リラクゼーション業界を革新するベンチャー「クロスリンク」。複合サービスで営業効率を高めて急成長中

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

求人と予約管理を両輪に、口コミ&コミュニティーサイトも運営。複合戦略で急成長。
展開している事業内容・特徴

oder-1今やコンビニの店舗数よりも多いと言われるリラクゼーション施設。整骨院などの治療院も含めると18万軒、そこで働いている人は46万人にのぼるといわれている。

しかし、つい数年前まで、「食べログ」のような口コミサイトも、「一休」「楽天トラベル」のような予約サイトもなく、ユーザーは店舗に電話を入れて予約を取るのが一般的だった。

そんな旧態然とした業界を革新しようと立ち上がったのが、今回紹介するベンチャー、クロスリンク社だ。

同社の戦略は非常によく練られている。提供しているサービスは4つ。予約・顧客管理システムを提供する「ワンモアハンド」と、ユーザーがサロンや治療院を探す際に使う口コミ・予約ポータルサイト「らくりら」。そして、リラクゼーション・治療院業界専門の求人サイトである「キャリさぽ」、業界関係者向けのコミュニティーサイト「ひとさぽ」だ。

2014年3月現在の収益の柱は「ワンモアハンド」のシステム利用料収入と、求人サイト「キャリさぽ」の求人広告掲載費。求人については広告掲載型と成果報酬型の2つのメニューがある。ほか2つのサイトについては、広告収益も見込んでいるが、本当の狙いはユーザー獲得のためのメディアという位置づけ。自社でメディアを持ち、ほかの収益サービスに流し込むというモデルは、最近よく耳にするオウンドメディアともいえる。

「ワンモアハンド」は2014年3月現在で890店舗が導入済み。「キャリさぽ」は1万8000名の登録会員数があり、2000件の求人が掲載されている。また、コミュニティーサイト「ひとさぽ」の会員数も1万1000名を超えている。

同社の強みは、これら複数のサービスを組み合わせることで営業効率が高い点にある。店舗側からみると、サービスメニューごとに担当営業が変わるのは手間だ。そこで、店舗のニーズに合わせて提案できるよう、営業は店舗単位という形にしたところ、予約管理システムと求人サービス、両面から営業提案ができるようになり、これが営業効率を高める結果となった。

そして、クロスリンク社は、同業界でいっきに最大手の位置に躍り出たが、同社代表の矢野敦子社長によれば、リラクゼーション業界の消費市場規模は1兆円以上。まだまだ伸びしろが残されていると予測している。

最近、リクルート社が同市場に参入し、サロン予約のサービスをテレビCMなどで積極的に広報している。同社の動きからも、同市場の可能性が大きいことがわかるだろう。

当初描いていた事業計画を実現すべく、苦悩の末のMBO。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

order-2クロスリンク社は、一般的なベンチャーとは少し違ったプロセスでスタートしている。元々は新規事業創出を専門に手がけるエムアウト社の一事業だった。矢野氏は凸版印刷から草創期のエムアウト社に転職。いくつかの事業の立ち上げや運営、責任者を務めていた。

クロスリンク社の事業モデルは、エムアウト社の新規事業の一つとして企画したものだった。ビジネスプランを思いついたのは、矢野氏自身がリラクゼーションサービスのヘビーユーザーだったから。自分がユーザーの立場として週に何度も通うなかで、業界として効率化されていない点がたくさんあることに気づいた。一番の不満は、優良な店舗を探そうとしても、口コミサイトすらないこと。女性が一人で利用するにはちょっと怖い思いをするような、怪しげな店舗があったり、同じ料金でも全く満足いかないような下手な施術者にあたるなど、利用者として不満な点がいくつも見えた。

そこに矢野氏はビジネスチャンスを見出した。産業化されていない業界だから、経営者が経営・集客・人事・施術者を兼任しなければならず、専門のサービスがなかった。経営者が経営に集中できるようサポートが必要なのでは?と考えた結果、人材と集客でのサービスだった。

事業計画を作成するにあたっては、まず500人の施術者にアンケートを行い、そのニーズから「ひとさぽ」を立ち上げた。そのあと、経営者のニーズも収集し、「キャリさぽ」と「ワンモアハンド」を事業計画にまとめた。

事業計画を作成していくなかで、特に求人サイトについては大きな市場があることもわかった。というのも、リラクゼーション業界はスタッフが2年で総入れ替えになると言われほど離職率が高く、恒常的な人材不足が続いており、求人需要がとても高かったのだ。

しかし、知名度がまったくないまま業界に参入するのは無謀と考え、まずは同業界での知名度向上とマーケティングを兼ね、業界関係者向けのコミュニティーサイト「ひとさぽ」を2009年9月に立ち上げた。

