Vol.12 ケーススタディでみる日本と海外のMVNO

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
2006年12月 13日、総務省によってMVNO(Mobile Virtual Network Operator)事業化ガイドラインの改正案が公開されました。(くわしくは最下部のリンクへ)改正案の具体的内容については他に譲りますが、大きな狙い は「MNO(移動体通信事業者)とMVNO(仮想移動体サービス事業者)との関係を具体的に規定すること」だそうです。 今回のテーマは、官民両面から今後ますます国内での普及が予想されるMVNOについてです。

MVNOについて

 MVNO(Mobile Virtual Network Operator) とは、「仮想移動体サービス事業者」の略称であり、無線通信インフラを、DoCoMo、KDDIのような第一種電気通信事業者=MNO(Mobile Network Operator、移動体通信事業者)から借り受けてサービスを提供する事業者、またはサービスの総称を指します。

 簡単 に言うと、既存キャリアが保有しているネットワークインフラのうち、空いている回線をレンタルすることで、免許を持たない事業者でも独自のモバイルサービ スを展開できる、というものです。

 MVNOが普及すれば、多様なサービスが登場するだけでなく、サービス価格の低下、個人が複数台の契約 を結ぶことによる市場の拡大が見込まれます。

 

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ケーススタディ:世界各国のMVNO

 実際に、ヨーロッパを中心にすでにMVNOは世界 各国で広く普及しており、一説によると西ヨーロッパ地域のMVNO加入者は3000万人にのぼり、モバイルサービス加入者の約10%を占めるまでに成長し ているそうです。以下、その代表的な事例をまとめてみました。

 

ヴァージン・モバイル(イギリス)
  1999年に世界初のMVNOとして誕生。ヴァージン・メガストアなどの販売チャネルを活用し、オリジナルの端末を独自価格で販売。CDや航空券など、グ ループ会社の商品販売に注力している。本国で成功を収め、アメリカやオーストラリアのMVNO市場にも参入している。
 

テ スコ・モバイル(イギリス)
 英国最大手のスーパーマーケットのテスコが、大手携帯電話会社OOMと提携して、テスコ・モバイルを提供。店舗と連 動したポイント制により通信料割引を実施し、開始後半年で25万加入を突破。
 

MTV(スウェーデン)
  2003年に参入し、自社ブランドのプリペイドSIMカードにより音声とデータをバンドルしたサービスを展開、若者向け市場を狙う。着信音のダウンロード やスターのインタビュー、番組情報などのデータサービスがメイン。
 

SKテレコム(韓国―アメリカ)
  韓国のSKテレコムは、米のISPであるアースリンクと共同で米国にてMVNOに参入。2009年までに年間売上最大24億ドル、330万人獲得を目指 す。音声だけでない情報サービスに注力していく。
 

セブンイレブン(アメリカ・カナダ)
 プリペイ ド方式によるサービスを提供。365日の有効期限や自動残高通知などに特徴。
 

ESPNモバイル(アメリ カ)
 スポーツ専門チャンネルのESPNにより、ニュース速報やスポーツトークショー、試合進展に合わせたビデオ配信などが提供される。

 

ケーススタディ:日本におけるMVNO

 続いて、すでに日本国内においてMVNO事業を 開始しているケースをいくつかピックアップしてみました。

 

日本通信株式会社 ― bモバイル・データサービス
 日本で最初のMVNO事例。DDIポケットのPHSパケット通信網を利用して2001年10月より「bモバイル・ データサービス」の名称で法人向けにデータ通信サービスの提供を開始。

 

セコム株式会社 ― ココセコム
 GPS衛星と携帯電話基地局情報を利用して、人、車両、金庫、ペットなどの位置情報を高い精度で確認可能。セコムショップ・ auショップなどの店頭販売とオンライン販売を行い、オンライン販売ではアフィリエイトも推進している。

 

■ト ヨタ自動車株式会社 ― G-BOOK

 レストランなどの周辺情報、地図や音楽データの配信、車両の位置情報の送受信等を、車載端 末の他にも携帯電話など、あらゆる場所で利用可能となっている。
 

■ソネットエンタテインメント株式会社
  サービスインは未定だが、イー・アクセスと共同でMVNO事業を展開することを発表している。So-netの持つ豊富なコンテンツ力やブランド力を利用 し、大きな競争力を発揮できると考えられる。

 

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MVNEあってのMVNO

 以上のケーススタディを見てもわかるとおり、MVNOを提供し ている企業はほとんどが大企業であり、ベンチャー企業が実際にMVNOとしてサービスを提供するのは、かなりハードルが高いと言えるでしょう。

  しかし、MVNOには高度なシステム構築やサービス設計が要求されるため、ノウハウを提供するアウトソーサーが不可欠となります。MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)と呼ばれる事業者がそれに当たり、MVNOを技術面、マーケティング面など、さまざまな角度からサポートしています。
 MVNE には、新規の合弁会社やベンチャー企業も多く、今後のMVNO発展を影に日向に支えていくことになるでしょう。

 

  以上、早足でMVNOについて書いてみましたが、総括としてMVNOについての私のイメージを述べると、MVNOは「モバイルに何かの サービスを足す」、というより「何かのサービスにモバイルをおまけでくっつける」、という発想に近いのではないかと思います。つまり、 最初に着想するアイデアやサービスが何でもよいわけですから、モバイルに無限大の可能性・拡張性を与えてくれるのではないでしょうか。

 ま ずは、2007年中にヴァージン・モバイルに匹敵する国内サービスが誕生するのか?一ユーザーとしてその動向が気になるところです。

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