経営を成功に導くIT Vol.11 ECサイト 造るは易く 運営するは難し

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
インターネットビ ジネスは、最近では本当に敷居が低くなりました。そのため気軽に考えられてしまう傾向もあるのですが、事業として始めるのなら組織でしっかり対応しないと 売り上げは上がりません…。

ある雑誌が始めたネット販売

 ある中規模な雑誌 出版社の例です。この会社が発行する雑誌では毎号その雑誌ならではのアイテムを紹介しており、読者からどこで購入できるのか問合せがあるなど、結構な人気 を誇っていました。

 そこでこの出版社の社長は、「紹介したアイテムをインターネット経由で販売してみたらどうか」と考え、プロジェクトを 立ち上げることにしました。雑誌の編集担当から数名を指名し、リーダーを決めましたが、それが決まると社長は「じゃ、あとはよろしく」と言ってすべてを チームに一任しました。

 プロジェクトチームにはITの専門知識はありませんでしたが、業者の力を借りながらECサイトの企画と準備を実施 し、数カ月後、なんとか無事に完成しました。そして販売を開始し、当初の見込みどおりに売り上げがあがりましたが、しばらくしてもECサイトの担当者はプ ロジェクト開始のときと変わらず、全員が編集との兼務での対応でした。

 ECサイトの業務対応に追われながらも、どちらかといえば主たる任 務は雑誌編集のほうですから、力のかけ方にはやはり差が出ます。そのうちECサイトの方は企画に手詰まり感が出るようになり、顧客対応も後手に回ることが 多くなって、最終的には売り上げも伸びなくなってしまいました。

 

簡単に造 れるからこそ大変なウェブサイト

 実は、ECサイトのシステムを一式構築するのは、ほとんどの機能が汎用ソフトで実現でき るため、そんなに難しくありません。ASPを活用するならもちろんのこと、仮に自社開発するにしても作るだけであれば、知識のある人なら2日や3日で一通 り作れてしまいます。ただしサイトデザインには時間が必要で、構築期間のうちで比重が高いのは、むしろデザインのほうです。

 そんな理由 で、ECサイトはゼロから構築しても数カ月程度で完成しますが、問題はその後です。

 ご承知のように、 ネットビジネスの進展は大変速いのが特徴です。システムが簡単に構築できることがそれを可能にしています。そのためWebの場合、ウェブ サイト独自の企画立案やマーケティングが必要となって、往々にしてリアルなビジネスのそれと趣が異なることが多いのです。そして、企画 の効果測定後、3カ月程度で次の施策を打ち出していくなどしないと、すぐに飽きられてしまう傾向にもあります。

 同時に、シ ステムも頻繁な変更を要求されます。企画に応じてスクリプトなどの追加修正が必要になるのです。そのため、一度造れば少しは落ち着く社 内業務用システムへの対応と同じ意識でいると、企画側の速度と合わなくなって戦略どおりに動かなくなってしまうのです。

 さらに、一旦サイ ト運営が始まれば、通常のシステム管理のみならず、ページ更新、SEO対策、広告出稿への対応、メール問合せへの対応、アクセスログ分析などなど、対応す ることがかなりたくさんあります。外注して割り切るという選択肢もありますが、ノウハウを蓄積しながら競合を意識してサービス品質を上げていこうと思え ば、恒久的に兼務での対応というのはかなり難しいと言えるでしょう。

 

気軽 にはできない本格的サイト運営

 特に結果を求めないならともかく、もしECサイトやマーケティングサイト活用を事業の一角 として打ち出していきたいのなら、会社の中に「ミニ会社」を作るつもりで体制を整備すべきです。大手企業では、わざわ ざ「ウェブマーケティング部」や「eビジネス企画部」などの部門を独立して作っている所さえあります。

 そう言われても人材が足りない、と いう声もあるでしょうが、多人数は必要ありません。対応にスピードが必要ですから、経営直轄の少数精鋭が理想です。さ らに理想を言えば、コンテンツ制作やCGI・スクリプト制作も自社対応できればベストです。この辺りは社内業務用システムとはかなり趣が異なります。

  またもうひとつ重要なのは予算の取扱いです。スピード重視の体制を組んでも決裁に時間がかかっているのでは本末転倒で す。こちらも、相応に迅速な対応ができるように考えておきたいものです。

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