Vol.7 流行るお店にする為の簡単計算法

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
「うわ、めっちゃ儲かるやん、こりゃあ早よオープンせなあかんなあ」。あらあら、ちょっと待った!その試算法、本当に大丈夫ですか?イニシャルコストはもちろ んのこと、ランニングコストでも大きく予定が狂ってしまうことありますので、正しい皮算用のやり方をちょっとだけ伝授致しまっせー。

お店を始めるために必要なものとその費用(イニシャルコスト)

 

 「お店の内装工事や設計費、販促費やその他の出店費用ってどのくらいかかるんですか?」。良くあるご質問です。もちろん事業計画を進める中で、リサーチ を進め、見積りを取り計画していくもので、とてもひとことでは言えませんが、考え方の一例を設定してみましょう。近畿エリアで1等地ではない普通の街中、 20坪程度のカフェを路面店の形態で、スケルトン状態の物件を賃貸契約して始めようとした場合の、初期費用の設定の一例です。

 物件取得費・・・・保証金(家賃の3~10カ月分程度)
            初回家賃(一坪あたり 8千円~2万円程度)
            仲介手数料(家賃の1カ月分)

 内装費・・・・・・・・改装工事費用(一坪あたり 20万円~60万円)
            設計費・設計監理費(工事費の5%~15%)

 厨房機器・・・・・・メニューによりかなり変動します。(100万円~200万円程度)

 備品・・・・・・・・・調理器具など、メニューによりかなり変動します。(10万円~50万円程度)
           文具事務用品、掃除用具、通信機器、レジ、BGMなど(30万円程度)
           ユニフォーム類、人数により変動します。(0万円~30万円程度)

 初期仕入れ・・・・メニュー、特にドリンク類で大きく変動します。(20万円~100万円)

 宣伝広告費・・・・規模により大きく変動します(20万円~100万円)

 予備費・・・・・・・・1カ月~3カ月程度の運転資金

 

 以上が飲食店におけるイニシャルコストの一例で、少なく見積もっても、ざっと1000万円以上はかかります。

 「えー?そんなにかかるんですか?」。いえいえ、ご安心ください。
 もっとも大きな要因は、物件と状態と内装工事、特に設備の状態によって大きく変動します。

 Vol.5 後悔しない物件選び。確認ポイントと契約でもお話ししましたが、居抜きかスケルトンか、空調がそのまま使えるかどうか、などによって、かかる費用は100万円単位で変動してきます。

 ちなみに今まで私が手がけた実例では、約300万円から約2000万円がボリュームゾーンですが、簡単に内装のリフォームのみということであれば、100万円もかからなかった例もあります。

 飲食店の事業計画での初期投資は、物件や現状によりかなり変動して来るのが当たり前ですので、事業計画の作成と平行して物件探しやその他を進めなくてはなりません。安易に結論を出さず、よく考えて進めていきましょう。

 

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月次試算で利益と初期投資を考えよう(ランニングコスト)

 お店を維持していくのに最低いくらかかるのか、という費用をランニングコストといいます。通常は月次の試算として月ごとに考え、売り上げの予測や目標を設定したり、これだけは売り上げなくては赤字になってしまうという、損益分岐点の算出にも必要です。

 さらには、イニシャルコストの考え方にも影響してきますので、前項と同様に一例を挙げますが、ここでは具体的な数字を入れて計算していきましょう。

 人件費・・・・・・・103万円(店長兼務の経営者、30万円、正社員、25万円、
                   アルバイト時給 800円 × 2名 × 12時間 × 25日営業)

 家賃、地代・・・・・・22万円(一坪あたり 1万円として算出、駐車場1台分を加算)

 水道光熱費・・・・・10万円(一坪あたり 5千円として算出)

 通信費・・・・・・・・・・3万円(電話、インターネット)

 車両燃料費・・・・・・3万円(ガソリン代のみで設定)

 宣伝広告費・・・・・10万円(チラシ、フライヤー、ミニコミ紙、季節のDMなど)

 消耗品費・・・・・・・15万円(お箸、おしぼり、掃除用品、その他)

