会社を設立したいと考えています。その際、会社設立の手続きを専門家に頼むメリットを教えて下さい。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

Q.会社を設立したいと考えています。その際、会社設立の手続きを専門家に頼むメリットを教えてください。
 

A.回答

次の3つの切り口で説明します。
1 直接的な金銭的メリット
2 間接的な金銭的メリット
3 成功可能性のメリット
 順序は最後ですが、もっとも価値の高いメリットは3番目に説明する「成功可能性のメリット」と考えていることを前置きして、説明を始めさせていただきます。
 また、会社設立を(株式会社などの)法人設立と読み替えて、説明させていただきます。
 
1 直接的な金銭的メリット
 会社設立の手続には、従業員を使用しない、許認可が必要がない業種であっても、次の5つの役所へ行くことが必要です。
① 公証役場
② 法務局
③ 税務署
④ 財務事務所
⑤ 社会保険事務所
 この5つに、従業員を使用する場合は、労働基準監督署と職業安定所の二つが加わり、許認可を要する場合は、その主管官庁が加わることとなります。
 
 すべての役所が、ハンコさえ持っていけば、なんとかかんとか手続きが済ませられるのであれば専門家へ依頼する金銭的メリットはほとんどないといえるのですが、ほとんどの役所で添付書類が必要となり、ご自身で行おうとすると1カ所へ二度三度と足を運ぶ必要があります。
 
 直接的金銭的メリットでは、ご自身が行った場合の実質費用と専門家へ依頼した場合の費用との比較で、専門家へ依頼した場合の費用の方が安いということを説明させていただきます。
 
 会社を設立して事業を営む。サラリーマンと比較して、非常に高いリスクを払おうとするわけです。当然、サラリーマンよりも高いリターンを得なければ、危険を冒した意味がありません。一般的に、社長の給料として月に100万円がとりあえずの目標とされています。この100万円。時給に直すと約6000円の時給となります。
 
 例えば、会社設立手続中、一部の業務に専門家が10万円の報酬を見積もってきました。創業者が自分でその手続を行う場合、時給6000円ですので、17時間以下で完了するような手続であれば、自分で行った方が直接的金銭的メリットがあります。
逆に17時間以上かかるようであれば、専門家へ依頼した方が直接的金銭的メリットがあるというわけです。
17時間というと、ほぼ二日です。営業時間外にやればいいといっても、お役所は営業時間内でしか開いていません。現在では、インターネットで調べられるといっても表面的な部分でしかなく、結局お役所へ足を運んで書類を手に入れる、書き方を教えて貰う等の必要があります。これは、私のように許認可を手がけている専門家でも初めての業務では、インターネットだけで終わりませんから、いわゆる素人さんがインターネットだけで何とかしようとしてもほとんど無理だろうと思われます。
つまり、提出書類の準備のために一回、書類を作成後提出のために一回のあわせて最低二回は足を運ばざるを得ないだろうと考えられます。添付書類のことを考えると、一つのお役所で済みませんから、移動時間だけで17時間の内、結構な時間を費やすこととなるだろうと考えられるのです。
次に書類の作成時間です。パソコンが普及した世の中ですので、専門家が1時間で作成できる書類でも半日とか一日とかかかることが予想されます。10万円の報酬というとまとまった仕事量の手続となりますので、資料がすべてそろった状態で専門家が行っても一日は見ておきたい仕事量です。つまり、書類作成時間だけでもご自身で行った場合、17時間かかる可能性が非常に高いだろうと予想されます。これに上のお役所への移動時間を加えると、専門家に依頼した方が「安く済む」と考えられます。
【相談者様の目標とされる時給×手続に必要とされる時間>手続報酬】
※ 目標月給÷173=目標とされる時給
なぜ「173」か?:週40時間制における所定労働時間が月173.5時間から
 
2 間接的金銭的メリット
 いくつかありますが、分かりやすいものを二つご紹介します。
 一つは会社の憲法、定款に関わる部分です。定款にはその会社のいろいろな決め事が記載されます。その中でも、会社の目的は設立後すぐに手がける業種を記載するのは当たり前ですが、少し勉強されれば、将来手がけたい業種も記載しておくことがメリットがあることに気付くでしょう。
 実は、この部分で、特に許認可が必要な業種では間接的金銭的メリットが生じるケースがあります。素人考えでは特につながりのないAという業種とBという業種。Aの事業をやりたいと会社設立を計画し、将来手がけたい業種にBが想像できないケースがあります。
 専門家はA業種の会社がB業種を追加するという関係性を肌で感じていますので、A業種を目的に入れたいと依頼者からのご希望があれば、Bを入れている会社が多いですよとアドバイスできます。Bを追加する場合、登録免許税だけでなく、追加するための書類作成報酬もかかり、将来の出費を抑えるメリットがあります。
 具体的には、建設業を営もうとされている方への産廃業とか、構内請負を営もうとされている方は労働者派遣業までは気が付きますが、職業紹介に気付く人はほとんどいません。
 
