トライアル利用だけで700社超が申込み! 企業向けのLINEライクなコミュニケーションツール「direct(ダイレクト) 」

SNS・コミュニティー

執筆者: ドリームゲート事務局

建設業や小売業などの現場の声から生まれたアプリ。リリース直後に、あのドン・キホーテ社も導入。 展開している事業内容・特徴

20141111-1今やメッセンジャーアプリの定番となりつつあるLINE(ライン)。しかし、アカウントの乗っ取りや情報流出疑惑などの報道を見聞きすると、ビジネスとして利用するにはちょっと怖くなる。コンプライアンスが厳しい企業では、私用はともかく、業務での利用を禁止しているところも多いだろう。

しかし、日常的に使い慣れているツールを仕事でも使いたいと思うのは自然な流れだ。普段は外回りの営業などをしていてパソコンを持ち歩かないビジネスパーソンでも、スマホでLINEを頻繁に使うという方は多いだろう。私的デバイスの業務利用を指す“BYOD”という言葉もあるが、業務管理上、企業側はアプリの公私混同は避けて欲しいところ。

そんな悩みを解消してくれそうなのが、今回紹介するアプリ「direct(ダイレクト)」。リリースは2014年10月3日。iPhone版、アンドロイド版、Web版(パソコンのブラウザで使える)の3つのプラットフォームに対応。このアプリを開発、提供しているのが株式会社L is B (エルイズビー)である。

同社代表の横井太輔氏に伺ったところ、2013年11月よりトライアル利用の受付を開始し、宣伝なしでこれまで700社もの企業から申し込みがあったという。

アプリ開発にあたっては、外回りの営業担当、配送担当、店舗運営、工場、倉庫、介護現場など、現場仕事を担うフィールドワーカーと社内のデスクワーカーをリアルタイムにつなぐこと、この利用シーンを想定して開発を続けている。

従来、一人一台PCを与えられていなかったフィールドワーカーがスマートデバイスの普及により急速にIT化されてきた。デスクワーカーに一人一台PCが普及しメールアカウントが配布されたときの進化と同じ事がこれから起こると考え、スマートフォンネイティブな社内コミュニケーションツールを開発している。

そしてスマホやタブレットが普及し、プライベートでLINEのようなツールを利用することが普通になった昨今、例えば上司への連絡や報告、日報提出、現場間でのやり取りなどをLINEライクに行いたいという声が増えていった。そして、横井氏はそんなニーズに応えるため、「direct」の開発に着手した。

そうして開発・リリースされた「direct」は、単なるコミュニケーションツールというよりも業務全般の生産性を向上させるITシステムとなった。例えば、企業の情報システム部門が利用者を一元管理、利用者全員あるいはグループ単位の一斉PUSH配信、さらにデータを一括して取り込むExport機能、社内アンケート機能とそのデータを集計できるなど、業務利用のための機能が満載だ。

通常、業務システムを導入すると現場から「使いづらい」「使い方がわからない」といった声が多く出る。しかし、普段から使い慣れたLINEのように使える業務ツールということで、導入後に使い方に関する問い合わせが非常に少ないという。中には自分達で動画機能を使って手順書マニュアルを作るケースも多いそうだ。

また、「direct」は、グループ内の誰が既読で誰が未読かも把握できる。例えば、朝イチで上長がスタッフ10名に指令を一斉配信して、9名は既読だが1名だけ未読の社員がいる場合、それが誰かといったことがわかるのだ。eメールでは配信された後に既読か未読かを判定することが難しいが(同等の機能を持つメールソフトもある)、「direct」なら大丈夫。

実際、eメールは日々増え続けるスパムメールなどに重要な連絡が埋もれてしまうこともある。携帯電話も手が離せない時は留守電モードになることも多く、緊急の連絡手段としては心もとないといった現場の声があったそうだ。そのため、「direct」には、Yes/Noだけ返信できる機能や、GPSと連動して今いる場所だけを送信・共有する「今ココスタンプ」、テキストや口頭だけでは伝えづらい状況を知らせるために動画を撮ってすぐ送信・共有できる機能も。特に動画機能が好評で、建設現場などで図面と現状の食い違いを報告するために使われているそうだ。

正式版がリリースされたばかりだが、小売大手のドン・キホーテ社が導入するなど反応は上々。そのほか超有名な大企業からの引き合いも多く、営業担当でもある横井氏は全国を飛び回っている。

ジャストシステムで働いている頃、iPadの登場に衝撃を受けて起業を決意 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20141111-3 横井氏は、起業前、パソコンソフト大手のジャストシステムで製品企画や社長室の業務に従事。ジャストシステム創業者の浮川氏のそばに仕えていたそうだ。しかし、ジャストシステムの経営体制が変わり、浮川氏が退任した際、自分も起業に挑戦しようと考えるようになった。

