資金調達(融資)のノウハウ Vol.16 資金ショートまで後1カ月間!借り入れ・増資・資産編

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
前回に引き続き、武田商事の資金ショートが700円であることが発覚してから、早くもあと1週間しか時間は残っていません。では、ピンチを迎えている武田商事はその間にどのような手を打つべきなのでしょう。今回もその内容ごとにご説明します。繰り返しになりますが、資金繰りとは下記のとおりです。

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           資金繰りとは
              ↓
          1・入金を早める
          2・支払いを遅らせる
          3・借り入れ・増資をする
          4・資産を取り崩す
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今回は上記の3と4の説明をします。

3・借り入れ・増資をする 

 銀行をはじめとする金融機関、もしくは社長個人、その他個人的な支援も含めた借り入れを行う手法です。
また、返済をする必要がない増資により資金繰りを安定させる方法もあります。

 3-1 銀行・その他金融機関に長期の運転資金として打診する。
 会社と銀行と良好な関係がある場合は、長期の運転資金にて借り入れを行い、経常的に発生する資金ショート
を長期的にカバーする方法は有効な方法であるといえます。また、会社として資金ショートを内部的に解決する
ことになるので、取引先その他関係各社に迷惑をかけることはありません。しかしながら、決算書や財務内容
などに関して、銀行に対し、十分な説明をする必要があります。

 3-2 銀行・その他金融機関に短期資金として打診する
 上記と同様に銀行から資金を調達するわけですが、たとえば建設業、内装業などのように仕事の流れが
プロジェクト単位で進行し、プロジェクトごとに発注書、契約書を締結するため、入金金額とその日程が明確に
確認できます。もちろん取引先の信用力にもよりますが、銀行としてはその入金をもって貸付金を一括で返済
することも可能です。経常的な運転資金に比べ、銀行としても会社の業務の内部に入り込むこととなるので
取り組みやすい形態であるといえます。

 3-3 社長が会社にお金を貸す
 一般的に社長が会社から高額な役員報酬を支給されるように設定するのはこのためであるともいえます。
実際に現金を入金したり、給与を未払いにするなどして、会社の資金繰りの調整弁をはかることは中小零細企業
の常識でもあります。

 3-4 社長、その他に株主となってもらい増資する
 増資をしてもらうとなると、返済の義務がありませんし、財務内容を直接的に向上させることが可能です。
しかしながら、株を所有する、してもらうということは、いわゆる普通株式の場合に関しては株数に比例して
直接経営権に影響してきます。慎重に受け入れを行わなければ、今後の経営活動に支障をきたす可能性も
あります。

 3-5 会社・社長個人契約の生命保険の解約返戻金の範囲内で借り入れする
 私がお客様から資金繰りの相談を受けるときに、必ず聞くのが社長が会社および個人で加入している生命保険
の状況です。掛け捨ての生命保険の場合は積立部分が少ないため使えないのですが、社長退職金準備として
かけてあるようなタイプの生命保険の場合は、案外積立額が知らない間につみあがっていることがあります。
 この生命保険を解約するのではなく、解約した場合に戻ってくる金額の90%程度を限度に借りることが可能
なのです。もちろん金利はかかりますが、手続きにかかる手間が少なく、今後の資金繰りにもほとんど影響を
しないため、有効な方法であるといえます。
 

 

4・資産を取り崩す
 資金繰りとは、預金という資産を取り崩す行為でありますが、そのほかの固定的な資産を取り崩して換金し、
資金繰りに当てることをいいます。

 4-1 定期預金を取り崩す
 会社で積み立てている定期積み金、定期預金を解約して資金繰りに当てる形です。銀行としては取り引き上の
実績である定期預金などの解約を嫌がるケースもありますので一方的に行うのでなく、銀行担当者に同意を
求めた上で解約することとなります。
 そのような相談をする中で、銀行のほうから定期を残した上で融資を進めてくるケースも多々あります。

 4-2 定期預金を担保に資金調達する
 古典的な手法ではありますが、銀行から見て一番換金性の高いといえる預金を担保として融資を行うという
形もあります。よく預金担保を略して「預担」といいます。最近では都市銀行ではまったく見られない手法
ですが、信用金庫などでは頻繁に行われています。

 4-3 固定資産を売却する
 会社所有の不動産や備品などを売却することにより、現金を取得する手続きとなります。しかし、現実的には
時間がかかり財務上を損失を計上する場合がほとんどですから短期的な資金繰りに当てることは難しいと
いえます。ただし、長期的な資金繰りの安定化のためには十分検討に値します。

 4-4 生命保険などを解約する
 上記で説明した生命保険の活用ですが、保証額などの見直しをして、保証額が過大だったり、保険料が資金
繰りを圧迫しているような場合は解約するのも有効な手段です。ただし、生命保険は加入時の年齢、健康状態
に応じて一度解約してしまうと加入することが困難になる場合も多いので、十分検討する必要があります。

 

5・その他
 これらは、いわゆる融通手形といわれるもので、決してお勧めできるものではありません。金融機関なども
商取引上にて流通している手形を割り引くスタンスですので、融通手形に関しては取り扱いを行いません。

 5-1 自社が手形を切って業者に渡して割り引いてもらいそのお金を借りる
 自社が手形を振り出せるのであれば、取引先に商取引に見せかけて渡した上で、取引先がその手形を銀行
などに持ち込み、資金化したものを還流してもらうこととなります。自社で振り出した手形ですから、実質的
に短期の借り入れとなりますので自分できった期日までにそれを返済できるお金を準備しなければなりません。

 5-2 他社から振り出してもらった手形を自社の割引枠で割り引きして使う
 上記と同様ですが、自社が銀行および金融機関に手形の割引枠を持っている場合に取引先から商取引ではない
手形を切ってもらいその手形を割り引いて資金化し資金繰りに使用する形です。しかしながら、手形を切った
取引先が手形決済するというリスクを負うため、なかなか応じてくれるところは少ないといえます。

 

 以上が金融機関からの借入、増資、および資産のとりくずしによる資金繰り手法の詳細となります。融通手形以外は自己完結・自己責任の資金繰りになるので有効な手法であるといえます。一般的には資金繰りが悪化した場合に検討する順位としては上位に来るものと考えられます。

 今までの一連の資金繰りの手法は書籍などで勉強したことではなく、私自身が以前業務委託にて会計業務を請け負っていた資金繰りに困窮していた会社の経理業務における経験を基にしています。

 したがって、そこでは督促の電話も受けましたし、銀行ともぎりぎりの交渉をしました。結局その会社は営業力がないため、抜本的な改革をすることはできなかったのですが社長からも取引先からも追い詰められるような形になった私は、本当に勉強になりました。

 社長は自ら資金繰りに取り組んでください。そして命がけで営業してお金を引っ張ってください。
        
     金策に走る前に全力で営業してください!
     結局、最高の資金繰りは売上金なのです!

 

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