反響はまずまず。3カ月ほどで1000人を超える会員登録があったそうだ。そして予想外の出来事が起こる。コミュニティーサイト内で、会員同士が自発的に求人募集のやり取りを始めたのだ。

求人サービスの立ち上げも事業計画に入れていたが、ユーザー側は待ちきれなかった。それを見た矢野氏は計画を当初予定より3カ月ほど前倒して、求人サイト「キャリさぽ」をローンチ。開発期間は1カ月半という突貫作業だった。

リリース後すぐに大手業者からの引き合いが届くなど、「キャリさぽ」は順調なスタートを切った。2010年9月にはプロジェクトから昇格し、株式会社として法人化。2011年3月には予約・顧客管理システム「ワンモアハンド」、続いて2011年9月には口コミ・予約ポータルサイト「らくりら」もリリース。このタイミングで、当初から予定していた4つのサービスが出揃った。

実はここで同事業は転換点を迎える。エムアウト社のビジネスモデルは新規事業を成長フェーズまで育てて売却するというもの。同事業もその段階に入り、事業売却の段階となった。

しかし、矢野氏の思いは、リラクゼーション業界の関係者およびユーザーが便利で安心して使える仕組みで、業界を革新すること。そのためには、4つのサービスは連動してまだまだ成長させなければならない。

そうした思いから、悩みに悩んだ末、事業売却ではなくMBO、つまり自分で事業を買い取って独立する道を選んだのだ。すべて個人で買い取ると、責任はすべて自分の肩にかかってくる。スタッフの人生や生活も考えなければならない。MBOの決断までに3カ月間悩み続け、責任の重圧に“思い”が押しつぶされそうになったこともあったそうだ。

しかし、矢野氏を支えてきてくれたマネージャーやスタッフからの「一緒にやりたい」という声に支えられて、MBOを決断。

MBOにあたっては、事業全体を徹底的に見直し、新たに作成した計画書をエムアウト社の田口社長に提案。事業を継続できる経営体制であると認められ、MBOの承認を得る。そして、自身で蓄えていた預貯金のほぼすべてを投下し、2012年10月に事業を買い取った。

「独立直後は怖くて仕方なかった」という矢野氏。毎日、会社口座の残高を確認する日々が続いた。しかし、数千円のシステム利用料が徐々に積み重なることで、会社を支える一本の柱になる。コツコツと小さな取引を増やし、リピートしてもらうことの大事さに改めて気づいた。そして、MBO独立してなんと2カ月目には単月黒字化。現在も黒字経営が続いている。

「元気な人が、人を元気する」。このビジョンを掲げて業界革新に挑む!
将来への展望

取材の最後に、矢野氏にこれからの展望を伺ったところ、「当面の目標は『ワンモアハンド』の契約社数を1000社に伸ばすことと、『キャリさぽ』を求職者が安心して働ける求人サイトとして徹底することという答えが返ってきた。

経営は、とにかく事業計画の達成を最重視しており、半年に一度は事業計画をつくり直しているという。その際、売上目標自体は変えない。計画値と実績値の売上比率のわずかな差異を吸収し、営業リソースやプロモーションコストの分配を調整するなどして、何としても売り上げを達成するわけだ。

事業計画の策定は営業を統括するマネージャーと2人でひざ詰めして行う。マネージャーから上がってきた数字を見て、矢野氏が細かく指摘を入れて事業全体を調整する。

同社が目指すのは、マッサージ店やリラクゼーションサロンの予約のしやすい環境を整え、業界全体の活性化を図ること。また、予約が増えても施術者がいなければサービスを提供できないため、求人サービス「キャリさぽ」を通じて店舗が良い人材を採用できる仕組みを確立すること。

同業界の特長として、施術者が経営者や店長も兼ねているケースが多く、PR、営業、経理、人事といった業務全般になかなか手が回らない。そうした理由から、同業界がアナログで古い体質のままになっている。そこを革新していくというのが同社の戦略の骨格だ。

クロスリンク社のビジョンは「元気な人が、人を元気する」。

ストレス社会と言われる現代。リラクゼーション業界の活性化を通じて、世の中を元気にしていきたいという矢野氏。クロスリンク社のさらなる発展に期待したい。

株式会社クロスリンク
代表者:矢野 敦子氏 設立:2010年1月 (2012年10月にMBO)
URL:https://crossrink.co.jp/ スタッフ数:10名
事業内容:
リラクゼーション・治療院専門予約・顧客管理システム「ワンモアハンド」
リラクゼーション・治療院業界専門求人サイト「キャリさぽ」
口コミ・予約ポータルサイト「らくりら」
リラクゼーション・治療院業界で働く人のためのコミュニティーサイト「ひとさぽ」

当記事の内容は 2014/4/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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