 商店会費・・・・・・・・1万円

 保険料・・・・・・・・・・2万円(一般的な店舗総合保険として)

 雑費、予備費・・・・・5万円

 合計       174万円

 

 水道光熱費や消耗品費など、売り上げによって変動するものもあり、税務上や簿記の仕訳では、原材料費や福利厚生費などにしなくてはならないものや、減価償却費など経営上で考慮すべき点はがありますが、なるべく解りやすくするために、ここでは省いて考えることにします。
 また、借り入れをして始める場合、元金の返済や支払利息などもランニングコストに算入する必要がありますが、ここでは省くことにしてお話を進めていきます。
 なにはともあれこのお店では、何もしなくても毎月174万円のお金が出て行くことになるのです。
 開業前にイニシャルコストを算出することは、次の2つの重要な意味があります。売上目標を立てることと初期投資額(イニシャルコスト)の回収期間を決める参考にすること。次項ではこれを具体的に説明していきます。

 

損益分岐点、売上目標、初期投資額、借り入れ額の微妙な関係。

 まずは損益分岐点の設定から考えていきましょう。一般的な飲食店の原価率は30%~35%といわれています。仮に35%と設定しますと、逆に粗利益率 (正確には売上高総利益率)は65%ということになります。ランニングコストが毎月174万円だとすると、下記のような計算式で損益分岐点を算出します。

 ランニングコスト × (1 ÷ 粗利益率) = 損益分岐点売上高

174 × (1 ÷ 0.65 ) = 2,676,923

 このお店をやっていくには、最低268万円の売上高が必要だということになります。

  もう一度確認しますと、原価率が35%ですから、材料仕入れは268 × 0.35 = 93.8、268万円の売り上げの時には93万8千円の材料仕入れが発生し、粗利益は、268~93 = 175、ランニングコストの174万円をかろうじてクリアするレベルです。
 厳密に言えば原材料費は変動費ですから、固定費と変動費を分けて算出したり、他にもいろいろな計算方法がありますが、一番簡単なやり方としてこの方法をお奨めいたします。

 
 次に、この損益分岐点売上をクリアするために、どういうイメージでお店創りをしていくかを考えます。1カ月の損益分岐点売上が174万円ですので、下記の計算式にいろいろな数字をあてはめて試算し、お店創りに反映させていきましょう。
  客単価はランチタイム、アイドルタイム(カフェタイム)、ディナータイム、あるいは平日や週末、休日と本来は分けて設定する必要がありますが、ここでは一 律で計算してみましょう。カフェですから仮に平均客単価1000円とします。来店人数は席数×回転率というイメージで考え、20坪のお店ですから24席、 ランチタイム2回転、アイドルタイム1回転、ディナー(バー)タイム1.5回転、合計4.5回転と設定します。

 平均客単価 × 1日の来店人数(客席数 × 回転率) × 営業日数 = 1カ月の売り上げ

 1000× (24×4.5) × 25 = 2,700,000

 1カ月の売り上げは270万円、1日平均10万8千円のイメージのお店です。これでやっとお店が維持できるレベルです。オーナーはかろうじて生活できますが、借リ入れをして始めた場合は返済もできません。これをミニマムとして考え、売上目標を立ててみましょう。

 お店のデザイン、工事にどれだけの予算を組むか、原価率はどうするか、バイトの時給は、営業時間や日数は、広告にかける予算は、など、お店のすべてに関わる部分ですので、常にコンセプトとも照らし合わせ、きっちりとイメージして創っていきましょう。

 最後になりましたが、もし、500万円のお金を借り入れて、5年返済の計画だとすると、毎月10万円ほどの返済を考えておかなくてはいけません。ランニングコストにこの数字を組み入れて計算していきましょう。

 以上のように、試算というものはとても複雑ですが、やはりここでも「ヒト・モノ・ウツワ・情報発信」の要素を考えなくてはなりません。Vol.1 「1+1×4の法則」を思い出し、みなさんのお店も「流行るお店」にしていってください。

 

次回はお店創りの実例のご紹介です。ご好評をいただいているシリーズ「実録、際立つ個性で集客」です。お楽しみに。

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