経営戦略 Vol.19 「ホッピー」の売り上げを3倍にした女性副社長

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ホッピーはおやじの飲み物?!

 突然ですが、みなさんは「ホッピー」を飲んだことありますか?ひと昔前までは、「ホッピー= 赤提灯で飲むおやじの飲み物」と相場が決まっていましたが、このところ、都心のおしゃれな飲み屋さんなどでもずいぶん見かけるようになったなぁ…と思っていたのです。気になって調べてみたら……やはりそこにはちゃんと「仕掛け人」の存在がありました。

 その仕掛け人とは、ホッピービバレッジの 3代目ともいえる取締役副社長の石渡 美奈さん(39歳)。ホッピービバレッジは1910年創業の老舗の飲料メーカーで、彼女の祖父が赤坂でラムネの製造を始め、第二次大戦後、ビールの代用品として売り出したのが「ホッピー」です。ホップと麦芽を原料にビールと同じ製法で造られたものですが、アルコール度が酒類となる1%より低いために酒税がかからず、高度成長期のサラリーマンたちが「ホッピーの焼酎割り」を楽しんだことで、おやじの飲み物として定着していきました。

 

ホッピー・ネット戦略で起死回生

 父親である現社長の反対を押し切って、彼女が入社したのは 1997年のこと。そのころ、会社が地ビールの免許を取ったことで、急に経営に興味を持ち出したのだそうです。まずは「ホッピーの古くさいイメージを変えたい」と新商品開発に乗り出しました。折りしも世間では「缶チューハイ」のプチブーム。そこで、ホッピーをあらかじめ焼酎で割ってある商品を発売したそうですが、大手との競争に敗れあえなく撃沈(――;)。

 起死回生のきっかけは、1999年に立ち上げた会社のホームページ。その頃、会社とは関係なくインターネット上に「ホッピーでハッピー」というファンクラブができていたそうで、「ホッピーはどこで買えるんですか?」という問い合わせも増えてきたそうです。そんな動きをすばやくキャッチした彼女は、「ホッピー好きな人はインターネットにも関心がありそうだ」という仮説のもと、ホッピーのネットショップをつくり、そこで日記も公開していきました。その内容がおもしろかったことが評判となり、テレビやラジオ出演依頼も多数来るようになったのだとか。ターゲット層のハートに届くようなテイストで、わかりやすく情報を伝えるというセンスはとても大切ですね!(^^)!

 

売り上げを3倍にしたブランド戦略とは

 今、都心には「ホピトラ」という目にも鮮やかなホッピーの広告を全面にまとったトラックが走っているんです。ハワイの景色が似合いそうなアメリカンポップなデザインで、そのインパクトはかなりのものがありますが、これも彼女が都バスのボディ広告を見て思いついた戦略だそうです。といっても、酒類の広告規制や費用の問題でなかなかスムーズには実現しなかったようですが、ある日「うちのトラックを使って広告したらどうか」と提案してくれた運送会社さんからの申し出を受け、ついに実現。今ではサイトで「ホピトラ今ここ走ってます」という情報まで公開し、ホピトラはブランド戦略に一役も二役も買う存在になっています。

 また、ホッピーが新たなターゲット開拓に成功したのは、「健康志向」にスポットライトを当てたことに勝因があります。1998年に日本食品分析センターで調べてもらったところ、ホッピーは「通風の原因であるプリン体をまったく含まない」ということがわかったのです。それからは、「低カロリー・低糖質・プリン体ゼロ」を全面に押し出す戦略で、2002年に彼女が取締役に就任後は、売上を3倍近い23億円にまで伸ばしたそうです(*^^)v

 

ビジネスの成功要因はひとつではない

 こうしてホッピーの成功要因を分析してみると、プリン体が入っていないという「健康面のプラス」「安さ」「昔から知ってる人がいた」「おもしろさ=話題性」「ネット戦略」「売ってるのが女性のしかもそれが3代目」……など、いろいろな要素が重なってヒットしたということが分かります。

ということは、『成功の秘訣はひとつではない』ってことです (*^^)v

 例えば、今のあなたのビジネスがいまひとつだったとしたら、これは「“おもしろさ”が足りないのでは・・・」ナドと仮説を立て、「何かを加える」ってことも大切だと考えてください。経営者たるもの、世の中の動きに常に敏感になり、「仮説と検証」を繰り返すことで、ビジネスは間違いなく拡大します。この事例をぜひ参考にしてください(@^^)/~~~

 

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