近くの書店や図書館の蔵書から、探している本を見つけてくれるすごいサービス「テイクストック(Takestock)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

全国1400店舗の書店と図書館6100館にある書籍の在庫を簡単に検索できる
展開している事業内容・特徴

 spinningworks1ここ数年、書店がどんどん減少しているとニュースで聞くことが多い。本はもはやAmazonなどのようなECサイトから買うのが当たり前、あるいは電子書籍などのデジタル化が時代の趨勢だ。

しかし、やはり本を手に取って中身をパラパラとめくる感覚は捨てがたいもの。思いがけない本との出会いも書店に行く楽しみの一つ。そんな「本好き」のためのツールともいえるのが、今回紹介する「テイクストック(Takestock)」というサービスだ。

テイクストック(Takestock)では、探している本がある店舗や図書館を検索してくれる。PCではもちろん、スマートフォン用のアプリもある。位置情報から探してくれるので本のタイトルや著者名を入れるだけ。全国1400店舗の書店と図書館6100館もの在庫をカバーしているそうだ。

運営しているのは株式会社SpinningWorks。2012年11月5日にリリースされて1年もたたないサービスだが、すでに毎月数万冊もの本が探されているとの事。

これまでは、Webサイトで書店ごとに在庫の検索をできるサービスは存在したが、位置情報をもとに複数の書店や図書館を横断的に一括検索できるものはなかった。在庫情報についてはジュンク堂やツタヤなど大手書店と協力し、図書館の在庫に関しては「カーリル」という図書館の貸出状況をデータベース化しているサービスのAPIを利用して、日本全国の本の在庫情報検索を実現している。

まだスタートして1年未満のサービスで本格的な収益化はこれからとの事だが、ビジネスとして考えているのはユーザーの利用履歴情報。位置情報をもとに在庫を検索したデータが残るので、出版社や書店に対して地域毎にどのようなユーザーがどういう検索しているか、近隣の書店で在庫があったかなかったかなどの統計情報を、マーケティングデータとして提供していく予定だ。

また、単にWebサイトに広告を出すのではなく、位置情報や探している本の情報をもとに、より精度の高い広告配信なども展開できるだろうと考えている。

もう一つ、ユニークな視点としては、ユーザがテイクストックを利用して自ら在庫を検索することができれば、出版社や書店員への問い合わせを減らす効果があるのではないかと考えている。テイクストックが提供するタイトル別検索リンクを出版社や著者がSNS やブログ等で拡散することで、どこで買えるかという情報をユーザに簡単に提供することも可能になっていくだろう。

たまたま参加したベンチャーイベントで優勝。そこから本格的にベンチャーへ
ビジネスアイデア発想のきっかけ

spinningworks2株式会社SpinningWorksの代表である白形 洋一氏。前職はSAPという外資系IT会社で、6年半ほど勤めていた。仕事は企業向けのシステム導入やITコンサルティング。しかし、学生時代の頃からネットサービスが盛り上がっているのを見て、いつかは自分もやってみたいという思いがあった。

転機となったのはiPhoneが発売されたこと。これを見て「すごいものが出てきた。世の中が変わる」と思い、起業への意識が高まった。

そして2009年にSAPを退職。半年ほど知人のベンチャーの立ち上げを手伝ったあと、2010年2月に資本金300万円で会社を設立した。

起業する前の2009年12月に、たまたま飛び入りで参加したスタートアップウィークエンドというイベントで優勝し、それがきっかけで知り合ったベンチャー関係者とのつながりで、スタートアップ支援プログラムのOpen Network Lab に第一期として参加した。

そこで最初に立ち上げたのは「Qlippy(クリッピー)」という読書の感想を共有できるサービス。ソーシャルリーディングといわれるものだ。しかし、このツールは思ったように伸びず、白形氏は次のサービスを模索しはじめた。それがテイクストック(Takestock)だった。

Open Network Labに入っていたことあり、ニッセイキャピタル、三生キャピタル、デジタルガレージ、ネットプライスドットコム、プロジェクトオーシャンから出資も受け開発を進めた。

また、元々SAPにいたこともあり、コンサルの仕事をはじめ、Webサイトの構築やアプリデザインの仕事も受託している。いわゆるラーメン代稼ぎだが、会社としては黒字で運営しているという。

テイクストック(Takestock)の立ち上げで一番苦労した点を伺ったところ、検索できる店舗を増やすのが大変との答えだった。大手であれば契約すれば一気に数百店舗単位で増えるが、個人経営のような街の小さな書店ではそうはいかない。一店づつ地道に交渉していくのも効率的ではないため、そうした個人書店をいかに集められるかが、今後のポイントになるとみている。

スローガンは「ゲームチェンジャー」。いままでの価値観やルールをかえるような新しいサービスを作り出したい。
将来への展望

 ビジネスの状況として、現在はまだサービスのブラッシュアップ段階で、とりあえず書店数の多い都内の動向を見つつ、サービスのクオリィティを高めた上で、店舗の数を一気に増やしたいと考えているそうだ。

また、書籍以外にもサービスを展開していくことを検討している。 例えば、触ってみて買いたい商品といえば、服や靴は試着してみたいし、ゴルフクラブなら試しに振ってみたい。スピーカーは音を聞きたい。

 そういったリアルとの接点が重要な物にはビジネスとして広げていける。ユーザーがオンラインではできないこと、お店にもお店に足を運んでもらって初めてやれることがある、それらをうまく繋げるようなサービスを今後展開していきたいというのが同社の大きな戦略だ。

 最後に将来への展望を白形氏に伺ったところ、「スポートの試合などで、場を空気を換える、ゲームを一変させてしまうような活躍をする選手のことをゲームチェンジャーというが、自分達もいままでの価値観やルールをかえるような新しいサービスを作り出したい。」と語ってくれた。

株式会社SpinningWorks
代表者:代表取締役CEO 白形 洋一 設立:2010年2月
URL:http://www.spinningworks.com/
事業内容:
ITコンサルティング。Webサービスやスマートフォンアプリの開発。テイクストック(Takestock)の開発・運営。

当記事の内容は 2013/10/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める