Vol.17 自分育成して、優れた人材を育てる

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
実際に仕事をする には、人の持つ多様なチカラを組み合わせて発揮することが必要です。仕事の内容が高度になればなるほど、求められるチカラのレベルは高まり、種類も増えて いきます。この仕事のためのチカラを身につけるには、その人が真似をしたくなるようなお手本になる人物が存在するか否かが、重要な意味を持ちます。

優れたお手本があると学習効果が上がる

 英語の発音をきちんと マスターしようと思えば、ネイティブスピーカーの発音をくり返し聞いて、それを真似します。初心者がゴルフを上達したければ、優れたレッスンプロのフォー ムを真似することから始めるのがよいといいます。このように、何かを修得するには、優れたロールモデル(お手本になる人物)が存在すると、質の高い内容を 効果的に学習することができます。

 皆さんも、優れた起業家や経営者、あるいは歴史上の人物に憧れ、その人物に少しでも近づきたいと考え、 ある部分の真似をした経験があるのではないでしょうか。このような人物の存在は、自分自身を成長させるための、モチベーションの原動力になると同時に、拙 いながらもその真似をするための、素晴らしいお手本として役立ってくれます。私も、学生時代に司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」を読んで感激し、若き坂本竜 馬に憧れ、竜馬の思考法を少しでも自分で身につけることができないかと試みたことがあります。もっとも、真似ることができたのは、お酒が好きなところくら いだったかもしれませんが…。

 

身近にロールモデルがいると人が育つ

  人材育成には、このロールモデルの存在が重要な意味を持つのです。仕事をするためには、とても多様なチカラが必要になります。また、ほとんどの場合、仕事 には顧客や仲間といった、やり取りをする相手が存在し、その人々と臨機応変な対応をすることが求められます。

 このように多様のチカラを、 時と場合に応じて活用するのはとても複雑なことで、単に本を読むことや講義を聞くだけでは、知識として蓄積することはできても、身につけて活用することは できません。これらのチカラを身につけ、上手に活用できるようにするには、知識を得るだけでなく、実際にそれを使い、試行錯誤を繰り返すことが必要です。

  その際に、身近にロールモデルが存在していたら、毎日のようにその人と自分を比較し、不充分な点をチェックしたり、新たに真似をすることを見つけたりしな がら、自分のチカラを高めていくことができるのです。そして、身近なロールモデルは単にお手本であるだけでなく多くの場合に助言者やコーチとして、その人 の成長を支援してくれます。

 優れた大企業では、若い社員はロールモデルを社内でたくさん見つけることができます。仕事に必要なさまざまな チカラのすべてを、高いレベルで身につけている人はなかなかいないでしょうが、聴く力、話す力、書く力、情報を集める力、分析する力、行動を起こす力な ど、個別の力が優れているロールモデルを見つけることは、従業員数の多い大企業ではそんなに難しいことではないでしょう。しかし、働く人の数が少ない中小 企業では、ロールモデルを見つけようと考えても、分母が限られていて、なかなか難しいのが現実です。多くの中小企業が、人材育成に苦労している背景には、 このような事情もあります。

 

「自分育成」で起業家自身がロールモデルになる

  では、起業家一人と少数の従業員しか存在しない創業企業は、どうしたらよいのでしょうか。答えは、起業家自身がロールモデルになる覚悟を決めるしかありま せん。創業した起業家が、自分の事業を成長させるために、人のチカラを活用することを考え、人材を育てるには、まず、自分自身がロールモデルになれるよう に「自分育成」をやり続けるしかないのです。そして、あなたをロールモデルにして、あなたの後に続く人材が育ってくれば、次はその人もロー ルモデルになってくれます。

 「自分育成」。これは、さまざまな仕事するために必要な、すべてのチカラを身につけ、スーパー ビジネスパーソンになるということではありません。まず、自分の強い専門性や得意とする仕事の領域を明確にし、そのうえで、強いところ、優れたところを伸 ばします。同時に、自分の弱みや課題になる点を謙虚に認め、それを修正したり底上げしたりすることに努めます。弱みも、一度はそのチカラを向上させること に挑戦することが重要です。どうしても自分ではできないことや苦手なことを、ホンダの本田宗一郎さんが藤澤武夫さんに任せたように(Vol.15)、その重要性をきちんと理解して納得し た上で、託す人を見つけるのです。

 創業企業が人を育てるためには、まず起業家であるあなた自身が「自分育成」に取り組むこ と。これです。

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