スマホのGPS機能を使った新感覚ゲームが誕生。「まちクエスト」が、世界中を宝探しゲームの舞台に!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

世界で500万人が参加する「ジオキャッシング」的ゲームを日本で展開!
展開している事業内容・特徴

machique1「ジオキャッシング」というGPSを利用したゲームをご存じだろうか。国内で位置情報を利用したゲームとしては「コロプラ」が有名だが、「ジオキャッシング」は2000年にアメリカで始まった宝探しゲーム。2013年現在、参加者は500万人超。そして、200万個もの「宝」が世界中に隠されている。

「キャッシュ」と呼ばれる箱に宝を入れ、街中に隠し、「ジオキャッシング」のサイト上に緯度・経度、ヒントを登録すると、他のユーザーがその宝を探し始める。簡単に見つかっては困るので、その箱は実際に、一般人には見つからないようベンチの裏や自動販売機の底にマグネットなどで取り付けられていたりする。たとえば、渋谷のモアイ像前の草むらの中に隠してあったりするそうだ。

この「ジオキャッシング」の日本版ともいえるゲーム「まちクエスト」が2013年7月にリリースされた。開発・運営元は合同会社つくる社。

「まちクエスト」を簡単に説明すると、スマートフォンを利用した「オリエンテーリング」。地図とコンパス片手に、設置されたポイントを回りゴールするまでの所要時間を競うのがオリエンテーリングだが、これを日本中、いや世界中のどこででもできるように開発されたのが「まちクエスト」だ。「クエスト」を探して問題に挑戦する際、スマートフォンの画面に表示されるUIが「ドラゴンレーダー」のようで楽しい。

machique2 取材時点では、まだリリースされて1カ月も経過していなかったが、すでに数百人のユーザーがおり、登録されている「クエスト」も500箇所以上となっている。

クエストはグループ分けをすることも可能だ。中には川越の観光名所ばかりをクエストにした「川越百景シリーズ」や、珍しい絵柄のマンホールのクエストを集めた「マンホールシリーズ」など、街歩きが楽しくなりそうなものが多くラインナップされている。

「ゲーム性を持たせることで普段何気なく歩いている街中にある楽しさを再発見してほしいというのが、このゲームの狙い」とは、開発者の石原淳也氏の談。リリースされたばかりで、まだマネタイズは見えてないが、「ゆくゆくは観光プロモーション、町おこしなどと絡めたビジネスに成長させていきたい」と語ってくれた。

アメリカで働いたことで起業に興味を持つ。 子供のための知育ゲームづくりからスタート
ビジネスアイデア発想のきっかけ

「まちクエスト」を運営する、合同会社つくる社の代表の石原氏は、東京大学卒業後、iDC国際デジタル通信に入社。その後、コンタクトセンター向けシステムを手掛けるジェネシス・ジャパンに転職した。

ジェネシスの米国本社に転籍になり、2年間ほど米国勤務を経験したことが、起業を意識するようになったキッカケだという。日本に帰国後、ITベンチャーのウノウを経た後、独立。ジェネシス•ジャパン時代にお世話になった人物からの紹介の仕事をしつつ独自のWebサービス開発をスタートするようになった。

その一つに、「かなぶん」という知育ゲームがある。盤面上に並んだひらがなで、単語をいくつつくれるか競うというものだ。開発のきっかけは、自分の子供に楽しく文字を学んでほしいと考え、そのようなサービスがないか調べたところ、思うようなサービスがなかったことだという。それならば自分でつくってしまおうと、「かなぶん」を開発。「かなぶん」はTBS「王様のブランチ」や雑誌の『Casa BRUTUS』などでも紹介され、これまでに累計で、有料版が約5000本、無料版は約1万5000本ダウンロードされている。

 また、Amazon のページから最寄りの図書館の蔵書を検索できる「Libron」や、音声認識機能を活用し、ハンズフリーでレストラン検索ができる 「声探」、しゃべって覚える単語学習サイト「英声(ええこえ)」など、さまざまなユニークなサービスを開発している。

「まちクエスト」もそうしたサービスの一つとして開発された。自らもユーザーだった「ジオキャッシング」で、自宅近くの、それまで訪れたことがなかった実篤公園(武者小路実篤がその場所に邸宅を構えていた)に宝が隠されていることを知った石原氏は、実際にそこを訪れた。いざ行ってみると、静かな落ち着いた雰囲気の面白い場所だということを知ることができた。この経験から、普段行かないところに行く機会を与えてくれる、「ジオキャッシング」のようなサービスをつくってみたいと考えたという。

「ジオキャッシング」の場合、駅の裏や草むらの中などに宝が隠されていることが多い。石原氏は、実際に宝探しをしていて、怪しまれたり、注意されたこともあったという。そのため、自分がサービスをつくる際には、一般の人でも気軽に宝探しができるように、「ジオキャッシング」よりもソフトな路線でいこうと決めた。

当初は、場所を指定して、同じアングルの写真を撮れば、宝探し成功という仕組みにしようと考えていたが、その後、その場所にちなんだクイズに回答して正解したら宝探し成功というモデルにすれば、知的楽しみの要素も加わると考え、クイズ形式に決定。

ただ、クイズの答え方に問題が出てきた。単一キーワードでの回答にすると、漢字、ひらがな、カタカナなど、入力方法がたくさんあり、答えが同じでも不正解になってしまう。悩んでいると、当時小学生だった石原氏の子供たちから「数字にすればいいじゃん」というアドバイスが。確かに、それならば回答者は確実に答えを入力することができ、問題の作成者も簡単に問題をつくることができるそのアドバイスを採用し、正解はすべて数字に限定することにしたそうだ。

「まちクエスト」のリリース時、あえてプレスリリースは打たなかった。その理由を石原氏に伺うと、「“まちクエスト”は街歩きや散歩好きな人たちなどの一部の人たちがメインユーザー。プレスリリースを打つことでトラフィックが増え、リリースを心から待ち望んでいた方々が利用できなくなくなる可能性があります。メインユーザーに焦点を絞ってリーチしないと、本当のユーザーはつかないと考えている」と語ってくれた。

短期的なユーザー数獲得にとらわれず、「まちクエスト」を長く使ってくれるだろうメインユーザーを大事にしたいという石原氏の思いが伝わってきた。

人々の生活に密着し、世界中から求められるサービスをつくりたい
将来への展望

「まちクエスト」をはじめ、いくつもの自社サービスを運営している合同会社つくる社だが、現在の売り上げのメインは実はシステム開発の受託だという。

石原氏に今後の展望を伺うと、「自社で開発したサービスだけで食べていけるようになるのが当面の目標。いずれは、例えばgoogleやamazonのように世界中で使われ、誰もがなくなってほしくないと考える、生活に密着した社会的インフラをつくり出すことが夢」と語ってくれた。

また、これから起業する人へ「今はパソコン一つあればどこでも仕事ができるし、プログラマーとしてそれなりの腕があれば食べていくための仕事には困らない時代。そういう意味で起業のリスクは思っているよりも低い。ずっと会社員でいるよりも、何か自分でやりたいと思っているならば、ぜひ挑戦してほしい」とのメッセージをいただいた。

実際にプログラマーとして独立し、その後に新たなサービスを次々と開発。そんなプロセスで挑戦し続けている石原氏からの言葉は心強い。「まちクエスト」の発展と、合同会社つくる社の今後の展開に期待したい。

合同会社つくる社
代表者:石原 淳也 スタッフ数:1名
設立:2010年6月2日 URL:http://machique.st/
事業内容:
ウェブアプリケーション•iOSアプリの開発

当記事の内容は 2013/8/6 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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