1-4.資金計画の立て方

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

独立準備の必要資金を割り出す

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資金計画も事業プランの重要項目

事業は、収入と支出をたえず繰り返す行為です。
それらはいくらで、いつ、どこから来て、どこへ行くのか。
また、どうやって確保するのか。
それを把握し、コントロールするのが資金計画。
その結果、事業活動が継続でき、なおかつ利益を生む根拠があることを、事業計画書を読む人に理解してもらうわけです。
要するに、計画している事業が、どの程度の確実性と収益性とを持っているかを数字を使って伝えるということです。
 

開業資金は必要最低限に抑える

まずは、独立前に必要な資金(開業資金)と独立後に必要な資金(運転資金)を算出し、収支計画の基礎を固めます。
開業資金は、1. 事務所や店舗の取得費用 2. 改装や設備の導入費用 3. 備品をそろえる費用 4. 開業を告知するための広告・宣伝費用 5. 商品などの仕入れ費用となります。
また、勤務先の退職から、独立して収入を得るまでの生活費も忘れてはいけません。
 

運転資金算出の前に、固定費の抑制努力を

一方、運転資金は、1. 人件費 2. 事務所や店舗の維持費 3. 商品などの仕入れ費用 4. 細かな備品や各種の用品費用 5. 交通費や通信費など活動のための経費 6. 借入金の返済などがあります。
このうち、人件費や家賃など、売り上げの状況にかかわらず、一定額を定期的に支払わねばならない費用を固定費といい、支出に占めるこの数字の比率が高いと経営は苦しくなってきます。
また、業績が悪化した場合でも、急に従業員の給与を下げたり、家賃を減額してもらったりはできないので、小さい事業にとっては、なおさら高い固定費は危険です。
なので、あらかじめ、これらの固定費をいかに低くできるかが重要になってきます。
最後に基本中の基本ですが、開業資金、運転資金とも、複数個所で価格調査をし、見積もりも複数取って、現実的な数字を算出することが前提だと考えてください。

自分の資金力を洗い出そう

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調達を考える前に自己資金の充実を

開業資金と当面の運転資金の算出ができたら、次はそれをどう用意するかです。
当然、調達という方法もありますが、必要資金を全額そっくり調達する必要はありません。
むしろ、可能な限り自己資金を充当したいものです。
公的資金の調達を図る際などでも、必要資金額に対する一定の割合で自己資金を用意できることが、融資・出資条件となるケースが多いものです。
そこで、自分が独立のために投じることができる資金が、どれだけあるのかを綿密に洗い出しておきましょう。
その作業の結果を待って、洗い出した金額の範囲内で独立するという判断をしてもいいし、不足する分を、借り入れや出資などによって補充するという判断をすればいいわけです。
いずれにしても、ここに用意したシートを使って、自分の資金力を把握してください。

収支計画の立て方

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支出の予測と収入の予測を綿密に

収支計画とは、収入と支出の関係や、借り入れと返済の関係などを将来にわたって予測すること。
それぞれを可能な限り詳細にシミュレーションします。
すでに「独立前後の必要資金を割り出そう」の項目で、支出の算出の基礎は済んでいるはずです。
あとは年数を経るごとに、各支出項目の金額がどう変化するかを予測・計画していけばいいのです。
問題は収入の予測。
これを行うためには、まず、自分の商品やサービスの価格を決定しなければなりません。
そのためには、価格相場を実地や資料(日本政策金融公庫総合研究所が発行している『小企業の経営指標』など)で調べたうえで、それより高くするのか、安くするのかを複数の角度から検討して決めます。
一般的には、仕入れ価格(原価)や必要経費を考慮して、採算ラインから価格を割り出し、そこに、市場環境や立地条件などを加味して売り上げを予測するわけです。
一方、その観点とは反対に、先に価格帯を想定して、それに合う商品選びや仕入れ方法、販売体制を考えるという順番もあります。
このように、価格自体に差別化戦略を込めるマーケティングとしては、100円均一ショップなどが代表例として挙げられます。
 