当時、iPadが登場したばかりで、日本未発売のiPadをアメリカで購入。衝撃を受けた。それまではパソコンソフトの世界で生きてきた横井氏だったが、これからはスマートデバイス(タブレット)の時代がくると確信。ちなみに、浮川氏に初めてiPadを見せたのも横井氏だったそうで、浮川氏も同様に衝撃を受け、その後のMetaMoji(スマホやタブレット向け手書きアプリなどを手掛けている)社の製品の立ち上げにつながったという。

創業時は横井氏とエンジニアの2名でスタート。資本金は横井氏の貯蓄を切り崩した500万円だった。最初にリリースしたサービスは、メッセージ中の言葉を解析して画像に自動変換するアプリ「Feel on!」。感情を視覚化するというもので、ツイッターでのやり取りが自動的に画像に変換され賑やかになるというもの。国内、海外でもリリースし日本とインドネシアのアプリストアで1位を取るなど人気アプリとなり、同社は第2回JapanNightで優勝するなど、スタートアップ界隈では知られた存在になり、「Feel on!」も順調に利用者数を伸ばしていった。

ところが、ここで思わぬ障壁が立ちはだかる。2012年、ツイッター社の方針変更により、外部ベンダーのAPI利用が制限されることになったのだ。すでに25万人もの利用者がいた「Feel on!!」は、この制限に引っかかってしまった。

そこで横井氏は、事業を転換することになる。まずは、いったん売り上げを確保するために受託開発をスタート。「Feel on!!」開発の実績、特にエンジニアリングとデザイン・UIなどの両面に強みがあり、かつ横井氏自身も製品企画の経験があるということで、NTTやKDDIなどの大手企業から開発依頼の声がかかった。この受託ビジネスが順調に推移し、経営は黒字化した。

その後2年ほど受託案件を中心に進めていたが、ある取引先からLINEライクなビジネス向けメッセージングツールの開発を持ちかけられる。同ツールの構想をほかの会社に話したところ、使いたいという声が予想以上に多く、横井氏は、大きなニーズがあると直感。それが「direct」開発のきっかけとなった。

そ同社の開発プロセスでユニークなものに、「6週間モデル」というものがある。それは、最初の1週間で利用者からの要望を聞き、2週間で開発、2週間でテスト・試験をし、最後の1週間でリリース(AppStoreであれば申請など)するというもの。今もこのサイクルで新機能を次々と投入している。

業務システムと連携して、コミュニケーション・レイヤーの主要プレイヤーに 将来への展望

建設業や小売業、運送業、飲食業、ほか各種業種の営業担当者など。パソコンではなく専用端末でフィールドワークをしているビジネスパーソンは多い。これまでもeメールに代わるコミュニケーションツールはあったが、それらの多くは、デスクワーカーの視点でつくられている。「現場の声を反映していない。そこに“direct”の強みがある」と横井氏は語る。

また、スマホやタブレット端末の価格はどんどん安くなっている。場合によっては、通信会社やOAベンダーなどから無償提供されるケースも。例えばプリンターを買ってくれたらiPadをプレゼント、通信契約をすれば端末代は無料OKなど。そうなると、企業側もコストのかかる専用端末からスマホ、タブレットに移行したくなる。しかし、使える業務ソフトはまだまだ未整備だ。この環境変化に、横井氏は大きなビジネスチャンスがあると見ている。

横井氏にこれからの展望を伺ったところ、「“direct”は、広義の意味でクラウドサービスの1つだが、クラウドサービス自体は3つの階層からなる」と解説してくれた。それは、データ保存などを担当する「ストレージ・レイヤー」、そのデータを利用する「アプリケーション・レイヤー」、そしてアプリケーションに接続するための「コミュニケーション・レイヤー」という3層構造だ。同社は、「コミュニケーション・レイヤー」での主要プレイヤーを目指している。

アプリケーション・レイヤーでは、セールスフォースやサイボウズ、あるいは各種業務ソフトなど、すでに大手のプレイヤーが競争を繰り広げている。ストレージ・レイヤーでは、グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどの巨人がシェアを握りつつある。そんな状況のなか、ベンチャーである同社は、コミュニケーション・レイヤーに切り込んでいくことを決めた。ちなみに、ある大手業務ソフト会社との連携を水面下で進めているという。

3年以内に1000社へ導入が同社の目標だ。さらにグローバル展開も視野に入れている。今は横井氏のほか、エンジェル投資家、友人・親戚が主な株主だが、今後はベンチャーキャピタルや事業会社からの大規模な資金調達も見据えた資本政策を検討中とのこと。同社のこれからの成長に大いに期待したい。

株式会社L is B (エルイズビー)
代表者:横井 太輔氏 設立:2010年9月
URL:
http://www.l-is-b.com/ja/index.html
スタッフ数:12名
事業内容:
・「direct」「Feel on」など自社サービスの開発・運営
・自然言語解析技術によるサービス開発およびコンサルティング
・スマートフォンアプリ開発
・ソーシャルアプリ開発
・Webサービス開発
・UI/UXデザイン
・キャラクターデザイン
・企画コンサルティング 他

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