スマホアプリの開発コストを劇的に低減させる、スマートデバイス用自動テストプラットフォーム「Scirocco Cloud(シロッコ・クラウド)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

クラウド上でスマートフォンのテストが出来るサービスが登場。10人日のテスト工数が0.5人日に削減できたなど驚異的な実績で急成長中!
展開している事業内容・特徴

20140707-1その名の由来である“雲”のように、私たちの生活にいつの間にか広まりつつあるクラウドサービス。いまやインターネット上で、情報の共有、データの保管や更新、アプリケーションの利用などを行うのは当然になりつつある。

クラウドサービスによる恩恵は、ITの利用が必然となった現代の企業にとって非常に大きい。例えば、これまで多大なイニシャルコストを必要としていたIT資産の初期投資や業務アプリのメンテナンス不要に伴うランニングコストの削減、サーバ不要に伴うCO2削減、人的労力の軽減等々…。このようなメリットから、今、あらゆる企業がクラウドに注目し、情報やデータは「所有」するものではなく、インターネット経由で「利用」するものという概念が、全世界で広く普及しようとしている。

日本でもクラウド化の流れは活発で、2013年には内閣府が一大構想案として掲げていた「霞ヶ関クラウド」が、「政府共通プラットフォーム」として運用開始された。クラウドサービスはいまや国の基盤にも組み込まれているのである。

そんなクラウド全盛ともいえる昨今、今回紹介するのは株式会社ソニックスが提供するスマートデバイス用自動テストプラットフォーム「Scirocco Cloud(以下:シロッコクラウド)」だ。

簡単にまとめるとAndroid端末のアプリ開発やサイト製作にかかる実機テストをクラウド化して遠隔で行える、BtoB向けのサービス。クライアントはリリースサイクルの早いAndroid端末を自らそろえることなく、テストや検証などをクラウド上の実機を用いて行うことができる点がメリットだ。

2012年にサービスインして以降、開発者から注目されている同サービス。その背景には、猛烈な端末開発競争がある。

例えば、2014年の夏に国内通信キャリアからリリースされるAndoroid端末数はおよそ20種類以上と言われている。だが、これらは1〜2年もすれば旧型となり、ほとんどが役目を終えてしまう。つまり、アプリ開発などを行う企業において、1台数万円はする実機をテスト用として多数調達するのは大変なコストになる。このテスト用端末コストを抑えることがアプリ開発にとって大きな課題となっている。また、アプリやサイト構築のテストにかかる労力や人件費もバカにできない。

スマートフォンの急速な進化に伴い浮上した昨今、膨張する開発コスト問題を解決するサービスなのである。

利用できる環境としては、HTML5対応のブラウザ環境があれば良い。Androidだけではなく、iOSやFirefox OS、Ubuntuもベータ版対応しており、端末数はスマホ&タブレット含め150種類以上を網羅している。

さらに嬉しいのが、実機テストの内容がほとんど実行可能というだけでなく、実機テストより同サービスを使う大きなメリットがある。例えば、実機テストでは端末複数台で同じテストシナリオを実施するのは非常に煩雑であったが、同サービスでは定型的なテストシナリオをスクリプト化し、一斉に自動実行させることができる。また、テスト結果の報告書作成はテストした画像をエクセルなどに貼付けまとめることが多いが、同サービスを使えばテスト結果をスクリーンショット出力するだけで済むため、結果を一目瞭然で把握することも可能になっている。

現在、同サービスにはフリー版含めて4種類のプランがあり、短期〜長期まで、あらゆる開発プロジェクトに対応している。キャリア公式サイトでの検証テストの事例では、公式サイト内には1600個ほどのリンクが貼られており、それぞれのリンク先のコンテンツ内容と公式サイトとの整合性の検証を主目的に導入された。導入前の検証作業は、社員2名が1週間かけておこなっていた。しかし、同サービスを用いることで、驚異的に作業効率が向上し、社員1名が半日あれば検証作業を終えることができたという。

「コスト」と「テスト工数」を削減し、「品質の向上」をもたらすシロッコクラウド。サービスインから3年目を迎えたが、現在のクライアント数は800社以上と、年々右肩上がりだ。アプリ開発・運用に欠かせないスタンダードサービスとして、日本中に認知されるのもそう遠くはないことだろう。

磨き上げたスキルとイノベーション気質を武器に、世界へ切り込むべく事業をスタート!!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20140707-2シロッコクラウドを筆頭に、さまざまなエッジの効いたサービスを展開する「株式会社ソニックス」。

将来革新的なイノベーションを生むと予想されるベンチャーに贈られる「Red Herring 100 Global Winners」を2011年に受賞、世界から注目を浴びた。Red Herring~は、かつてはGoogleやYahoo!、YouTube、Twitterなど、世界を席巻しているベンチャーも取得したことで知られる。

