サンリオピューロランドや京浜急行電鉄が採用。エンタメにも使え、強力な読み取り性能を持つ新しいカラーバーコード「カラービット」。

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執筆者: ドリームゲート事務局

次世代バーコードはエンタメ市場でも活用。新しい可能性を秘めたカラーバーコード「カラービット」を開発したビーコア株式会社
展開している事業内容・特徴

20150226-1幅の異なる縦線の配置と白い余白の組み合わせで、商品情報を伝える…誰もが馴染みのあるバーコードだが、その歴史は古く、アメリカ・ペンシルバニア州にあるドレクセル大学の大学院生の発明に始まり1960年代後半、スーパーマーケットがレジに初採用したことにはじまる。その後、全世界に広まり工場などでの自動化や省力化や、医療系での電子データ交換等用に用いるCODE39やCODE128コード等、さまざまなバーコードが誕生した。また、2次元バーコードも発明された。それまでのバーコードは一方向だけにのみ情報を持つのに対して、2次元バーコードはX・Y軸方向を情報領域にしたもので、データ容量はバーコードの数十から数百倍にもなる。日本でいえば携帯やスマホで読み取る「QRコード」で知られている。

さて、今回紹介するのは、ビーコア株式会社が開発・提供する「カラービット」という色を用いたカラーバーコードだ。仕組みを簡単に説明すると、名前が指し示すように、バーコードやQRコードのように幅の異なる線やカモフラージュ柄に似た正方形記号で情報を表すのではなく、赤・青・緑の連続配置模様に情報を持たせた。

カラービットがユニークなのは、従来のバーコードのように1回ずつの読取り作業ではなく、複数を同時に識別できる一括読取りが可能になった点だ。一括読取りによって読取りの生産性は飛躍的に向上する。この一括読取りについては、電子タグ技術・RFIDを思い浮かべる人もいることだろう。しかしRFIDは、電波を用いた技術であるため、使用環境によって性能にバラつきが出る。さらに読み取りに専用機材が必要であったり、コストが高いといったデメリットがあり、どこにでもあるバーコードほど普及しているとは言い難い。一方のカラービットは、電波は不要で、汎用のカラープリンタでタグを印刷しただけで使える。つまり、従来のバーコードの手軽さを持ちながら、RFIDの特性も備えるのが強みだ。

リーダーもスマホやカメラ付きのタブレットがあればOK。読み取り用の専用アプリケーションはビーコア社が提供している。スマホなどのカメラでも、一挙に100個ものカラービットを同時認識も可能だ(iPhone5s以上使用時)。そして、加えて特筆しておきたいのが、読取り性能。例えば、カラービットを印刷した紙が歪んでいても、折れ曲がっていても、読み取りには支障が少ない。さらに変色やボケにも強く、印刷サイズや形状も自由自在である。

上記のような利便性の高さから、すでに大手電子機器メーカーや病院、銀行などが導入し、機器や書類管理等のソリューションとして利用されている。特にこれまで電波の使用にシビアだった病院の事例では、薬品管理に特に高い効率化をもたらしているそうだ。また取材時、カラービットを用いた「ラックシステム」という書籍・資料管理サービスをデモンストレーションしていただいた。スマホのカメラ操作のみで、本棚に触れることなく書籍の位置情報や棚番号等の管理もクラウドで手軽行えるのは画期的であった。この「ラックシステム」は東京都指定の認定商品になっている。

そして次に、もうひとつの大きなポイントの「エンタメ」での活用。白黒正方形のQRコードやARマーカーといった、いかにもコードのマークではなく、色の変化情報を用いるためデザインに溶け込ませて使う事ができる。つまりオモチャや絵本の中、あるいは身に着けるものに違和感なく埋めることできる。

つまりバーコード情報をデザイン的に展開できるということで、バーコードはモノの管理用途にしか使えない、という固定観念を覆したのがカラービットだ。

すでにサンリオピューロランドや京浜急行電鉄、任天堂といった大手会社にエンタメ系のマーカーとして活用されている。例えばサンリオピューロランドでは、来場者につけてもらうバッジに情報を埋めこんだ。そして、そのままピューロランド園内で遊んでもらう。その際の写真に写ったバッジから情報を取り出すことで、自動的にお客様が写っている写真だけが抽出されるという仕組みを構築した。

