リピーター戦略 Vol.3 嫌われなければ好かれない

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

嫌われなければ好かれない

- 勇気を持って八方美人からの脱却を -

ラーメンイメージここまでお付き合いいただいた皆さんはもうお気づきだと思いますが、リピーターをつくるためには【一部のお客様から嫌われる覚悟】が必要なのです。
昨今、自分ブランディングが流行していますが、このブランディングとは【一部のお客様から敬遠される勇気を持って自分をブラッシュアップすること】にほかなりません。つまり「多少は嫌われないと熱狂的なファンをつくることができない」と同義なのです。

私がよく例に使うのが以前お手伝いさせていただいた、とあるラーメン屋さんです。ここの大将は北海道から上京、味噌ラーメンのお店を出されました。しかし、思ったようにお客様が入りません。そこで大将はメニューに塩ラーメンを加えました。北海道から出てこられた大将ですから、塩ラーメンにも自信があったのです。ここで、「北海道が好きな、たった1人」にお客様を絞ればよかったのですが、もっとお客様を増やすために、ナント今度は醤油ベースのラーメンをラインナップに加えてしまいました。味噌ラーメンだけの頃よりはお客様が入るようになりましたが、ラーメンのラインナップを増やしたことにより、材料費やその他経費が利益を圧迫するように……。そこで大将はチャーハンや餃子といったサイドメニューを出すことを決意。さて、お気付きでしょうか? このお店は完全に不特定多数をターゲットとした【八方美人】になってしまったのです。

各種ラーメンやサイドメニューの充実を図り、すべてのお客様に満足してもらえるようにしたい気持ちは痛いほどわかります。しかし、です。この八方美人戦略はまさに大手の戦略。このラーメン屋さんのライバルは大手中華料理チェーンになってしまったのです。つまり、大手がライバルになったその先に待ち受けるのは【価格競争】でしかないのです。

イメージしやすいようにラーメン屋さんの例でお話ししましたが、どの業種にも当てはまる事例です。特に経営者は企業の体力であるキャッシュをつくり続けなければなりません。いかにリピーターが重要だと認識していても、このように流されてしまうものだと心に留めておいてください。
 

奇跡の逆転劇

- 原点に戻ってファンづくりをスタート -

繁盛イメージこのラーメン屋さんですが、大幅なリストラを敢行、原点の味噌ラーメン店に立ち返りました。そして、たった1人のお客様像をつくったのです。もちろん、味噌ラーメンが好きなたった1人のお客様です。販促物には大将が、「なぜ味噌ラーメンにこだわるのか」「この味を出すために苦労した点は何か」「ほかのラーメン店にはない味噌ラーメンの魅力」などなど、これでもかと言わんばかりに掲載しています。品揃えや割引情報など、不特定多数の人に向けたメッセージではなく、あくまで味噌ラーメンに興味のある、たった1人のお客様を満足させるための内容です。

するとどうでしょう。半年後、1年後には、この店の味噌ラーメンを食べに、遠くは他県からのお客様までもが来店されるようになりました。行列ができる人気店とまではいかなくとも、大好きな味噌ラーメンをつくる大将と大好きな味噌ラーメンを食べるお客様。大ファンといっても過言ではない、たくさんのリピーターが生まれたのです。味噌ラーメンに特化した分、材料費や人件費も以前の半分近くになりました。おかげで無意味な価格競争に巻き込まれることもなく、今でも元気に営業されています。

 

最後に

ここまでお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。インターネットの普及も相まって、すっかり常識になってしまった感のある「不特定多数に向けての投げ網的な販促」ですが、ファン=リピーターをつくるためにはこの【常識】を疑ってかかる姿勢が重要であると私は考えています。これまでお話しさせていただきましたように、皆さんの得意分野を明確にし、お客様をたった1人に想定し、その思いを伝え続ける。これこそがリピーターづくりにもっとも必要な販促なのです。いくつかのノウハウやステップをご紹介しましたが、これらを考えることはとても頭を使う作業です。自社や自分を客観的に見ること、お客様をたった1人に絞って想定すること、そのお客様に向けたメッセージを考え、書くこと。日常業務をこなしながら、これらを考える事は本当に大変です。しかし、皆さんには考えて欲しいのです。この、考える事を止めてしまうと、その先にはもっとも簡単な販促である【安売り】が待っています。このコラムを読まれた皆さんが、自社の首を絞める【安売り】に逃げることなく、ファンであるリピーターと楽しくビジネスができる手助けになればこれほど嬉しいことはありません。ぜひ実践してみてください!

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