PayPalを超える!? URLでチップを送れるサービス「ユグドア」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ホームページアドレスだけで送金。気に入ったらチップを払う感覚の新しい決済サービス
展開している事業内容・特徴

yggdore1商品やサービスの利用料金を支払うための、インターネット上での決済手段といえばPayPayが有名だろう。最近ではBitcoin(ビットコイン)という仮想通貨的な仕組みも登場して話題となっている。

今回紹介するサービス「ユグドア」は、なんとホームページアドレス(URL)だけで相手にチップを送金できるという、これ以上ないほどシンプルな決済サービスだ。

ユグドアのWebサイトにアクセスすると、ホームページアドレス(URL)を入力できるスペースがある。ここにチップを送りたい宛先=ホームページアドレスを入力するだけ。次に送りたいチップと相手へのメッセージを記入。チップは最低10円から。最後に支払方法(銀行振り込みかクレジットカード)を指定する。これで手続きは完了だ。

また、「ユグドア」のWebサイトにアクセスしなくてもチップが送れるよう、専用のツールバー(ブラウザーにインストールして機能拡張する)も提供している。

チップが送金されると、送り先にメールで自動的に通知が行くが、ユグドアを知らない送り先に対しては連絡が取られ、受け取るよう促す。それでも受け取りに来ない時にはいつでもキャンセルをすることができる。また、20日以内なら一度送り先に受け取られても全額キャンセルが可能。

チップを受け取る側は、まず同社のサイト上にて簡単な認証を受ける必要があり、その後「マイ財布」でチップ残高を確認できる。チップの引き出し(お金を受け取り)は銀行口座へ振込によって行われるが、その際にかかる振込手数料もある程度チップがたまってから引き出せば、浮かすことができる。

こうした仕組みなので、例えばWebサイトでコンテンツや有料サービスの決済手段を設置するといったことが必要ない。チップのやり取りをしたい時には「ユグドア」へ行けばよいというわけだ。つまり、クレジットカードの決済システムなどを導入しなくても済むのが大きなメリットだ。もちろん、「ユグドア」のサイトへのリンクを貼って決済を促すこともできる。

「ユグドア」の収益源はチップのやり取り時の手数料だが、2011年11月からスタートし、現在のところ、利用サイトは100程度。流通総額もまだ数十万円程度。しかし、この手軽さが受け入れられれば、爆発的に利用されそうなサービスだ。

ちなみに同サービスは、2013年9月には日本Webソリューションデザイン協会が主催している「JWSDA Web Solution Design Award 2012-13」の「Webアプリ・サービス部門 Webサービスカテゴリ」で、最優秀賞を受賞している。

気に入っていたWebサイトが突然なくなったショックからアイデアがひらめいた
ビジネスアイデア発想のきっかけ

yggdore2株式会社ユグドアの代表である伊藤琢晃氏は、会社員として2年ほど働き、2001年に個人事業主として独立。2008年に法人化した。同社の本業はホームページ制作やシステム開発だ。

伊藤氏が「ユグドア」のアイデアを思いついたのは、ある日突然、いつも使っていたWebサイトがなくなってしまったことがきっかけ。そのサイトに連絡するすべもなく困ってしまったと言う。そのWebサイトは広告などを出していたのでビジネスとして運営されていたのだが、おそらく運営費が足りなくなったことが閉鎖の原因だろうと考えた。

そこでひらめいたのが、「Webサイトの再生事業」だ。企業であれば、企業再生に関する取り組みや公的な支援があるが、個人や小さな会社が運営しているWebサイトにはそうした仕組みがない。そこで、Webサイトがもっと気軽に簡単にマネタイズできるサービスがあればどうだろうかと考えた。Webサイトにクレジットカード決済のシステムを導入するのはまだ敷居が高く、それなりにコストや維持費もかかる。

そこでひたすら簡単に、維持費もいらない決済手段があれば便利。これは一つの事業にならないかという考えにいきついた。

しかし、アイデアはよくても、実際に行うのは大変だ。

中でも、クレジットカード決済代行会社との交渉にシステムの開発以上に多くの時間がかかったという。前例のないサービスなので、難色を示したのだ。しかし、地道な交渉と代行会社の担当者ともさまざまな相談をしながら、サービス開発を続けた。

伊藤氏は、以前に金融系のソフトウェアやオークションサイト等のシステムを開発した経験があるものの、資金決済に関するシステム開発を手がけるのは初めて。それでも半年ほどかけてシステムは完成した。

「いいね!」ボタンくらいの感覚で、気に入ったコンテンツに対価を払うような世界観をつくりたい
将来への展望

「ユグドア」をどのように活用してもらいたいか、伊藤氏に尋ねたところ、「『いいね!』ボタンのような気軽さで、気に入ったコンテンツに対価を払うような世界観をつくりたい」と答えてくれた。

例えば、ホームページを見て楽しんだら、その対価のチップを支払う。そうすることでコンテンツの制作者も、よりよいコンテンツをつくるモチベーションが高まる。ともすれば、違法な資金の移動やマネーロンダリングなどに悪用されてしまいそうな仕組みだが、伊藤氏はそうした使われ方がされないように細心の注意を払っており、チップを引き出すための認証手続きや、すぐに引き出すことができない設計を施している。その一つが、「後払い」。チップが完全に相手の所有物になるまでは「クーリングオフ」できるようになっている。つまり30日間はそのお金を自由に動かすことはできない。

現在は国内だけの展開だが、いずれは海外でも使えたり、他の決済手段や出金手段を提供したりと、サービスをより便利にしていく計画だ。まだベンチャーキャピタルからの出資は受けていないが、すでにお話の場を多数設けていただいているという。

アメリカではBitcoin(ビットコイン)に関するニュースが連日のように取り上げられているが、新しい決済手段というよりも、投機的な側面が強いようだ。ある意味バブル的で本質的ではない。しかし、決済はあらゆる商取引の根幹で、非常に巨大なマーケットである。また、世界中のホームページの数は2兆を超えるともいわれており、同サービスは、非常に大きな可能性を秘めている。しかも、それを開発しているのは、たった1人の日本人エンジニア。今後の展開に大きく期待したいベンチャーだ。

株式会社ユグドア
代表者:伊藤 琢晃氏 スタッフ数:1名
設立:2008年5月 URL:http://www.yggdore.com/
事業内容:
「ユグドア」の開発・運営。
ホームページの企画・制作・運営。
ウェブサービスの企画・制作・運営。

当記事の内容は 2013/12/19 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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