「メイカーズ」ブームの後押しで年商3億円! 個人向け電子部品EC「スイッチサイエンス」

スマビ総研

執筆者: ドリームゲート事務局

顧客数6万人、年商3億円の個人向け電子部品EC 展開している事業内容・特徴

switch-science1ここ数年、モノづくりベンチャーが増加中だ。その理由の一つとして、様々なインフラの整備があげられる。3Dプリンターなどの登場はその嚆矢だが、ハードウェアの企画・製造から販売まで、個人や小さなベンチャーでも行えるような時代が到来した。

そうしたインフラの一つが、今回紹介するECサイト「スイッチサイエンス」だ。代表の金本茂氏は、サーバ用ソフトウェアの開発などを手がけるエンジニアで、数社のベンチャーを運営する経営者でもある。

金本氏は趣味として、2008年に自宅の一室で「スイッチサイエンス」の事業をスタート。当初はクローゼットを倉庫代わりにしていたそうたが、注文がどんどん増えて趣味で行うことが厳しくなってきた--。

そのため、秋には近所の6畳程度のマンション、2009年春にはもう少し広い20平米のマンション、そして2010年春には秋葉原にある「アーツ千代田 3331 」(中学校の建物を改装したアート拠点)に入居。現在は、新宿区にオフィスを構えている。

現在、取り扱っている商品は1000点以上。顧客数は累計で6万人。スタッフは正社員・アルバイト合わせて約30名で、年商3億円規模のビジネスに成長している。switch-science2

商品である電子部品は、一点あたり数gといった小さなもの、海外のメーカーから仕入れてきた電子部品や、部品を組み合わせて加工し、使いやすくした製品も販売している。単価は数百円から高いものだと1、2万円で、中心価格帯は3000円。平均客単価は1万円前後だという。

ユーザーは、大学の研究者や個人のホビー用途が主で、最近ではメディアアートと呼ばれる芸術系作品用途の注文も増えてきた。また、学校や研究室などからまとめて1000万円、2000万円というオーダーが届いたり、大学の先生が作成している本に合わせた部品セットをつくってほしいという注文もあるそうだ。

もちろん、モノづくりベンチャーを目指す個人やベンチャーからの試作品作成用のオーダーも増えている。
 

初心者でも簡単に扱えるマイコンボードの個人輸入が始まり ビジネスアイデア発想のきっかけ

金本氏が最初に起業したのは1992年、26歳の時だった。

当初はシステム開発の受託をしていたそうだが、2001年にアクセンス・テクノロジーというベンチャーを立ち上げる。アクセンス社の製品であるユーザー認証のソフトウェアは、主要な携帯電話会社やインターネット・ブロバイダー各社に採用され、現在の国内シェアはトップである。

また金本氏は、Webシステムでよく使われるプログラム言語、PHPの日本ユーザー会立ち上げにも参画。PHPの日本語化なども手がけている。

そんな金本氏が、たままた2008年春に個人輸入を開始したのが「Arduino(アルドゥイーノ)」という、初心者でも簡単に扱えるマイコンボード。

switch-science3 個人でもリモコンやタイマーといった機械がつくれ、技術者の間で静かなブームとなった。「Arduino」はイタリア製で、当時4000円ほどしたが、1点だけ輸入すると輸送費のほうが高くなってしまう。そこで、まとめて30個ほど購入して、欲しい人に分けようと思ったのが、「スイッチサイエンス」の始まりだ。

自宅の一室を倉庫代わりにして、「Arduino」の通販サイトを立ち上げたところ、すぐに毎日10個ほどの注文が入るように。その後の成長過程は先述したとおりである。

2010年に、秋葉原にある「アーツ千代田 3331」 に入居しているが、ここは千代田区の中学校を改装した、現代アート関連の拠点としても有名な施設。同社の製品がメディアアート系でよく利用されるということもあり、特別に許可されて入居できたそう。また、同社はここで「はんだづけカフェ」という電子工作仲間が集まる、ゆるいオープンスペースも運営している。

かつてのラジオ少年たちよ--。 モノづくり日本の復権を目指そう! 将来への展望

金本氏に今後の展望を伺ったところ、以下のようなコメントをいただいた。

「僕らは、初心者や初学者、分野の違う人たち、あるいは試作をしたい人のために役立ちたいと思っていて、すごいモノをつくることは意図していない。頭を使って手を動かしてモノを使ってつくって、それが自分の思ったとおりに動く。そんな電子工学の分野の面白さを伝えたいというのがすべて。自分が子供の時はラジオをつくっていた。それがすごく面白かった。その体験をより多くの人に伝えたいと思っている。ただ、そうした感動は、今はたぶんラジオでは伝えられない。なぜなら時代が違うから。今の時代のやり方で、今の時代なりの面白さを伝えたいと思っている。僕たちは、パソコンや携帯を持っている。それらを使ってモノづくりの面白さを伝えたい。もし僕らが成功したと思えるとすれば、例えば今から10年後にスティーブ・ジョブズのような天才が日本から出てきて、その人が起業のきっかけは? と聞かれた時に、僕らの会社の名前が出ればすごく嬉しい」switch-science4

モノづくり大国として、ソニーやホンダなど世界に冠たる一流企業をいくつも生み出してきた日本。近年はそれら大企業の苦境ばかりがニュースで取り上げられる。「スイッチサイエンス」のようなインフラ的サービスが登場し始めた昨今、多くの人に素晴らしいハードウエアを生み出せる環境が整ってきた。私たちの国・日本から、再び世界を変えるような素晴らしいベンチャーがどんどん誕生することを期待したい。

株式会社スイッチサイエンス
代表者:金本 茂 スタッフ数:20名
設立:2008年 URL:http://www.switch-science.com/
事業内容:
電子工作用の電子部品の開発・製造・販売

当記事の内容は 2014/1/14 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。