創業以来、延べ2万8000人の留学生を支援。留学生のキャリアを切り開くベンチャー「エストレリータ」

サービス業

執筆者: ドリームゲート事務局

留学生のトータルキャリアサポートプログラム【Pathway to Will】を軸に、海外生活に挑戦する若者支援で急成長。 展開している事業内容・特徴

20140717_1文部科学省の統計によれば、日本人の年間留学者数は約5万7000人。2004年のピーク時には約8万3000名であったから、3割減という状況だ。少子化の影響で、学生の数や若い労働層の総数も減少しているため一概にはいえないが、例えば現在、就職先として公務員が人気を博しているなど、若年層は内向き志向になっているのかもしれない。

しかし、経済のグローバル化が進み、ビジネスパーソンに高い英語力が求められている昨今、留学によって生きた語学力を身につけた人材の価値はこれからますます高まるに違いない。

今回は、そうした留学経験者のニーズの高まりを見越して、留学生支援のビジネスを手がけているベンチャー、株式会社エストレリータを紹介しよう。

同社では70社ほどの留学エージェントと提携し、2007年7月の創業以来、延べ2万8000人もの留学する若者のキャリア支援をしてきた。また、留学生向けのポータルサイトとして「海外生活サプリ」も運営している。

前述の【Pathway to Will】セミナー に参加すれば、渡航中もスカイプやメールで海外にいる留学生とコミュニケーションし、悩みを聞いたり、アドバイスを行っている。ユニークな取り組みとしては、セミナーの講師が「人事部長」の視点を持って、留学前に宿題を出していること。留学後にやりたい仕事、なりたい職業を想定して、そのためのアクションプランをつくらせる。そして、留学先でそれを実行させるというもの。

また、帰国後の就職もサポートしている。せっかくの留学経験をきちんと評価してくれる企業とのマッチングを行っているのだ。

日本企業が人材を採用する際、どうしても学歴や社歴、あるいはペーパーテストの結果を重視してしまう。一方、海外有名大学のMBA取得者などは別として、語学留学などの経験はあまり評価にならないことも多い。しかし、日本を飛び出して海外で何かを学ぼうという意欲、未知な世界に飛び込む勇気、チャレンジするマインド自体を評価すべきと、同社代表の鈴木信之氏は考えた。

鈴木氏は自社の取り組みを「留学生のためのエアバック」と例えている。せっかく留学しても帰国後に本人にとって良い就職ができないリスクを軽減するサービスというわけだ。

また、大学までの学歴は家庭の状況によるところも大きい。しかし、自分で稼げるようになって、自力で海外留学などで頑張った人を救い上げるような仕組みにもなればと鈴木氏考えている。

学習塾、大手コンサル会社を経て人材企業へ。人事部長時代のアイデアをもとに起業 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20140717_2実は鈴木氏、現在日本に61名しかいない国家資格・一級キャリアコンサルティング技能士である。また、厚生労働省のキャリア形成支援事業「グローバルエース」のキャリアカウンセラーたちのスーパーバイザーも担当していて、全国の精鋭カウンセラー30名をまとめている。つまり、国内トップクラスの留学キャリア支援の専門家でなのである。

ちなみに、鈴木氏の実家は寿司店。それも著名人や有名料理人がこぞって通う名店で、そこまでの店を育て上げた父親の背中を見て育った。子供の頃から自分もビジネスを立ち上げたいと、自然と起業マインドが形成されていったそうだ。

慶應義塾大学に進んだ鈴木氏は、大学に通いながら医師を目指す高校生の家庭教師をしていた。時給は破格の8000円。教えていた子供は、見事某大学の医学部に進学。その実力が評判となり、周囲からの勧めもあって、自分で学習塾を開こうとした。しかし、父親から「一度は人に使われる立場を経験すべき」という助言を受け、大学卒業後は中学受験の老舗企業である四谷大塚に入社し、講師人事・企画などを担当した。

その後、デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)に転職。デロイトではITエンジニア候補として採用されたが、新人研修の内容をいち早くこなしてしまい、すぐ周囲の新人に教えるようになってしまった。それを見たボードメンバーから「君はコンサルタントに向いている」と認められ、異例ながらエンジニアではなくコンサルタントとして働くことになる。

