Vol.01 大手の参入をチャンスに変えたスーパーの戦略

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
繁盛店の事例情報をお伝えする現場取材のレポートをお届けしていきます。そのプロローグとして今回はある地域スーパーA店の事例をご紹介します。

大型店の出店

A店が立地する地域は郊外型の住宅街です。商圏内に競合する店舗がほとんど無く、国道に面するという良い立地条件に加えて品揃えが豊富であったことから、地域住民を中心に店内は活況を呈していました。

このような環境の中、道を挟んだ向かい側に全国チェーン大手スーパーが出店することが決定。大型店の施工が始まったころから「どうやってこの大型店に対抗して、お客を維持しようか」とA店店長は顧客を維持するための対抗策を練っていました。

 まず、最初にとった戦略が価格対抗。大型店が折り込みチラシを発行する日程にあわせ、意図的に安い価格で売れ筋商品のチラシ特売を実施しました。数ヶ月間継続したのですが全く反応が無く、完全に顧客の足取りをとられてしまいました。

次に、これまでの固定客を取り返すため、顧客リスト情報をベースにダイレクトメール攻勢を実施。これもしばらく続けましたが、顧客の流れは全く変わらず、土日には来店する自動車で周辺道路で渋滞が起こるほどの状況が続きました。

 

高付加価値商品の品揃え強化

 A店店長は開き直って大型店の品揃えを調査し始めました。「どの商品が・いくらで・どこにならんでいるか」をチェックしました。いわゆるマーケティングリサーチです。

この大型店の品揃えリサーチのデータを元にして、A店店長は思い切って新しい対抗策を打ち出しました。それは大型店に置いていない商品を中心に品揃えするというものです。「地場で取れた大豆で作った豆腐」など、全国にチェーン展開する大型店には真似できない地場産品の品揃えを強化しました。小規模な地場の食品製造業を中心にオリジナリティある付加価値の高い商品の仕入れを徹底して充実させました。

そうしたところ、みるみる顧客の流れが変わってきたのです。大型店で買い物を終えた顧客が道路を渡りA店にも買い物にくるという購買行動が増え始めました。この大型店とA店を買いまわるという顧客の流れは当たり前のように行われるようになり、やがてA店は従来の売上を取り戻して経営状況も好転していきました。

 

事例にみる店舗ビジネスの醍醐味とは

 A店の事例にみるように、店舗ビジネスの醍醐味は『小良く大を制す』という場面が日常的に起こっています。起業後間もない店舗や中小企業の新規店舗が全国展開する組織的な小売業に対抗して、堂々とわたりあっていうことができるマーケットなのです。これから店舗ビジネスで起こそうとする起業家や新規出店しようとする経営者が、自らの店舗を繁盛させて地域一番店の店主になることも十分に可能なことです。

 このレポートでは、実際に成功している繁盛店の事例を取材し紹介します。その中で成功したポイントをオリジナルのチェックポイントで分析して分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

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