Vol.07 設備投資計画の基礎プロセス

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
設備投資は会社の業績に重大な影響を与え、特に設備投資に伴う固定資産の取得時や処分時にはその影響が顕著に表れます。従って、その意思決定に当たっては、行き当たりばったりではなく計画に基づいて行うことが重要です。今回は、設備投資計画を立てるに当たっての基本的な考え方をお伝えします。

設備投資計画を立てよう

投資する固定資産のなかでも、建物や機械装置など大規模なものについては、会社の将来ビジョンを描いた中期・長期事業計画の一部として設備投資計画を作成します。

これに対して、営業用の車両や事務用OA機器などのように比較的小規模で、短いスパンで定期的に更新していかなくてはならないものについては、短年度の損益や資金繰りを考慮した設備更新計画を作成します。

いずれにせよ、設備投資に伴う固定資産の取得・更新・処分は、これらの計画に基づき行うことが重要です。

 

まずは資金の裏付けを明らかにしよう

計画に当たっては、まずは設備投資をする場合の資金的な裏付けを明らかにします。

投資のための資金調達を自己資金でまかなうのか、銀行から借り入れをするのか、またはリースで行うのかを、投資後の資金繰りをシミュレーションして計画します。

また、その投資に関して税額控除や特別償却などの税制上の優遇措置は受けられるか、公的な補助金や助成金の対象となるかなどについても、事前に確認をした上で計画に盛り込みます。

会社から多額の資金が流出するのは、何も設備投資の時だけではありません。従業員の賞与支給時や税金の納付時などにおいてもまとまった資金が流出します。「税額控除の対象となる設備投資を行ったが、肝心の税金自体を払うお金がない!」では話になりませんので、少なくとも投資時点以降、半年から一年間位の資金繰りについてはきっちり計画に盛り込みましょう。

 

次に投資損益をシミュレーションしよう

資金的な裏付けが見込めるならば、次に具体的にその設備投資を行うべきか否かについて、投資損益により判断します。

投資損益の判断に当たっては、キャッシュフローで考えるのが一般的です。キャッシュフローは難しいと思われる方も多いでしょうが、固定資産の投資計画においては何も難しく考える必要はありません。単に「その固定資産の購入費用はいくらか」、「その固定資産を維持するのにいくらかかるか」、「その固定資産を取得することによりどのくらい収益が見込めるか(または経費を削減できるか)」、「最終的に利益やそれに伴う税金がいくら増加するのか」、という資金の出入りさえわかれば十分です。

ポイントは、設備投資のより具体的な効果を計るために、会社全体ではなくその設備投資だけにかかるキャッシュフローを把握すること、また、費用の削減効果もキャッシュの増加とみなして考えることです。

 

最後に意思決定のプロセスを明確にしよう

設備投資の意思決定の過程を明確にする方法としては、取締役会での決議があります。

会社法では、重要な資産の処分や取得については、取締役会で決議することを求めています。設備投資は会社にとって「重要な資産の取得」に該当する場合が多いので、取締役会の決議でもって最終意思決定し、取締役会議事録を残しておくこともコンプライアンスの観点から重要です。

また、稟議制度を利用し、各担当者からの稟議書を上司が決済する手続きをとることも、無駄な投資を省く効果や、担当者に当事者意識を持たす効果なども期待できるでしょう。

 

 

小規模な会社の場合は「計画など必要ない」という方もいるかもしれせんが、その資産が経営においてどのような意味を持っているのかということを、経営者自身が理解する上でも計画にまとめることは重要です。

また、設備投資資金を銀行から調達する場合には、設備投資計画書や取締役会議事録の提出を求められる場合もあります。

何も最初から完璧な計画にする必要はありませんので、会社規模や業種に応じたそれぞれの会社なりの計画の作成にチャレンジしましょう。

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