Vol.4 岡山のものづくりベンチャーに学ぶ発想の原点。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回は、岡山の青 電舎にみる、ものづくりの基本であるコラボレーションの成功事例を取り上げてみました。
 

 主に工学では“システムの構築”とは“独立した多数の部品なり製品を組み合わせることにより完成体として一つの目的を持った仕事をする装置なり仕組み” を構築することをいいます。

 それはあたかも作曲家が楽器の特質を理解した上での作曲プロセスと完成した曲と似ているといえます。今回ご 紹介する岡山市で青電舎を運営される堀社潤也社長のビジネスの真髄はまさに作曲家に例えることができそうです。

 岡山県は全国でも有数な 農業県、瀬戸内の温暖な気候に恵まれ、水稲をはじめマスカット・ピオーネ、あるいは白桃等の果樹、ごぼう、だいこん、なす、黒豆等の野菜が栽培され、技 術、品質等先進的な農業を展開しています。ところが近年野生の動物、特に猿による農作物被害が表面化してきました。これは都市化の影響を受け、山里で暮ら す猿が人間の生活圏を侵しはじめたのが原因のようです。

 野生の猿による農作物被害が続出し本格的な対策が望まれたなか、地元の農業改良 センター、市町村、大学、被害を受けている農家と堀社長との間で2年以上の共同作業が行われ、その結果“野生サル接近警戒システム(特開 2005-333911)”つまり猿害(えんがい)を防止する装置が誕生しました。

 開発ストーリーや実際のシステムの仕組み、導入実績 は同社のホームページでくわしく紹介されていますが、県内はもとより中部・近畿や関東でも導入が開始され成果をあげています。

 

堀社社長にみる発想の原点

 「発想の基本は、猿による被害の防止では無い!」

 何を いまさら、と思われるかも知れませんが、堀社社長へのインタビューのなかで、このシステムの目的は

 ? 『集落(地域)のみんなで取り組むことで、農家の方の収穫(収益)を増やすことがその一番の目的です。あきらめて作付けをしない、その結果“土地が荒れ る”。こんな地域をなくすことが目的です。若い人が農業を継承してくれることこそが、地域が元気になることにつながり、老人保健などとは違ったお年寄りた ちの健康対策でもあるのです』と説明を受けました。

さらに

 『動物の習性を研究し、効果的に被害から守り、かつ共存 を図ろうとするシステム(運用)です。予知/予測により、住民自らが猿害から自衛しようと言う発想のサポートシステムです』 と力説されました。

  堀社長の発想の原点は「地元を理解し、自然を含めた生態系との共存」という大きな目的から、独自のアイディアを地域社会とのコラボレーションを通じ実現し たことではないかと思います。アイディアを独占するのではなく、行政、研究者、そして被害を受けている農家の方との連携プレーをし、コラボレーションする なかから生まれたビジネスであるともいえます。

 猿害防止システムは青電舎の一部の業務、気象観測装置、風力発電、学童の登 下校時のセキュリティーシステム、RF-IDタグなどと広範囲なビジネスを展開されていますが、やはり基本はものづくりに大事な“アプリケーションの深 化”を具体化させた堀社長の情熱ではないかといえます。

 

これから起業する方々へ のアドバイスは?ものづくりビジネスを活性させるには?

 『 新たなビジネスのチャンス/隙間はいっぱいあると思います。

 ま ず、現状の理解・・・きっとこうだろうから始まる、悪く言えば「諦め」から始まることがあまりにも多すぎて、現実/本当のニーズ、すなわち切り込む隙間が 見えていない人が多いのではないかと思います(過去の経験がジャマをしているような状況)。どこかの刑事ドラマを語るまでもなく、「答えは現場にあ る・・・」です。

 自分と違う人の発想・・・。同じ事象を見ても、理科系の方と文化系の方では、その反応は異なります。職業が違って も、年齢が違ってもやはり反応はひとつではありません。答えは、一つではないのです。 例え大多数である80%の人の心を捕まえることが出来たとしても、 残り20%の未開拓の「心」があるのです。小さな企業にとっては大きなマーケットです。

 ものづくりの観点から言えば、なぜ?どうし て?という{?}のつく目を養うことでしょう。

 目の前のすべてが当たり前・・・では、新たな疑問も改善の意欲もわきませんし、周辺の方 々との話題にもこと欠きます。これって○○だよね?から始まる会話こそが、仲間を集め、あらたな試みのスタートになります。互いの違う経験を生かすこと が、コラボレーションの成功につながり、新しいビジネス、ものづくりにつながることと確信します』

 堀社長の言葉を直接引用させていただ きましたが、実体験からの言葉は重みが違うと痛感しました。

 次回はアメリカで学んだものづくりからのヒントをご紹介したいと思います。

会社名:有限会社青電舎
http://www.harenet.ne.jp/seiden/
住所:〒703-8207 岡山県岡山市祇園433番地の6
電話&FAX:086-275-5000 / 0120-545000
担当:代表取締役  堀 潤也
創立:1980年4月

詳細な会社概要と代表取締役 堀 潤也氏のプロフィールは下記のURLで公開されています。
http://www.seidensha-ltd.co.jp/~seiden/kaishagaiyou.html

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