画像認識技術のエンジニアが独立し起業。当初は営業に苦戦するも、大手との契約で勢いをつけ、数多くの賞も受賞
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150226-2ビーコア社は2006年に設立されたベンチャー。創業者である漢人(カンド)邦夫氏は、大手カメラメーカーでバーコードリーダやプリンタの営業を担当していた際、既存のバーコードでは管理できない商品が世の中には多くあることを実感した。つまりトレーサビリティという観点ではまだまだ改良の余地があると考え、それがきっかけとなり同僚の画像処理エンジニアを巻き込み起業を決意。試行錯誤の末、誕生したのがカラービットであった。

しかし、既存バーコードの圧倒的なシェア、また技術の新規性も相まって、リリースしてから2年間は苦戦の日々が続いたそうだ。だが、3期目になる2009年に、住友スリーエム社、サトー社といった大手メーカーとの特許ライセンス契約を果たし、事業は好転しはじめた。

2010年には「東京都ベンチャー技術大賞特別賞」を受賞し、その後も「日本発明振興協会発明功労賞」・「第23回中小企業優秀新技術・新製品賞 ソフトウェア部門優秀賞」などを次々受賞。経産省ものづくり中小企業試作開発等支援補助金交付の認定、さらに海外特許成立や大手会社への大規模納品など、快進撃が続いた。

これまでのビジネスの歩みを、現代表取締役である水野廉郎氏(創業者である漢人氏は取締役)に振り返ってもらった。

「現在進行形でもありますが、事業をなす上で一番ネックになったのが営業でした。既存のバーコードやQRコードは確たるシェアがあり、片や RFIDは日本の名だたるリーディングカンパニーが本腰を入れて展開している。その狭間にあるのがカラービットで、右を見ても左を見ても圧倒的なわけです(笑)。営業の難しさもまさにそこにあって、双方と差別化を図りながら如何に性能の良さや利便性、使いやすさをわかってもらうかは、今でも苦心しているところですね。ただ、この1〜2年で潮目が変わってきたなと感じてもいます。景気回復の時代の追い風はもちろんですが、少子化時代を見据えた更なる生産性向上の追求や、セキュリティ意識の高まりもあり、カラービットの新規案件への引き合いが質も量も増えているので、これからが非常に楽しみです」

管理・エンタメの両輪で、新しいインフラを世界に構築する!!
将来への展望

水野氏によれば、ビーコア社の目標はふたつある。ひとつは、エンドユーザーを見据えた深い浸透。管理・エンタメともに大型案件や高い企画力を持つ会社とコミットし、一層の普及拡大を図っていく構えだ。昨今の動向では、2014年より検証用開発キットの無償提供を開始。ウェアラブル端末と連動するライブラリは集荷作業員等の仕事の効率化を実現させるもので、メガネ型端末の研究開発を行うオリンパス社が現在、企業向けシステムへの応用を検討している。また、今年中にはカラービットの納品先に新しい業種が加わる予定もある。

一方のエンタメ系では、2014年に雑誌掲載キャンペーン等に使えるカラービット読取りアプリ「いろトルCB」のリリースや、ITpro EXPOではその場で組換可能な5色カラービットを用いた3DARの展示など実施。展開を加速化させている。特にARは今年のテーマで、早ければ今年上半期には、同社の技術が導入された魅力的なサービスがお披露目となるそうだ。

もうひとつの目標は、海外進出。アメリカやヨーロッパ圏への本格的なビジネス展開に力を入れており、現在活動中のカラービットU.S.Aに加え、本年中にドイツにカラービットEuropeを設置予定である。海外展示会での評判もよく、複数の見込案件が走っており、本決まりになれば世界にインパクトを与える実績となるとのことである。

ビーコア株式会社
代表者:水野 廉郎氏 設立:2006年4月
URL:
http://www.colorbit.jp/new/
事業内容:
・自動認識技術の研究および開発
・上記分野に関わる知的財産権の取得および管理とライセンス供与
・上記分野に関わる機器およびソフトウェアの製造と販売
・カラービットを用いたソリューション事業

当記事の内容は 2015/3/3時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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