Vol.20 ケータイCGMで勝つための自社サイト調査

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ケータイでも CGMサイトが目立つようになってきた。CGMサイトの魅力はコンテンツづくりがユーザー任せという点だが、時にそれが裏目に出てしまうこともある。ケー タイCGMで起業しようという方のために、サービス運営についてのTIPSを……。

参加する人がいないCGMなんて…

■ケータイCGMサイトがどんどん 増えている。
SNS、クチコミ投稿、動画投稿、GPS連動サービスなど、ケータイコンテンツサービスもここまで来たか、と驚くほど。

  ところが先日見つけたCGMサイトは、最後の書き込みが2カ月以上前のものだった。
ケータイの小さな画面に「ひゅううううう」と木枯らしが吹いて いるような、妙に寂しい気持ちになり、おもわず画面を閉じてしまった。

 みんなでコンテンツをつくるのが楽しいはずのCGMは、参加する 人がいないとたちまちゴーストタウンの有様になるリスクをはらんでいる。

 実は、そのサイトは先進的な技術が使われている例として、メ ディアに紹介されているサイトであった。
技術とサイトの人気とはリンクしないのである。
全然、無関係。

 

○か、×か。それだけ。

■mixiの盛り上がりに触発されて「続け」とばかり、さまざまなサイ ト・さまざまな企業がCGMの仕掛けを導入しようとしている。

 でもmixiはCGMだからヒットしたというわけではないと思う。
使っ て楽しいサービスだと評価されたから、多くの人が利用したのだ。

利用者は「○」と「×」のプラカードを持つ審査員。
面白ければ 「○」、つまらなければ「×」のプラカードを上げるだけ。
問題になるのは、どんな見栄えやシステムなのかではなく「○」か「×」か。

「○」 ならメール登録して再訪してくれるかもしれないし、もしかすると友達に、このサイト面白いよ、と紹介してくれるかもしれない。
「×」なら、忘れて しまうか、二度と見ないかのどちらかなのだ。

当たり前の話だが、広告費をかけて集客しても、「×」のサイトは決して「○」にはならない。

「あ あ、このサイトってホント『×』だよなー」

と判断する人が増えるだけ。
一時的に利用者は増えても、その後どんどん減ってゆく。

  わざわざお金をかけて、自分に悪印象を抱く人を増やすというのは辛い。
もちろん、広告が露出されている間は気づかないのだ。後になって、そのこと に気がついて「はっ」とする。

 

○と×の境界線

■「○」と 「×」の差は、一見したところ微妙だ。
でも、自社サイトで100人の感想を聞けば、○×の判断も、その理由もはっきりする。

 β 版でも正式版でもいい。自社サイトでサービス利用者にアンケートを取る。
「面白いと思うか」「そう思ったのはなぜか」を書き込んでもらうだけ。

  ひどくざっくりとした判断指標だが、筆者がこれまでメディアやケータイのサービスを運営したり見たりしてきての感覚から言うと、新規の来訪者や利用者 100人に聞いて…

・7~8割くらいの人が好意的な感想を寄せてくれるなら「○」
・その割合が6~7割でも「○」ただし改善の余 地あり
・6割以下なら「×」

と判断してよい。

「厳しいのでは? だって過半数が支持してくれるんだよ? 」

と 思うかもしれないし、統計調査の理屈から言えばその調査方法も判断も間違っている、と指摘されるかもしれない。
たしかにそうかもしれない。正確に 測定したいのなら、ネットリサーチ会社にお願いして相談するのが一番だと思う。

 しかし、サイトの利用満足度の調査予算をかけられる企業 は、そんなに多くないのではないか?
だから、自社サイトで、自前で、自腹の調査をかけるわけだ。

 サイト来訪してうっかりアン ケート回答しようという人はいい人だ。
だが、協力して頂けるような人は基本的には贔屓目に回答してしまう人だろう。
逆に言えば、ひと目見 て「ぜんっぜん、×」と判断した人は回答してくれない。

 そういったバイアス(データの偏り)を含めても、6割の好意的感想を獲得できな いサービスは大至急サービスの見直しをしたほうがいい、ということ。

 

サービスの 見直し

 見直しのとき、ポイントとなるのはフリー回答の内容。100人分の回答を読めば、自分たちのサービスの弱みと問題点がはっきりとわか る。

 会社関係者の感想を聞いたりして、自分たちだけで自己分析するのはキケンだ。そもそも仕事や会社で関係している人たちがホンネを表 明するわけがないし、利用者にとってはどうでもいい問題が大問題として扱われたり、その逆もある。

 また、面接での調査では、ホンネで指 摘する方も、される方も緊張するし、時にその緊張に耐えられなくなった運営者側が

「あ、あれはですね、あれがいいんですよ。狙って やってるんです」
「そんな風に感じましたか? わたしはそうは思わないけどなあ」

などと、自分の思いを主張する傾向があ り、調査の意味そのものが失われることがある。
調査会社に依頼する場合はありえない事態だが、素人が調査するという前提では、案外、ありがち。

あくまで、利用した人から、一方的に、教えてもらう。
そ のもっとも簡単な方法が、自社サイトでのアンケート取得、というわけである。

サイト来訪する人が100人集まらないなら、友人や家族、その友達 などに依頼してもいい。

そして、それと同時に気をつけなくてはいけないのは、

フリー回答に書かれている改善提案を鵜呑みにしてはいけない

と いうこと。

問題点をあぶり出したら、具体的なサービスの改善案は自分たち=会社スタッフや関係者とでしっかりと考え、作りあげよう。

(そ の結果が、たまたま回答欄の提案と一致した、というのはアリだが)

 

練習問題

※ サービス改善のアイデア出し練習。

[練習問題 1]

最初に紹介したサイトでアンケートを取ってみ たとする。

「誰も投稿していないので、サイトが機能していないのではないかと思った。
 サクラのコメントでも入れたほうがいいです。ないよりマシですよ」
と いうコメントに、「たしかになあ、なるほどなあ」と感じたとする。
サクラのコメントを入れる他に方法はないだろうか?

[練 習問題 2]

画像投稿サイトについてアンケートしたら…

「投稿されている画像が、下品なものばかりで、見る気が失せた。
 品格のない投稿はすぐに削除してください。でないと、使えません」
と いうコメントに、「たしかになあ、なるほどなあ」と感じたとする。
投稿を削除するという方法のほかに、なにかいい方法はないだろうか?

い ずれも、コメント欄の提案は「サービスを作る」とか
「エンターテインメント性を演出する」という発想に欠けている。

さて、あなた なら、どんな改善策を考えるだろう?

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

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