経営を成功に導くIT Vol.19 年金記録問題から考える。データ品質を保つ3つのポイント

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回は、システム のお話から少し視点を変えてみたいと思います。重要な割に意識を向けることが少ない傾向がある「データ」についてです。実は、ITを活用する上で大変重要 な視点なのです…。

「データ品質」の重要性

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 今回のキーワードは「データ品質」です。み なさんは、これまでデータ品質について考えたことはありますか?
 
 ITシステムは、業務プロセスを自動化したり効率化したりするもので す。少し考えればすぐわかることですが、どんなITシステムも、 データがなければ動きません。したがって、データは必ず何らかの形でシステムに入力されます。
 
 そして、データは多 くの場合、人間が入力します。ところが、人間は時にミスをします。システムは寸分の狂いなく処理を行いますから、もしミスのあるデータが 入力されれば、出力されるデータは当然、誤ったものになります。この状態を「データ品質が劣化する」と 言います。

 データ品質の劣化は、システムの重要度によっては大問題になります。例えば医療情報システムを想像してみてください。 間違った患者情報が入力されているまま患者に薬剤が投与されれば、医療事故につながりかねませんよね。

 一般企業においても、間 違った経営情報が入力されれば、誤った経営判断をしかねません。こうしてみると、「データ」とはシステム活用の根源的なものだと言えます。
 

年金問題に見るシステム活用の本質

 ところで、社会保険庁の年金記録問題につい ては、みなさんも関心を持ってご覧になっていることと思います。いろいろな問題点が浮き彫りになっていますが、そのうちの一つに「年金システム」も挙げら れています。

 この問題を年金システムの観点から考えた時に、2つの重要な教訓が見られると思います。

 一つ目は、「シ ステムの良し悪しに関係なく、データがいい加減だとシステムは無力化する」ということです。例えば今回の問題では、名前を間違って登録 していたとか、入力すべき項目が入力されていないとか、信じられないミスをしていることが分かっています。

 二つ目は、「一 度いい加減なデータが入力された場合、あとから修正するのはかなり難しい」ということです。放っておいた時間が長ければ長いほどそうな ることは、周知のとおりです。

 これは年金のことですから誰にとっても他人事ではないのですが、システムを活用する企業にとっても他人事で はありません。こうした「データ品質」の問題は、企業規模の大小を問わずあてはまることです。

 

データ品質を保つ3つのポイント

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 ではどうすれば、データ品質の劣化を回避し て品質を高く保てるでしょうか?

 さまざまな要素が考えられますが、ここでは重要と思われるものを3つ挙げてみたいと思います。

1. データフォーマットを標準化すること
 組織として、管理するデータ項目の名称・定義・記録フォーマットなどを統一し、業務手順 をルール化します。このとき、現場にとって分かりやすくしなければなりません。また、システムとしてもデータベースを一元化して、管理を容易にしながら同 じデータの重複登録を防止します。

2.データ管理体制を明確にすること
 データ入力・ 保管・廃棄などのライフサイクル全体をどのように管理するのかを組織全体でルール化し、維持管理します。また、こうした管理体制の責任者や責任部門を明ら かにし、ルールが形骸化しないように運用します。もちろん管理者は、データ品質維持の重要性を組織に浸透させる役割も担います。

3. システムにデータ品質を保つ仕組みを盛り込むこと
 データの入力時点でミスを起こさない仕組みや、改ざんができない仕組みを、 あらかじめシステムに組み込むようにします。特に自由入力の場合は誤ったデータが紛れ込みやすいため、できるだけシンプルな入力フォーマットを用意したい ものです。

 どういう取り組みがベストなのかは組織によっても異なりますので、まずは社内で方針を確定したうえで、最初からシステムの要 求条件に組み入れていくことが重要です。ぜひ「データ品質」を意識して、正しく使われるシステムの導入を目指してください。

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