Vol.7 米国で主流なDIY気象観測マーケットとは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ウエザー・アン ダーグランド社(Weather Underground) とアンビエント・ウエザー社(Ambient Weather)にみるDIY気象観測装置メーカー各社とのコラボレーションの事例を紹介します。

風土の違いが生んだ拡大するDIY気象観測マーケットとは

 各 国の事情により異なりますが広大なアメリカには日本でおなじみのアメダス(日本国内に網の目のように設置された気象観測装置)に匹敵するきめの細かな気象 観測ネットワークは存在しないようです。 島国で温帯、山国で降水量が多く自然災害を受けやすい日本とは気象予報や気象データが利用される背景は異なりま すが、そのかわり、アメリカでは日常生活から産業の分野においても、きめ細かな気象情報のマーケットはかなり大きく、今後も増大傾向にあります。

  現在の日本における気象情報産業は300億円ほどのビジネスです。しかし、アメリカは法規制の違いもあり、マリンスポーツやアウトドア、さらには教育現場 までを含めれば20倍程度の市場規模と考えられます。

 さて、日本では現在公式な気象観測には気象庁の認定を受けた雨量計なり風向風速計を 使うことが気象業務法で定められており、法の要件を満たさない限り予報や観測結果の公表はできません。もちろん、研究目的での結果の公表は適用外です。ま た、最近では、個人のサイトなどでライブ・カメラなどとの併用し、温度、風向、風速などの情報を自分のホームページに流す、すなわちライブ気象、ライブ情 報の提供を見かけますが、これには注意が要するので、ページ内に注釈を加える必要があります。 

 お国がら、アメリカでは庭先に簡単な電子 百葉箱とでも呼ぶ気象観測装置を見ることができます。個人向けの気象観測装置は近年では無線局免許不要のISMバンドを使用したワイヤレス方式が主流とな り、個人の趣味の範囲を超えて農園、果樹園さらにはゴルフ場での芝生管理までと自然を相手にするシーンで活躍しています。

 

ウエザー・アンダーグランド社(Weather Underground) とアンビエント・ウエザー社(Ambient Weather)

 ウエザー・アンダーグランドは、会社の主要メンバーであるジェフリー・ マスターズ(Jeffrey Masters)がミシガン大学の大学院に在学中の1992年にテルネットを使い、メニューベースのリアルタイムでの気象情報の提供を研究者向けに開始し たことにはじまります。 起業までのストーリーや逸話は別の機会に紹介しますが、ネットスケープの登場やインターネットの一般化の波に乗り、WEBベース の事業で起業した会社の草分け的な存在です。また、ユニックスを搭載したコンピューターでおなじみのサンマイクロ・システムが取り上げた最初のJAVA成 功例の会社として紹介され脚光を浴びることになりました。

 ウエザー・アンダーグランドの主要メンバーは、現在でも気象学者や気象学を専門 とした経営陣、そして気象情報の提供に特化したサイト運営やテレビ局、ポータルサイト向けの気象情報サイト(お天気サイト)の受託開発が業務の中心となっ ています。

 さて、同社の成功にはもう一社アンビエント・ウエザーの存在があります。簡単に説明すれば、DIY気象観測機器の販売とウエ ザー・エクスチェンジと呼ばれる観測データをPC上で活用し、また自分のサイトへ観測結果をアップするFTP機能内蔵のフリーのソフトをアンビエント・ウ エザーが特定のメーカーに限定せずにさまざまな機種向けに開発しました。結果として、中小の企業が多い気象観測装置業界の発展と小中学校を中心とした全米 規模の気象ネットワークの推進と社会への貢献も上げられます。

 ウエザー・アンダーグランドの特徴は、世界中に散在する個人ベースの現状気 象のデータを大型のサーバーで吸い上げ、アマゾンの奥地の天気をも瞬時に35カ国語で閲覧することを可能にしたシステムと、それを支える気象学の専門家 チームによる公表データの信頼性確保でないかと考えます。

 

利 用者コミュニティーの発展を常に考える!

 DIY気象観測装置の販売促進を目的として、アンビエント・ウエザーにて開発されたフリーソフ トが結果としてそれぞれの競合する装置メーカーの壁を超えウエザー・アンダーグランドにより各国に点在する気象観測装置をインターネットを通じて網の目の ように結びつけ、閲覧者の便宜のみならず、新たに気象観測の世界に入る個人ユーザーにも自分の観測データ他者との共有という喜びを提供できるシステムでは ないかと考えます。

 今回紹介した事例は、ソフトウエアやインターネットの介在があるにせよ、気象観測のコミュニティーを後押ししてきまし た。新規の装置メーカーの参入を促した結果、健全な業界の発展へとつながったよい例ではないかと考えます。やはりものづくりには競争原理は働くものの、グ ローバルな視点から常に業界や購買者のコミュニティーの発展を前向きに考えることも大切であることを再認識されてくれる参考例と言えます。

【参考サイト一覧】

◆ アンビエント ウエザー Ambient Weather
DIY気象観測装置をネットワークで結ぶフリーソフトを開発提供
各メーカーの気象観測装置をネットで通信販売
http://www.ambientweather.com/index.html

◆ ウエザー アンダーグランド Weather Underfround
気象学者からなる気象専門のサイトを運営
アンビエントウエザー経由の個人データーを気象のプロの手を経て公開
http://nihongo.wunderground.com/ (日本語サイト)【DIY気象観測のネットワークを支えるメーカーの一例】

◆ デービ スインスツルメンツ Davis Instruments
http://www.davisnet.com

◆ オレゴン サイエンティフィック Oregon Scientific
http://www2.oregonscientific.com/

◆ ハネウエル Honeywell
http://www.honeywellweatherstations.com/

◆ ラ・クロス テクノロジー La Cross Technology
http://www.lacrossetechnology.com/

◆ レイン ワイズ Rain Wise Inc.
http://www.rainwise.com/

◆ ウエザー ホーク WeatherHawk
http://www.weatherhawk.com/【会社データ】

Weather Underground, Inc.
300 N. Fifth Ave #240
Ann Arbor, MI 48104 USA

Ambient Weather, Inc.
9365 S. McKemy Street
Suite 104
Tempe, AZ 85284 USA

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める