6年ほどHR系のコンサルタントとしてキャリアを積んだ鈴木氏は、次にクライアント企業だった人材ビジネス大手のパソナテックに人事部長として転職する。そこで、現在のビジネスにつながる着想を得た。

パソナテックで100名以上の日本人留学生を面接した際、留学経験者は非常に優秀な人材が多いことに気づいた。採用計画の都合で2、3名しか採用できなかったが、これだけ優秀な人材ならもっと採用したいと思った。しかし、一方で従来の人事部主導の採用では、決して留学経験者が高い評価を受けていないことも知った。このミスマッチをなんとかしようと思ったことが、起業のきっかけとなった。

パソナテックでは人事統括や企画責任者、子会社のGMなどを歴任し、34歳となった2007年に起業した。

そして、留学生向けの支援ビジネスや「海外生活サプリ」を立ち上げ、運営する一方、企業向けのサービスとして、留学経験のある学生・社会人を集めた「Est Navi(エストナビ)」を2014年7月1日にリリースした。

同サービスは、あえて中小企業のみが利用できるサービスとして打ち出している。多くの中小企業が人材採用に苦労しており、それをなんとかしたいという思いから中小企業限定の求人サービスが必要と考えたのだ。また、従来の求人サイトや人材紹介サービスは利用料が高額で中小企業には使いづらい。高いコストを払うくらいなら、本業に投資してもらいたいという想いもあり、費用は破格の月額1万円とした。

海外展開などを検討している地方の中小企業に向けて、留学経験のある人材をマッチングさせる。ローカルからいきなりグローバルを目指すということで、鈴木氏はこのサービスを「グローカル」という造語で説明してくれた。

さらに、実際に就職した人材のアフターフォローも。中小企業が独立した人事部門を持つのはコスト的にも大変だ。そこをフォローするため、中小企業の人事部機能を代行するキャリアセンターを目指しているのだ。

まだスタートしたばかりの「Est Navi」だが、すでに登録している人材は8000名超。もちろん全員がアクティブに就・転職活動をしている訳ではないが、その内訳は20%が学生で、残りは社会人という割合だ。

優秀な日本人を世界中に流通させるインフラを目指す! 将来への展望

「Est Navi」については、数年以内に1万社の導入を目指している。それでも、国内300万社ともいわれる中小企業の0.3%程度。人口が減り続ける日本の未来は、国内市場のシュリンクが予想されている。中小企業も生き残りをかけて海外により積極的に進出し、事業機会を得なければ存続は厳しい。そうなった場合、留学経験のある人材は即戦力として重宝されるだろう。ITや英語は就職時にかならず求められる二大スキルだが、鈴木氏は英語力というより、留学経験が絶対条件になる時代がかならずくると見ている。

また、鈴木氏は「足長おじさん」的取り組みとして、海外に留学したい若者に投資をするプロジェクトも計画している。投資してくれた会社に帰国後の就職することを絶対条件とせず、あくまで若者の未来に投資をするというものだ。もちろん、留学生と投資企業が相思相愛になればベストだが、決して強制はしないという。

最後に、鈴木氏からのメッセージを紹介したい。

「日本人はとても優秀です。私は、その人材を世界中に流通させるインフラをつくりたいと思っています。自分たちの親世代は、戦後の混乱期から猛烈に働いて、日本を世界有数の経済大国に育て上げました。しかしその後、失われた20年ともいわれる長い停滞期に入っています。現役世代としては不甲斐ない限りです。なので、自分の子や孫の世代のためになる仕事をしたい。特に、自分の一番尊敬する父親に、胸を張って報告できる仕事をしたい。まずは今の仕組みを軌道に乗せることが一番。私は事業の立ち上げは得意ですが、継続させる仕事は苦手なんですよ。それを別の人材に任せ、いつか2年間くらい自分自身も留学したいですね(笑)。」

株式会社エストレリータ
代表者:鈴木 信之氏 設立:2007年7月
URL:
http://www.estrellita.co.jp/
スタッフ数:
事業内容:
・セミナー・研修事業  ・コンサルティング事業  ・就職支援・人材紹介事業  ・『海外生活サプリ』事業
・Est Navi事業(新事業)

当記事の内容は 2014/7/22 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。