ソーシャルゲームのイラスト受託事業からクラウドソーシング、イラスト学校などクリエイター事業を多角展開するクラウドゲート社

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

盛り上がりを見せるクラウドソーシング業界で、イラスト・デザインカテゴリに特化した「Crowd Gate」。
展開している事業内容・特徴

サブカル文化の中心地・秋葉原に本社を置くクラウドゲート株式会社。イラスト受託制作、オンラインゲーム開発運営、クラウドマッチングサイト運営といったBtoBからBtoC、BtoBtoCに至るまでを事業として、メディアコンテンツ業界を根底から支える会社だ。

そのクラウドゲート社が2012年4月に立ち上げたのが、イラスト・デザインのニーズと、クリエイターのシーズを結ぶクラウドソーシングサービス「Crowd Gate」だ。

20140418_3クラウドソーシングはネットの特性を活かし、新しい雇用形態の形を創出したサービスとして、世界中で普及しつつある。日本でも急速な広がり見せており、国内でサービスを展開させている企業は200社にも上る。

日本国内での市場規模は、2013年度ですでに246億円、2017年度には1473億円までに拡大するだろうと算出されている。さらに、2023年までには国内の就業者の半数が情報サービス業従業者となり、その中の1000万人は非正規労働者であると試算されていることから、その数%程度がクラウドソーシングで20万円以上の月収を稼げるようになれば、市場規模は1兆円に届くとも予想されている。まさに“火がつけば”、途方もなく拡大するマーケットなのだ。

また、我々のワークスタイルもクラウドソーシングにより、変貌を遂げはじめている。日本において、時間と場所にとらわれないで働く “ノマドワーカー”や、フラットな職場環境を望む “コワーカー”の出現や定着は、まぎれも無くクラウドソーシングサービスなくしては語れない。さらに、場所や時間に左右されず働けることで、定年退職を迎えた高齢者、家事や育児で制約を受ける主婦などが利用するケースも増えているという。クラウドソーシングは、従来の雇用体制のソリューションとして機能し労働インフラを進化させていくものでもあると言えるだろう。

そして、この無限の可能性を秘めた市場に新たに参入してきたのが「Crowd Gate」だ。

大手クラウドソーシングサービスである「ランサーズ」や「クラウドワークス」と同サービスを比較すると、その違いは2点。「イラスト・デザインカテゴリへの特化」と、「システム手数料」である。

上記2サービスのカテゴリはシステム開発やコンテンツ制作、ライティング、イラスト制作など、多岐に渡る案件を扱う。それに対し、同サービスはキャラクター・ロゴ・名刺・web素材・イラスト・POP/広告制作といったイラスト・デザイン分野の案件に特化している。まさに、イラスト・デザインの制作実積を膨大に築くクラウドゲートならではといったところだが、カテゴリを限定することで、高いスキルを持ったクリエイターと、高品質を求めるクライアントが出会える環境を整えている。現在、サービスインして2年が経過したが、クライアント、クリエイター含め総登録数は約12,000人に上る。

次に、いわばサービスの収益部分である、システム手数料について。上記2サービスは、クリエイター側を対象としていて、案件報酬から5〜20%のシステム手数料が引かれ、その差額が報酬となる。これに対し、同サービスは、クライアント側に一律15%のシステム手数料が発生する。クリエイターにとって、このシステム手数料は意外と手痛い。当然、それはクライアントにも同様ではあるが、クリエイターが魅力を感じる環境を整えることにより、質の高い提案が増え、高品質の成果物を得られるといった正のスパイラルを描けば、クライアントにとって、システム手数料は負担ではなくなると同社は見ている。あくまでも、「制作者」と「質」にこだわった、クラウドソーシングサービスなのだ。

『創る』を支援!! クリエイターとメディアコンテンツ業界を支える「クラウドゲート株式会社」
ビジネスアイデア発想のきっかけ

クラウドゲート株式会社は、もともと「イラスト受託制作」を事業として手掛けていた。ソーシャルゲームイラストやアバター、乙女ゲームやスタンプ・デコメなどの制作を行っているが、株式会社スクウェアエニックス『戦国IXA 千万の覇者』、ジーピー・モバイル株式会社の『狩りとも』、株式会社サイバーエージェントの『天下統一クロニクル』、などの多数の実積が証明するように、時代の先端をいく企業のメディアコンテンツをサポートしてきた。

同社が支持されている秘訣は、同社の幅広いジャンルに対応する高い汎用性を備えた作画能力と、優れた品質維持管理体制だ。まず、イラスト・デザインをこなすのは、同社が「パートナークリエイター」と呼ぶイラストレーター陣。厳密な審査を経て能力が認められたクリエイターで、2014年5月時点で7000名以上が在籍している。

同社はあらゆるジャンルのイラスト・デザインを網羅しつつ、また、スキルが厳選されていることで高い作画クオリティを保持している。そして、品質維持管理においては、従来、発注側が行っていた「スケジューリング」、「クオリティ維持」、「素材管理」、「クリエイターの選定」、「発注のやりとり」などを、同社のディレクターが一貫して担当することで、高品質を維持した成果物の納品を可能にしている。

