Vol.8 直行率を高めるには現状分析から

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
生産現場には独特 の専門用語があります。 直行率の改善手法はほかの業種にも応用可能で結果につながる大切なパラメーターです。

直行率(Rolled Throughput Yield)を見直す!

  直行率は生産現場において絶えず付きまとう言葉です。 原材料を仕入れ、生産工程に投入し、加工後、検査を経て完成品となります。 例えば100台分の製 品の原材料を生産工程に投入し94台の製品が完成したのであれば、直行率は94%と表現されます。6台の不足は生産工程で部品の不足や間違いから生じた生 産ロスといえます。

 実際の生産現場では工程の途中で部品を交換し、再調整や再処理を施した上で完成させた製品もありますので、それらの作 業に要した原材料や手直しのためのコストが直行率を求める計算で加味され少々複雑になりますが、単に生産工程のパフォーマンスを表す数字としてとらえてく ださい。 生産
規模、工程数の大小を問わず、直行率を高めることはものづくりの基礎であり、直行率の定期的なチェックは健全な事業運営につながり ます。

 

直行率の改善はまず現状分析から!

  直行率を高めるためには現状の直行率を把握し、それを下げている原因の調査と分析から始めます。  使用部品や原材料の欠品(員数不足)、製造工程での不 良発生が直行率を下げる主たる原因ですが、現状分析には必ず生産の大前提である生産計画、つまり「なにを」、「いくつ」、「いつまでに」つくるかが明確化 されているかを再点検してください。 

 生産計画に基づいた原材料の発注、納期管理、受け入れ検査と検収、さらには定期的な原材料の在庫管 理が行われているかどうか客観的な現状分析が大切です。 近年はセル生産方式などとよばれる多品種、小ロットに即した生産方式が各所で見られ、またサプラ イチェーンの多様化と国際化は原材料の発注や仕入れ管理にも新たな対応が必要とされています。  ですから現状を分析し、ビジネスのスタイルに適した生産システムへの構築が特に大切といえます。 

 

作業内容を見直そう! 

 直行率の改善には「作業内容」の見直しがポイントとなります。 単純作 業であっても、複雑な作業であっても、たとえ概算でも「標準時間と標準作業」を把握しておく必要があります。その上で標準時間と標準作業には無理はない か、また作業者への訓練は十分か、習熟度の把握手段はあるか、などと作業者の把握と同時に作業環境や作業意欲増進への配慮があるかまで広範囲な作業内容の 見直しが必要と考えます。 

 少人数での生産現場の場合、一人の作業者が休んでも代わりに作業できる人を積極的に育成するいわゆるトヨタ式 カイゼンの考え方にある「多能工化」も場合によっては必要であり、仕事を「平準化」するために、繁忙期・閑散期には多業務を支援できるように複数の能力、 スキルを身に付けさせることも必要です。

 

意外な落とし穴、  日常点検のすすめ!

 直行率の低下の原因は意外にも生産設備、つまり生産工程での不良品の発生が生産のための機械、冶工具などに起因す るケースをみうけます。昨日まで問題なく動いていた装置が急に停止し制御不能になる場合があります。定期的なメンテナンスやオーバーホールも大切ですが毎 日の作業前の点検や清掃から大きな故障や事故が未然に防げたケースはたくさんあります。

 周囲のゴミやほこりにより装置に不具合が発生して からでは遅すぎます。
日常点検は確実にできているか?
保全は計画的に実行できているか?
周囲からほこり、振動などの影響はでていないか?な どきめ細かく生産現場を観察することが大切です。

 

対策の実 施から水平展開へ!

 現状を客観的に分析し改善策がだされ実施された最後には品質の維持・向上および継続的な業務改善活動を推進 するマネジメント・サイクルであるPDCA((計画、実行、評価、改善)を動かし、より改善が現実のものとなるように行動する必要があります。

  ことばでは難しいと思われても一つひとつは日常的なそして実生活でも無意識に実行しているプロセスです。 あえていえば改善や改良の経緯を第三者にわかり やすいように文書化し、情報を共有化することで改善策を日常活動の中で継続的に後戻りしないで生かすことが可能で、教科書無しにISO-9000などの品 質マネージメントの要求事項を実践していることに他なりません。

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