人々を惹きつける[突き抜ける要素]

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説:羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

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起業するということは、自分自身を社会から認めてもらうということだ。企業にいた時と違って、あなたがこれから作ろうとする会社にはカネもコネもブランドも ない。そんな会社の出す商品やサービスを買いたいと一般消費者に思わせるためには、際立つ何かがなければ生き残っていくことは不可能だ。問われているのは ただ一つ!あなたの会社に[突き抜ける要素]があるかどうかだ。

 

「あのコンビニの店員さん、すごいですよね。」当社のオフィスから、歩いてほんの一分のところにコンビニエンスストアがある。最近、そこで働いているある店員のことが当社スタッフの間で話題にのぼるようになった。お客様に接する態度が、他の店員と全く違うのだ。

店 に入った瞬間、「いらっしゃいませー!」と、さわやかな声が耳に入ってくる。商品を決め会計をすませようとレジに近寄って行くと、「ありがとうございま すー!」と、どんなところからもさっとレジに向かってダッシュしてきてくれる。「はい、 568円になりまーす。」という言い方がまた爽やか。「あ、袋は?」という言い方も押し付けがましくない。要は実に気持ちがいい応対なのだ。寸部の嫌味も ない。

「いやー、今日は彼にレジやってもらいましたよ。気分良かったですね。」「えー?残念、私行った時、いなかったんですよ!彼いないかなーと思ってわざわざあのコンビニに行ったのに!何時ごろ入ってるんですか?」こんな話が当社オフィスで交わされるようになってきた。

た いしたものである。店員の応対一つで、ここまで客を惹きつけることができるのだ。当社の近辺にはたくさんのコンビニがあり、数え切れないほどの店員がいる が、他のどの店員の顔も覚えていない。しかし、彼のことだけは頭の中に残っている。我々は知らず知らずのうちに彼を「選択」してしまっているのだ。

情報が頭の中に飛び込んできたとき、我々の脳が必ず行うことがある。「比較」だ。新しく入ってきた情報と過去に記録された情報を「比較」し、その情報が自分にとってどれだけ意味があるのかという格付けを行う。その格付けに基づいて「印象」を発生させる。

例 えば、今日電車にのって「ミニスカートをはいたおばあちゃん」を見かけたとしよう。その情報は頭の中で過去のおばあちゃん情報と「比較」される。しかし頭 の中にある過去のおばあちゃん情報の中には「ミニスカートをはいたおばあちゃん」というデータはない。そうするとその情報は自分にとって貴重な情報という ことになる。

自分のデータベースを充実させるために脳はただちに強い印象を発生させる。それが記憶を生み出すことになる。もしおばあちゃ んが普通のファッションで特に目立ったところがなければ、その情報を新たに記録する必要はない。そのように脳が判断すれば「印象」が発生することがないの で、結果、記憶に残ることもない。

コンビニ店員の場合も同様だ。前述のさわやかコンビニ店員の情報は、我々の頭の中でただちに過去のコン ビニ店員の情報と比較された。たとえば過去のコンビニ店員情報では「無愛想」「笑顔なし」「不慣れ」などという記録しか残っていなかったとする。結果、こ のさわやかコンビニ店員の情報はかつて無い貴重な情報として格付けされ、ただちに「印象」が発生する。そして、はっきりと記憶に焼き付けられたので、会社 に戻って話題にのぼり口コミが発生する。

結局、人の頭に記録されるためには、そこに、何がしかの新しさ、あるいは他との比較の中で[突き 抜ける要素]がなければならないということがわかる。時代の流れを振り返ってみると、売れてきた商品は必ず何がしかの新しさ、あるいは他の商品と比べて [突き抜ける要素]があったということが言える。逆に言うと、[突き抜ける要素]がなければ、消費者には見向きもされない。

コンビニに 行ってペットボトルドリンクが置いてあるコーナーに行ってみよう。ぱっと目につくものがどれか?他と比較して[突き抜ける要素]があるものだということが わかる。「色」が他と違うもの、「名称」が他と違うもの、「形状」が他と違うもの等、違いがあって初めて我々の目がいく、ということがわかる。違いが無け れば見てももらえないのだ。

起業するとき、自分のやろうとしていることの中に[突き抜ける要素]があるかを自問することは極めて大切だ。それがなければ、どんなに努力しても「認識」すらしてもらえない可能性がある。

私 が経営する株式会社アクティブラーニングでは、教育関連のサービスを提供している。まだ会社を立ち上げて間もない頃、新聞に広告を出してみた。「時代が求 める自己成長力を伸ばす教育」というキャッチフレーズで広告を作ってみた。するとびっくりするぐらいの反応が来た。新聞広告の効果に驚きながら、それなら と次に英語クラスの広告も出してみた。「 TOEICコース」である。するとこれがまたびっくりするぐらいに反応が無かった。同じ学校のサービスなのに、前者「自己成長力」のコースは問合せが殺到 し、「 TOEICコース」の問合せは閑古鳥がなくほどだった。違いは、前者には[突き抜ける要素]があり、後者にはそれが無かったということである。

自分がやろうとしているビジネスに、[突き抜ける要素]があるかどうか。これを常に自問してみよう。

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 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

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