当面の資金繰りも計画しておく

さて、価格設定や販売体制などが見えたら、再度、支払いを検討し、収支の整合性をチェックしたうえで、計画書に反映する数字を決定していきます。
加えて、資金繰りも明らかにしておかなければなりません。
この「資金繰り」とは、どういう意味なのか--。
端的に言えば、手元に入ってくる資金と、手元から出ていく資金のやりくりを円滑に行うということ。
意味としては簡単で、誰でもすでに生活レベルでやっていることです。
ただ、生活レベルではなく、事業資金の資金繰りとなると話は簡単ではありません。
事業の収入は、たとえば給料とは違って不定額・不定期だからです。
売り上げはそもそも変動するし、入金時期もまちまち。
さらに、現金取引だけならまだいいのですが、請求書を発行する掛け売りや約束手形での取り引きも少なくないため、売り上げ即現金というわけにもいかないのです。
独立当初は多くの場合、売り上げの回収ができていないのに、支払いが生じるため、えてして資金繰りが厳しくなります。
ここを切り抜けるためにも、活動を継続するための資金を、どのぐらい、どうやって確保するのかを計画しておくことが非常に重要になります。
 

収支計画は数年先まで立てること

また、収支計画は数年先まで立てておきたいものです。
「あまり先まで考えても、世の中はどうせ変化する」という意見もあるようですが、だから考えないではなく、変化するなら修正を図ると考えるべきです。
先まで見渡せば、たとえば「3年後に売上高2億円、単年度黒字」を目指すなど、事業のマイルストーンを決め、そこから逆規定して2年後、1年後を考えるという道筋がつくれるからです。
自分の事業の目標を定める意味においても、大切なことだと認識してください。

独立資金を用意しよう

調達金額決定までの流れ

調達にたよる金額は低く抑える

独立に必要な資金のすべてを調達に頼る必要がないことはすでに述べたとおりです。
では、必要資金から、独立に使える自己資金を差し引いた残りの不足分を、そっくりそのまま調達すればいいのか、と言えば、それもいささか早計です。
開業資金額は、最低でも3回は減額修正を試みてみましょう。
「もうこれより下げたら開業ができない」と思う時もあるかもしれませんが、資金があるからできる、では当たり前。
なければどうするか、と考えることから創意工夫が生まれ、それが競合との差別化を生むきっかけにさえなるのです。
その作業に取り組んだうえで、なお不足する部分だけを調達すべきと考えましょう。

借りるなら公的資金が断然有利

調達金額が決まったら、次はそれをどこから、どうやって調達するかを考えます。
そのために、まずどういう調達方法があり、どういう調達先があり、それぞれの調達先の特徴は何かを知る必要があります。
「事業用の借金となると、やはり銀行だろう」と考える人が少なからずいるのではないかと思います。
しかし、銀行は、あくまでも数ある調達先のひとつであり、実はその中でもハードルが高いほうに属する調達先なのです。
特に、都市銀行は小規模事業との取り引きに対して、相当に消極的です。
もっとも一部の地方銀行や信用金庫、信用組合など、民間金融機関の中にも開業支援に積極的な機関はあります。
ただし、地域や業種といった限定がなく、金利や返済期間などの条件面で有利なのは、やはり、公的資金を使った融資制度になります。
中でも利用しやすいのが、全国に窓口がある政府系金融機関の日本政策金融公庫(沖縄県は沖縄振興開発金融公庫)です。
ここは数十万円から数千万円の幅で、新規開業に積極的な融資を行っています。
また、都道府県や市区町村などの自治体でも、その地域に住む人や事業所を構える人を対象に融資を行っています。
特に、市区町村の場合、金利の一部を自治体が負担する利子補給制度を設けているところも少なくありません。
 

借りないで調達する方法も多彩にある

そのほか、女性の起業や、社会的に意義のある事業への資金支援を、地方銀行や信用組合と提携して行っている市民バンクという組織もあります。
また、資金調達は、借り入ればかりではありません。
補助金や助成金、あるいはコンテストの賞金、寄付など、もらえるお金もあります。
出資を依頼することもできます。
さらに自分の資産を売却する方法もありますし、時間をかけて自己資金を増やしていくこともできます。
調達方法にも、いろいろとアイデアをめぐらせてみるべきです。
 

調達コストも念頭に置こう

融資や出資で調達した資金は、言うまでもなくもらったものではありません。
融資なら元金に加えて利子も返さなければなりません。
出資なら配当を考えなければならないし、出資者は会社の所有者になるので、経営に関するやりとりを行う必要も出てくるでしょう。
調達を考える際には「いくら調達するか」だけでなく、調達に対する「コストはいくらか」も考える必要があります。
なお、調達コストがとんでもなく高い資金もあります。
「無担保・無保証人で即日融資!」などの文言でチラシなどを配付している貸金業者がいますが、これらの資金の金利は破格に高いものです。
また、こうした業者の中には、合法を装った「ヤミ金融業者」が紛れ込んでいる場合もありますから、くれぐれも注意してください。

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