 もう一つの間接的金銭的メリットでご紹介できるのは、配偶者を役員に連ねる場合です。
 役員に連ねますので、役員報酬をいくらにしたらよいか?また、社会保険には加入させるべきか、扶養で入れるべきか?加入させるなら役員報酬をいくらに、扶養ならいくらにすべきか?単に法人税対策だけでなく、役員世帯の所得税や手取額も含め、また社会保険給付の恩恵もバランスさせて考えることは素人には非常に難しい事案です。
 予想とおりの売上げで法人税はほとんど納めずに済んだけど、手元に残った額はわずかだったとか。税務署ではお金は貸してくれません。金融機関からの借入も簡単ではありません。役員からの借入は非常に簡単です。創業間もない会社にとっては、困ったら役員からの借入で資金を回すという手段があることは非常に重要です。そのためにも、手元に残す額は多ければ多いほどいいわけです。次の「成功可能性」にもつながりますが、会社のために手元に残す額が増えるアドバイスをして貰えることが間接的金銭的メリットとして上げられます。
【将来の余計な出費を抑えられる・手元に残せるお金を増やせる】
 
3 成功可能性のメリット
 前置きでも言いましたように、このメリットが最大と私は考えます。
 が、伝わりづらいので、ここに置いています。なるほど!と共感できる方が成功する可能性が高いと私が考える根拠は経験則から、ということも述べておきます。
 
 1でも説明しましたように、リスクを払って会社を興すのですから、リターンはそれ相応のものでなければ、危険を冒した意味がありません。
 そのリターンは給与とか金銭には限りません。仕事のやりがいがリターンであっても構いませんし、私はそれを否定しないどころかむしろそうでなければ尊敬も出来ないだろうとかんじています。が、それでもなお、金銭はついて回るのです。
 なぜなら、その仕事のやりがいを継続させる、安定して感じ続けるために金銭的余裕は必要不可欠なものなのです。次のお客様に、数年後のお客様にお喜びいただくためには、金銭面を無視して事業をするわけにはいかないのです。
 
 最初から潤沢な資金があって起業できればよいのですが、現実はそうではなく、そのためにも一日も早く売上を立てることが求められるわけです。
 経営における資金は回すことがまず求められ、回すことが確保できた後の上澄みがストックされていきます。この、まずは回すということを考えても、一日も早く売上を立てる必要があるわけで、「経営」における優先度は、設立のための手続<売上となることは当然のことです。
 
 つまり、事業の成功可能性を考えたとき、資金の目減りを抑えるために、優先順位の低い「設立のための手続」を、優先順位の高い「売上を立てる」仕事を放置して、創業者が行うには、それなりの理由が必要となるわけです。この理由付けができるのであれば、専門家に依頼しないことが成功可能性を高めますし、そう でなければ依頼することが成功可能性を高めます。
 
 もうひとつ、これは設立のための手続だけではなく、設立後にも言えることなのですが、資金が回り始めてもそれは離陸できただけで、大きく羽ばたくことを考えなければなりません。そのためには、「社長の頭をいかに本業に専念させるか」が重要なキーワードとなります。二日酔いではほとんど仕事がはかどらないことと同様に、二日酔いは体調面ですが、社長の頭の中身も、本業以外のことに気を取られている状態は頭の中身の二日酔い状態といえます。本業に専念できている頭の中身の健康さを維持することが、成功への近道です。
 
 経営においては、いろんな問題が生じますし、その問題を乗り越えてこそ成功に近づきますが、本業での問題はその解決方針から解決策の立案、解決策の決定まででも社長が考えを巡らすことが最善です。
 一方で本業以外であれば、その解決方針から解決策の立案、解決策の決定までであれば、社長は最後の決断だけを行うことが最善です。つまり、専門家に調査させ、選択肢を提示させ、各選択肢のメリット・デメリットを説明させ、決断のみを社長が行うという姿です。専門家へ相談を持ちかけた段階で、社長の頭からその問題の存在を専門家からの提案があるまで排除することが出来ます。この問題の存在は、上記の頭の中身の二日酔い状態ですし、排除することでその健康を取り戻せます。
 さらに二日酔い・健康が生産性のことだけを言ってますが、排除することにより空いた時間でできることの存在も大きいのです。
 
 なにかあったらすぐに相談し、解決策を提示して貰えるブレーンの存在はとても貴重なもので、設立時だけでなく設立後こそ成功可能性を握る重要な要素といえるでしょう。
 
 そのためにも会社の設立を専門家に依頼することは、その過程で専門家の能力や姿勢をみる、とてもいいチャンスだと考えます。
 1や2の直接・間接の金銭的メリットがあって、この意識(専門家の能力や姿勢の観察)を持てるならばぜひとも依頼すべきと考えますし、頭の中身の健康状態こそ、専門家へ依頼する最大のメリットと考えます。
 
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