった。そこで知り合った海外の起業家と交流し、各国の物流事情などをヒアリングできたことも収穫の1つだったと伊藤氏は語る。

物流といえば「オープンロジ」と呼ばれる存在になりたい 将来への展望

伊藤氏に今後の展望を伺ったところ、「まずは3年以内に物流といえばオープンロジといわれるくらいのブランドにしていきたい」とのコメントをいただいた。

具体的な戦略キーワードとして、「地方」と「海外」という2つのキーワードがあがった。まずは、国内で事業基盤を固めるのが先とのことだが、そこで地方にある空き倉庫や空きスペースを確保し、クラウド的な物流サービスをつくり上げる計画だ。ビジネスとして意識しているのはラクスルやリネットなどリアル領域×ITでのビジネス。例えば、ラクスルは印刷会社をネットワークして仮想の巨大印刷工場を作り上げようとしているが、同社も小さな倉庫や物流会社をネットワークして、仮想的かつクラウド的な物流の仕組みをつくりだすことを目指している。

もう1つのキーワードは「海外」。まず、海外のEC事業者が日本国内に進出する際に使ってもらうサービスを想定している。またその逆に、日本から海外の顧客に商品を発送する際、海外にも倉庫拠点を展開するなどして、その物流をサポートできる体制を構築することも同社のビジョンである。
「新しいコマースに対応した物の流れが最適化された社会を創造したい」
これが、伊藤氏が思い描いている将来構想だ。

株式会社オープンロジ
代表者:伊藤 秀嗣氏 設立:2013年12月
URL:
https://openlogi.com/
社員数:4人
事業内容:
Eコマース業界の物流アウトソーシング事業

当記事の内容は 2015/3/19時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。