また、翌2012年には、国内の大手ベンチャーキャピタルから1億5000万円の資金調達を実施し、シリコンバレーとシンガポールにオフィスを構えるなど、今まさに波にのっているベンチャー企業だ。

その代表取締役を勤めるのが、吉澤武則氏だ。吉澤氏のこれまでの歩みは、アグレッシブかつアクティビティにあふれている。

吉澤氏は音楽活動を経て2000年にSI系ベンチャー企業へ入社。退社後、自ら経営者としてソニックスの前身となるソニックス・テクノロジー株式会社を2002年に創業した。

2006年にはマーケティングCRM製品を手がけるアイポイント株式会社と合併して設立したイズ株式会社の取締役に就任。

その後は、自身はビジネスコンサルタントの道を歩むと同時に、自社レーベルのCD製作やイベント開催をするなど音楽事業をメインにした会社を設立。

また、期を同じくして、かねてからのオファーによりキヤノン電子グループの子会社にも経営参画した。

しばらくは音楽事業との両輪であったが、リーマンショックの到来により、キヤノングループの連結子会社の代表取締役に就任し、立て直しに貢献。そして、2010年に退職し、ソニックスを立ち上げ、現在に至る。

これまでを振り返り、吉澤氏はこう語る。「もともと、父方も母方も自営業や事業家が多い家系なんです。なので、私も将来は何かしらサービスを提供していくのだろうなと考えていました。また、小さい頃から音楽がずっと好きで、憧れるアーティストが海外に多くいたので、ゆくゆくは世界で活躍したいとも。音楽活動が落ち着いた23歳のとき、起業が具体身を帯びたのですが、経営者になるためのスキルを磨く必要を感じ、まず飛び込んだのが、SI系ベンチャー企業でした。そこで先端の情報や知識に触れるだけでなく、営業責任者に就任させていただきシリコンバレーを中心とした海外事業に携わることができたことは、会社設立や事業の大きく役立っています。今までにないサービスを創出するということに興味もあったので、そのままシステム構築分野に傾倒しスキルとノウハウを深め、Webシステム構築を事業とし設立したのがソニックス・テクノロジーです。その後の歩みは、今振り返れば、新しい製品やシステム、価値観で、顧客のさまざまな課題を解決したいという一心でしたね。」

吉澤氏のこうしたイノベーション気質とITへの知見が融合しモバイルデバイス領域に集約され、世界へ切り込むべく始動したのがソニックスであり、そこで誕生したのがシロッコクラウドだ。

サービスの拡充と普及を図りながら、当座の目標に据えるのはアジアでのトップシェア獲得!
将来への展望

吉澤氏に今後の展望を伺ったところ、今後もシロッコクラウドをはじめとするサービスの内容を拡充しつつ、一層の普及をめざしていく一方、ウェアラブル端末やビッグデータに関する新規事業も推進させていく計画だという。

また、海外での事業拡大に向けた環境整備も着々と進めている。もともと、シロッコクラウドは英語と日本語のバイリンガル対応。有償プランを導入している海外クライアントもいる。また、すでに2年前の時点で、2カ国での拠点は設置済み、多国籍な人材からなる「グローバルマーケティング本部」を本社に築いていることを考えれば、海外での本格始動も秒読みといえるだろう。

「モバイルデバイス領域のサービスを生み出すのに、日本はとても良い環境が整っていると感じます。世界から見ればスマホの普及が遅れましたが、携帯先進国であることは変わりがなく、コンテンツにおいては世界トップレベルだと感じます。そういった土壌があったからこそ、シロッコクラウドも、クライアントニーズに応えるべくブラッシュアップでき、高い完成度を得ることができました。このクラウドサービスの日本、アジアにおけるパイオニアとして、グローバル・スケールでの事業展開をめざしていきたいと考えています。当座の事業目標としては、アジアでのトップシェア獲得を掲げています。そこが達成できれば、ヨーロッパ、アメリカと順々に世界で確固たる地位を築いていきたい。ただ、ベンチャー環境の違いなど、日本のベンチャー企業が海外へわたるハードルは決して低くはありません。盤石な基盤を構築しながら、準備を進めていきたいと考えています。」

家電や車で、一躍世界の注目を集めてきた日本企業。しかし、ITが普及しグローバル化が進んでからは、先進的なサービスで世界シェアを獲得している企業は未だ出ていない。革新的なクラウドサービスを打ち出したソニックス。先陣を切って大きく世界へ羽ばたき、日本と世界とを結ぶ架け橋となることを期待したい。

株式会社ソニックス
代表者:吉澤 武則氏 設立:2006年10月
URL:
http://www.sonix.asia/
スタッフ数:20名
事業内容:
・モバイルソリューションサービス事業(コンサル、アプリ開発、他)
・クラウドアプリケーションサービス(Scirocco Cloud、他)
・オープンソースソフトウェアの開発・提供
・モバイル関連ガイドラインの策定・コントリビュート活動

当記事の内容は 2014/7/15 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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