起業の心得:ゲンイチ第71回 positive cash flow

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ドリームゲートのメンバーがボストンのバブソン大学に起業家教育の勉強に行きました。僕も行きたくて、行きたくて、しかたなかったのですが、スケジュールが難しくて、今回は涙をのんで留守番していました(泣)。
バブソン大学は米国内の起業家教育においてNo1ランキングの大学です。参加したメンバーはみんな、それぞれに大切なことを学んできたようです。この大学にベンチャー研究の大御所がいます。ジェフリー・A・ティモンズ博士。彼が1997年に書いた「ベンチャー創造の理論と戦略」って本は、この世界ではあまりにも有名です。実は、僕もこのティモンズ博士に多大な影響を受けています。僕の処女作「ベンチャー失敗の法則」はティモンズ博士の「ベンチャー創造の理論と戦略」の第1部に出てくる「失敗の法則」から来ています。この中の「起業プロセスにおいては失敗が法則であり、決して例外ではない」この一節で今まで解けなかったいくつかの問いに、答えを見つけました。そして、今の僕がいます。講演でも、この話は百万遍していますから(笑)知っている人も多いと思います。
そして、彼の起業家教育のコンセプトは
・実践と研究の衝突(collisions)
・Happiness is a positive cash flow(明確なキャッシュフローがあることが幸福を意味する)
・起業機会(Chance)の発見(Discovery)と創出(Creation)
の三つです。

今日のお話はこの「positive cash flow」です。ビジネスで一番幸せなのは、常にpositive cash flowであること。
わかりやすく言えば、常にお金が足りているってことです。当たり前のことのようですが、本当にそうなんです。いくら社会的に価値ある事業でも、どんなにお客様に喜んでいただいても、お金が足りないと起業家はつらくて、しんどい経営を続けなくてはなりません。そして、結果的に選択肢が少なくなって、事業は下方スパイラルに入って行きます。僕はこの「positive cash flow」って考え方に激しく同意します。だって、吉田はお金で苦労したもん(泣)。

ここで、皆さん、注意です。ティモンズ博士はpositive cash flowって言っていますが、「いっぱい儲けなさい」とか「赤字は悪だ」とは言ってないのです。ベンチャービジネスの場合は投資が先行し健全な赤字っていうのもあるわけです。ただ、それを補うお金をちゃんと用意しましょう!って教えです。借入れでも投資でもいいでしょう。でも、最後は営業キャッシュフローがオンにならないと、投資や借入れには限界がありますし、利益が出てこそ、安定した資金調達ができるのですから、売上、利益は大切です。でも、その前にキャッシュです。これはスモールビジネスでも同じです。いや、スモールビジネスには、もっと、大切かも知れません。
だって、小さな商売では資金調達が難しいです。銀行は貸してくれないし投資家も興味を示しません。つまり、自力で資金をかき集めてこなければなりません。資金調達で一番健全な道は、稼いだお金を再投資することです。これを自己金融って言います。(借入れは=間接金融、投資は=直接金融、自前は=自己金融)
でも、お金が溜まってから(自己金融)ではビジネスチャンスを逃してしまいます。多くの起業家は「お金があったらな~。あれもこれもできるのに…」って思うのです。そして、起業家は親戚や友達から資金をかき集めて、勝負に出ます。
成功と失敗の分れ目は「何をやるか」ではなくて「何故やるか」です。コツコツと常に positive cash flowを実現してしてきた起業家がチャンス(機会)と出会い、勝負に出る時成功します。ただ、創業から常にキャッシュが足りない状態で苦しんでいる起業家が、マイナスを一発逆転でプラスにしようとした時、失敗します。
少なくても僕がそうでした。常にお金が足りていること。起業家にとってこれ以上の幸せはありません。

次回は「起業機会(Chance)の発見(Discovery)と創出(Creation)」

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