Vol.8 今後のモバイル業界を左右する、モバイルSNSの行方

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
MNP施行から 一ヶ月以上経ち、各キャリアともに今後の事業戦略が出揃ってきました。そのなかで各社とも柱となるコンテンツ・サービスとしてSNS(ソーシャル・ネット ワーキング・サービス)を取り入れています。今回はモバイルにおけるSNSについて最近の動向と今後の可能性についてご紹介したいと思います。

キャリア主導によるSNS戦略

 3キャ リアのなかで、先陣を切ったのは、KDDI。業界第2位のSNS、グリーと提携することで「EZ GREE」を11月16日からサービスイン。auの「EZwebmulti」、「EZ WIN」コースを契約するユーザーは無料でグリーのサービス提供を受けることができます。

 次に、業界最大手のドコモは11月14日に ショッピングサイトの代名詞的存在である楽天と提携し、SNS連動のオークションという新たな形での事業戦略を発表しています。

 最後に、 「予想外」の旗印の下、果敢な低価格戦略を続けるソフトバンクは、世界最大のSNS、マイスペースと提携し、マイスペースジャパンを設立しました。モバイ ル展開はまだ不明ですが、マイスペースドットコムは、すでに世界中に1億2500万人にのぼる総登録者数があり、ビッグブランドを引っさげて大々的な業界 参入が予想されます。

 以上が、各キャリア主導によるSNS展開の簡単な概要です。果たしてこれらのサービスは一人勝ちを続ける mixiモバイルの牙城を崩すことができるのでしょうか?

 

「ケータイで SNS」は新常識になるのか?

 さて、ここでケータイとSNSの相性について考えてみましょう。SNSは「知り合い系サイト」と呼ばれ、 元々知っている友人・知人から輪を広げていく仕組みなので、それまでの「出会い系」のように抵抗を覚えずに登録するユーザーが多く、その後友達から友達へ と増殖するように登録者が増えていく、という特性があります。

 そのためSNSが注目され始めた頃、SNS依存症という言葉まで誕生し、寝 ても醒めてもSNSをチェックしないと気が済まない人々が出現するという一種の社会現象を生み出しました。ケータイの場合、常に手元にあり、外出中や移動 中のスキマ時間に利用されることが多いため、SNSの閲覧が習慣化すればするほど、依存度も高くなるように思われます。

 ところが、goo リサーチとjapan.internet.comが共同で今年8月に調 査した結果によると、モバイルSNSの利用者は調査対象中8%にすぎず、約半数はモバイルSNSを「まったく知らない」、と回答し ています。

 また、前述の調査結果によると、PC向けサービスにおいて確固たる会員数を誇るmixiモバイルが圧倒的な強さを見せており、 モバイル単独の利用というよりは、PCからの流入、PCが見れない時に臨時で、という利用形態が想定されます。

 以上モバイルSNSは、 キャリアによる今後の展開にしても、世間の認知度にしても黎明期にあるといえます。

 

問題は「どうやって儲ける?」

 ここで重要なのは、やはりビジネスモデルです。
元 来、SNSは収益化が難しいと言われ、ユーザー数が増えれば増えるほどサーバの負荷が増えてコストはかさみ、一方で厳格な個人情報管理が求められるため、 トラブル対応も十分に施さなければなりません。

 さらにモバイルの場合、多くのトラフィックが発生することが予想される上、機種依存にも十 分に配慮しなければなりません。

 実際に、モバイル専用のSNSを運営する企業の方に話を聞いたところ、ユーザー獲得に非常に苦心している ようです。当初は「モバイル専用」ということで差別化を図っていたそうですが、それだけでは強みとはならないため、SEOやパブリシティを強化することで 新たなユーザー層の開拓に力を入れているそうです。

 今後新規にモバイルSNSを本格的に展開するならば、はっきりとした特徴づけ、使いや すいインターフェイス、そして広告モデルにせよ、アバターモデルにせよ、ECモデルにせよ、明確なビジネスモデルを打ち立てることが必須であると言えるで しょう。

 チャンスはあるけど、なかなか手を出しにくい、黎明期にありながらはっきりと未来を見据えたスキームが不可欠 ― モバイルSNSの現状はモバイル・コンテンツ・ビジネスの方向性を示す縮図であるようにも感じられます。

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