経営戦略 Vol.33 「ぐるなび」も進出、ネットからリアルにビジネスを広げる発想

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
これまでのネットビジネスは「ネットで完結するもの」という発想で展開されてきたようですが、その発想の枠組みを「リアル」にまで広げないと、ビジネスの存続は難しい時代になりました。人気サイトが次々に導入する新サービスの事例をもとに、これからのネットビジネスに必要な視点に迫ってみたいと思います。

「アットコスメ」が求人サイトに!?

 皆さんのなかにも、ネットをビジネスの中核に据えていらっしゃる方も多いかと思いますが、今、世の中を見ていると、ネットのビジネスモデルが急速に変化を遂げている感があります。ネットビジネスで築いた基盤を元に「セカンドステージ」へ進んでいくようなイメージです。

 化粧品のクチコミサイトとしては老舗的な存在のアットコスメ」では、化粧品やエステなど美容業界に特化した転職・求人サイト「アットコスメキャリア」を立ち上げたようです。これまで、美容業界専門の転職・求人サイトは少なく、採用者と就職希望者の双方で苦労していたところ、「アットコスメ」には美容に関心の高い大勢の女性利用客が集まっているわけですから、両者が絶妙にマッチングすることに気づいたわけですね (*^^)v。

 ご存じのように、一般的に採用には結構な費用がかかります。ですが、そこに化粧品クチコミサイトの集客力を活用し、そこから求人サイトへ誘導することで、人材を募集する企業の広告掲載料を安く抑えることができ、この仕組みは両者にメリットを生むのです。

 初年度には、2万人の利用者を目標にしているようですが、もっとも安い料金プランでは、既存の競合媒体と比べて、約8割以上も安くなるようですよ。

 

「魔法のiらんど」が「魔法スクール」を展開!?

 また、ケータイ小説最大手の「魔法のiらんど」では、今月(2008年4月)からユーザーに大学や専門学校などの学校情報を提供する、ネット上の進学サービス「魔法スクール」を始めました。同サイトのユーザーの半数は中高生。月間ページビューは約33億、会員数は570万人に達するそうです。そのうち約半数にあたる285万人が中高生で、専門学校や短大、大学生を含めると、会員の約7割が学生ということになるようです。

 つまり、ユーザーと親和性の高いサービスとして、この「魔法スクール」を始めたわけです。従来のサイトに、学校の情報提供や資料請求などのできる「学校情報のポータルサイト」としての機能を付加することで、広告収入を狙おうというビジネスモデルです。

 学校側の支払う広告費は、最大5学科の紹介と資料請求などを含む基本コースで、年間60万円。より詳細な情報を提供したい場合は、在校生インタビューやイベントリポートなどのオプション(10万円~)を付けることも可能だとか。さらに、学校主催のコンテストや体験入学、アンケートなどを実施し、ユーザーには学校を体験するきっかけを、学校側にはユーザーの声を聞く機会を作り、類似サイトとの差別化を図っていくようです。

 少子化の進むなか、今や学校経営も一筋縄ではいかない時代になりました。ケータイ小説サイトとのマッチングで、より多くの生徒が集まるようになるのかどうか…今後の展開に注目しておきましょう。

 

あの「ぐるなび」が始める加盟店向けの新サービス

 一方、みなさんご存じのぐるなび」でも、2009年3月期中に、加盟飲食店向けに人材確保や食材仕入れ、また店舗紹介などの支援サービスを開始すると発表しました。自社のノウハウが乏しい分野では、パートナー企業と組んで展開する計画だそうですが、加盟店への支援サービスを手厚くすることで、競合サイトとの差別化を図ろうという意気込みです。

 「ぐるなび」の有料加盟店は、2007年12月末で4万3815店あり、そのうち付加サービス(販促サポート)を利用する販促正会員が1万1328店。2007年10月から12月の正会員の月額平均単価は8万6280円で、前年比7%の伸びを示しているようです。

 そこで、販促以外の支援サポートメニューを増やすことで、この平均単価を引き上げようと考えたわけです。来期中には販促正会員の月額平均単価を、10万円にまで引き上げる目標を立てているみたいですよ。

 

「ネット」が「リアル」にシフトする!?

 こうして、いくつかの事例をみてみると、「ネット」上のサービスが、徐々に「リアル」にシフトしていることがわかります。自社サイトに集まるユーザーを「インフラ」と捉え、そこに新たな商品やサービスを提供するのもしかり、ユーザーと親和性の高い「情報」を提供し、広告収入を狙うのもしかり…。

 これまで、ネットビジネスを展開するにあたっては、「ネットで完結するもの」という発想を持っていた方がほとんどだと思いますが、これからの時代はとくに、その発想の枠組みを「リアル」にまで広げないと、ビジネスの存続は難しいと思います。今回の事例を参考に、ぜひ自社サイトの「セカンドステージ」を、より“リアル”にイメージしてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~。

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