一方、「オンラインゲーム開発運営」では、ウェブトークRPG(WTRPG)と呼ばれるオンラインゲームを展開している。従来のMMORPGは、フィールド上でプレーヤー同士のやりとりを楽しむものであったが、WTRPGはキャラクターの行動が文章により表現され、それをWTRPGマスターと呼ばれるライターが判定していくなど、マスター、プレーヤーたちが物語をつくりあげていく。また、プレイヤーキャラクターのビジュアルは、決められたパーツを組み合わせて表現するアバター形式ではなく、同社のパートナークリエイターが書き起こしていく。つまり、テンプレートに落とし込んだゲームではなく、極めて自由度の高いゲームとなっている。現在、3種のラインアップがあり、独自の文化発展を遂げた「天儀」という世界を舞台にした和風ファンタジー『舵天照』、超能力を持つ生徒たちの学園生活をテーマにした『エリュシオン』、異世界「クリムゾンウェスト」を舞台に地球よりの異邦者と幻想世界の勇者が邪悪なる「歪虚」と戦う『ファナティックブラッド』を運営、多くのユーザーを持つ。エリュシオンにおいては、話題の「小説家になろう」とのタイアップで実施している、国内最大級のオンラインライトノベルコンテストが、、コアなファンの獲得にもつながっているそうだ。

こうした背景があったため、クラウドソーシング事業である「Crowd Gate」の立ち上げも自然な流れであった。

また現在、同サービスとリンクした新規事業も、2014年1月からサービスインを果たした。「イラスト学校」と銘打たれたオンライン完結のイラスト指導サービスで、クリエイター育成支援事業である。

クリエイターは大きく2つのタイプに分かれる。稼げるタイプと、稼げると思っていてもなかなかそれが叶わないタイプ。後者が陥りがちなのが、自分の作品と世の中との“ズレ”である。自分の画風やデザインが、世の中の潮流とマッチしていなければ当然、ニーズはない。そこに必要なのが価値を生む作品づくり、いわば「マネタイズの視点」で軌道修正していくことであるが、口で言うほど簡単なことではない。そこに確かな光を当てるのが、同サービスだ。

「トライアルコース」、「苦手克服コース」、「ベーシックコース」、「スキルチェックコース」の4つのコースからなり、それぞれに専属の講師がつく。受講すると課題が出され、その出来映えを詳細に評価してもらうことができる。そこで受講者は、自分で気がつかない自身の価値を発見し、あるいは弱点や未熟なポイントに対して理解を深め、スキルを磨いていく。最大の特徴は、どのコースも、いわゆる学校での教科書指導ではないこと。社会と渡り合えるクリエイターの育成をサービスの主体にしていることから、「価値のある」スキルを学べるのである。

まだ、サービスインして間もないが、特別なPRはしていないものの、募集枠の6倍程度の応募が集まったこともあったそうで、同サービスは早くもクリエイターから熱い視線が注がれている。

同社はこの反響に応じ、現在、さまざまなコースの追加を検討している。社がこれまで築き上げてきたクリエイティブスキルやノウハウ、世の中の動向を分析した情報の開示などを織り交ぜ、さらに有益なコースをリリースしていく予定だ。

ともに世界へ!! 大きく羽ばたけるクリエイターの育成に注力
将来への展望

同社は今後も、大型案件を持つクライアントなどの獲得に注力しながら、Crowd Gateの一層の普及を行う。

当座の目標は登録クリエイターへの支払報酬総額100億円の達成。クリエイターの主戦場であり、クライアントが満足のいく作品を手にできる場としての拡充を進めながら、一大プラットフォームを構築していく構えだ。

上述してきた「Crowd Gate」、「イラスト学校」の他にも、同社は株式会社インテリジェンスとタッグを組み、オフラインでの企業とクリエイターとのマッチングイベント「クリエーターズワーキングフェスタ」を2013年8月に開催するなど、クリエイターの活性化に尽力してきた。(2014年は9月開催予定)

時として、社会という枠組みの中で、クリエイターは肩身が狭く感じることもある。だが、同社の『創を支援する』という理念のもと、展開されるこれらの事業は、クリエイターを鼓舞し、必ずや新たな世界へと導いてくれることだろう。

インタビューの最後に、取締役である石井功一氏はこう語ってくれた。

「当社が描くビジョンは2つあります。まず、『国内外問わずクリエイター1,000万人との連携』。その実現のための序章として、今後もCrowd Gateやイラスト学校の普及、そしてパートナークリエイターの増員に注力していきます。そして、2つ目は、『日本のイラストを世界規模で広める』。世界広しと言えども、日本の画風には諸外国が真似できない独特なテイストがあります。そのテイストをグローバル・スケールまで押し上げていきたい。そのためには、優秀なクリエイターが欠かせませんし、何よりイラスト業界も活性化してなくてはなりません。当社、クライアント、クリエイターすべてがwin-winとなれる事業を展開させながら、世界へ向けて盤石な基盤づくりを進めていきたいと思っています」

クラウドゲート株式会社
代表者:藤田 一郎氏 設立:2000年3月
URL:
https://www.crowdgate.co.jp/
スタッフ数:67人
事業内容:
・各種コンテンツ受託制作
・オンラインゲーム開発運営
・クラウドマッチングサイト開発運営

・他

当記事の内容は 2014/5/29 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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