- 目次 -
現在のITシステムの流れは「集中化」
最近までのITのトレンドは「分散化」でした。インターネットの普及以降、ADSLや光ファイバなどによりネットワークが高速化し、ハードウェアは高性 能・低価格化してきました。よってシステムは、廉価なハードウェアを用いて分散して構築されることが多くなりました。
しかしシステムを 分散しすぎると、今度は管理がしづらくなります。ここのところ、この傾向が顕著化し、再びシステムが「集中化」される動きが始まっています。
この「集中化」には2つの意味合いが含ま れます。
・分散していた自らのシステムを1ヵ所に物理的に集めてしまうこと
・ 特定の業者にシステムをまとめて任せること
この2つです。
こうした動きは、例えば次のようなITキー ワードに表れています。
・仮想化: これまでの常識は一つのハードウェアに一つのOSでしたが、仮想化技術を用いれば、ひとつのハード ウェアに複数のシステムをまとめて載せてしまうことができます。
・ハードウェアの高密度化: ブレードサーバーの登場によりハードウェア自体が 小さくなり、設置スペース効率が向上し、何十台とまとめて設置しやすくなります。
・SaaS: Software as a Serviceの略。システムは自社ではもたず、業者からサービスの形で利用し、月額などで使用料を支払う形式です。複数の企業がプラットフォームを共有 するかたちになります。
またすぐに「分散化」するかもしれない
今なぜ「集中化」に動くのかといえば、「管理がしにくい」からです。
しかし、集中化することはメ リットばかりではありません。例えば、拠点が自由に設定しづらくなる、障害が発生すればシステム全停止の可能性が高まる、などが考えられます。
ということは、現在いわれている「分散していると管理がしにくい」というデメリットを埋める技術が将来出てくれば、また分散化していくかもしれないので す。例えば、海外の安いデータセンターに設置したシステムでも、目の前にあるかのように制御ができるなら、設置場所はどこでもよくなるわけです。
また、携帯電話の高速化も見逃せません。端末の性能は向上の一途ですし、2010年ごろにネットワークが次世代になると、PHSで100Mbps超、携帯 では300Mbpsも可能になると言われています。
ITの流れは速い 鍵は「経営戦 略」
このようにITは、今後絶え間なく変化していくことが想定できます。今のトレンドだけを見ていると、自社に 取り込んだ時にはすでに廃れているかもしれません。
情報収集をすることは、IT活用のレベルを問わず絶対的に必要なこ とです。ただし、振り回されてはなりません。もっとも重要なのは自社の経営戦略です。将来のビジネス展開に合わせてITの 進化の方向性を参照していくようにしたいものです。