Vol.11 人材育成投資で効率よく税金対策

設備投資の意思決定と実践ノウハウ
設備投資といえば固定資産への投資を思い浮かべますが、「モノ」というハードだけでなく「ヒト」への投資も広い意味では設備投資です。今回は、知っておくと得をする「ヒト」へ投資した場合の減税制度、「人材投資促進税制」についてお伝えします。

人材投資促進税制ってどんなもの

 人材投資促進税制には、次の 2つの仕組みがあり、中小企業者の場合は選択適用できます。

 (1) 基本制度
   教育訓練費を基準額(前2事業年度の教育訓練費の平均額)より増加させた企業について、その増加額の25%に相当する金額をその期の法人税額から控除(法人税額の10%を限度)するもの。

  (2) 中小企業の特例
   中小企業(資本金1億円以下の法人)については、教育訓練費を上記の基準額より増加させた場合、教育訓練費の総額に対し、増加率の50%に相当する税額控除率(上限20%)を乗じた金額をその期の法人税額から控除(法人税額の10%を限度)するもの。

  ※ 中小企業者の場合、法人住民税についても軽減されます。

 

適用対象となる会社は

 この制度の適用対象となるのは青色申告を選択している法人です。
 ただし、上記(2)の適用対象となるのは、青色申告法人のうち中小企業者に限られます。

 

どのような教育訓練費が対象となるの

 この制度の対象となる教育訓練費とは、役員を除く使用人の職務に必要な技術や知識を習得させるため、または向上させるための費用で、例えば次のような費用が該当します。

 (1) 講師・指導員等経費:社外講師・指導員に支払う講師料・指導員料

 (2) 教材費:研修用の教材・プログラムの購入料など

 (3) 外部施設使用料:研修を行うために使用する外部施設・設備の借上料、利用料

 (4) 研修参加費:企業経営の観点から企業が従業員の教育訓練上必要なものとして指定した講座などの受講費用、参加費用

 (5) 研修委託費:講師、教材などを含め研修全体を外部の教育機関へ委託する場合の費用

 

実際の税額控除の効果は

 仮に基準額(前2事業年度の教育訓練費の平均額)1000万円の中小企業が、その事業年度の教育訓練費に1400万円支出した場合(40%増加)の例

 (1) 基本制度による税額控除

 

法人税控除額 100万円(400万円(増加額)×25%(控除率))
法人住民税控除額 17万円(100万円×17.3%(法人住民税率))
合計    117万円

 
  (2) 中小企業の特例

 

法人税控除額 280万円(1400万円(総額)×40%×50%(控除率)
法人住民税控除額 48万円(280万円×17.3%(法人住民税率)
合計    328万円


 結果的に(2)の中小企業の特例を使ったほうが有利なため、328万円が税額控除されることになります。

 このように、仮に1400万円の教育訓練費を支出したとしても、税金が328万円減額されるため、結果として1400万円-328万=1072万円の支出で済むことになります。

 この制度を利用して、ぜひ「ヒト」への投資を考えてみてはいかがでしょうか。