Vol.6 事故発生時に、企業が最初に守るべきもの

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

事故の実態を把握していたか?

 2006年7月に発覚したガス給湯器大手、パロマ工業製の屋内設置型瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒死事故は、その後つぎつぎと明らかになった死亡事故件数の多さから、大きな社会問題に発展しています。

 この問題はパロマ工業にとどまらず、2007年2月にはリンナイ製の湯沸器でも一酸化炭素による死亡事故が発生しました。

 これら一連の事故を受け、社団法人日本ガス石油機器工業会が、加盟するガス器具メーカー26社に対し、過去に発生した事故についてアンケート調査をおこなったところ、過去20年の間に、199人がガス器具による一酸化炭素中毒事故で亡くなっていたことがわかっています。

 しかし、この数字は、経済産業省がガス会社からの報告で把握している同期間の死者数(353人)とは大きな開きがあり、ガス機器メーカーが、自社の製品事故の実態を把握できていなかったことが浮き彫りとなっています。

 

関係機関との情報共有は?

 実は、これには構造的な問題があります。

 ガス事業法は、ガス機器の管理(工事・運用・点検など)をガス事業者(ガス供給会社)が行うこととしているため、誰がどのメーカーのガス機器を使っているかは、ガス事業者が管理しています。また、事故の際の報告義務についても、ガス事業者が監督官庁(経済産業省)に対して行うことになっており、ガス機器メーカーは、いつどんな事故が起きたかの報告を受ける立場にありません。

 ガス事業者、経済産業省との情報共有が的確に行われる体制が整っていれば、製品回収や改良など、より適切な対策がとれた可能性はあったのではないでしょうか。

 

「ウチの製品は悪くない」?

 パロマ工業の社長は記者会見の席で、中毒事故の発生原因がサービス業者の不正改造による安全装置の解除だったことについて「非常に憤りを感じる」と発言し、一切謝罪をおこないませんでした。

 また、リンナイの社長は記者会見で「換気扇をまわさない使用は想定外」など、ユーザーの使い方に問題があるかのような発言をしています。

 両社とも、事故発覚後の最初の会見では「責任は他にある」との姿勢だったのです。

 

最初に守るべきものはなにか

 一連の事故は、業界全体では被害者が出続けていることを認識しつつも、半ば放置されてきたと言わざるを得ません。

 ちなみにパロマ工業では、1985年と1987年の不正改造による死亡事故を受けて、1988年に自社関連修理業者や販売店に対し、不正改造をおこなわないよう注意喚起する文書を配布するなど、以後の不正改造に対する対策はとっていました。しかし、すでに不正改造がおこなわれた機器の一斉調査は行っていませんでした。

 本来、ユーザーの安全を確保するには、事故の原因を把握した時点で早急に調査を実施し、再発防止のための対策に着手するべきです。

 事故が発生したときに「ウチに責任があるのか、ないのか」を議論する前に、「他のお客様は大丈夫か」と考えられる企業風土をつくることが、企業イメージを守る一番の近道なのではないでしょうか。

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